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17 幸せな気持ち
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私とセイン殿下の婚約は無事に破棄される事になったので良かったけれど、予定外の事が起きた。
それは、ルピノとセイン殿下の婚約が破談になりそうな事だった。
なぜなら、ルピノとセイン殿下の婚約に両陛下が難色をしめしたから。
ファラ様は1日でルピノを見限ったみたいだった。
それについては、私が両陛下の立場だったら、同じ事を思うはずなので、お二人が渋る気持ちはとてもわかる。
逆に、渋られているという判断の方が一般的な判断だと思った。
面倒な人間が2人に増えるよりも、自分の子供1人の方が、お二人もずっと気が楽なはずだわ。
それに、お父様は離婚しても、ルピノとの養子縁組はそのままにしておくつもりだった。
なぜなら、そうしないとルピノの身分が曖昧になり嫁げない事になるかもしれないから。
王家に嫁ぐなら公爵令嬢の肩書はあった方が良い。
だけど、二人の婚約の話がなくなれば、お父様はルピノとの関係も切る事が出来る。
本当なら二人で仲良く暮らしてほしかったけれど、色々な弊害を考えれば、ルピノとセイン殿下が婚約しない事は、周りの人達の為にもなるのかもしれないと思った。
一長一短ってとこかしら?
ただ、ルピノとセイン様がこれからどうされるのかは謎だけど、もう、私には関係のない事……よね?
不安を覚えながらも、私は私で新たな婚約についての話し合いに移る事になった。
「考えてみたら、アズがこの地まで来る必要はあったんでしょうか」
別邸の応接間で、前々から気になっていたけれど聞けなかった事を聞いてみると、アズは笑顔で頷く。
「父上と母上が嫁に来てもらうんだから、迎えに行って来いって。あと、トニア公爵に、お嬢さんを僕にくださいって言ってこいって言われたんだよ」
「そ…、そんな…、王太子殿下に来てもらうだなんて、言っていただければ、こちらから出向きましたのに」
ドキドキする胸をおさえて言うと、アズは首を横に振る。
「いや、トニア公爵には会いに来てもらっていたし、結婚したら、外から見えない部分ではルリの方が強くなるんだから、しっかり挨拶はしないと」
「それはどういう意味ですの?」
つい、口をへの字に曲げて聞き返すと、向かいに座っていたアズは笑い、トーリ様は苦笑した。
「ルリ、ちゃんとお礼を言いなさい」
横に座っているお父様に促されて、それはそうだと慌てて立ち上がって頭を下げる。
「私を迎える為に、遠路はるばるお越しいただき、本当にありがとうございました」
「とんでもない。花嫁を迎えに来たんだから、こちらへ向かう道中も苦なんてなかった。まあ、君が独房に閉じ込められていると知った時は、君の兄に殺意を覚えたけど…」
お兄様の事でも思い出しているのか、冷たい目をカーペットに向けたアズは、すぐに表情を戻して言う。
「とにかく座ってくれ」
「……はい」
素直に頷いてソファーに腰掛けると、アズが聞いてくる。
「先に伝えたほうがいいよな?」
「……何をですか?」
小首を傾げると、なぜかトーリ様とお父様が立ち上がる。
「少し、用事を思い出しました」
「私もだ。ルリ、お前はアズアルド殿下のお相手を頼む。アズアルド殿下、宜しくお願い致します」
慌てて部屋から出ていく2人を黙って見送り、扉が閉まるとアズが呆れた顔をする。
「あからさまだよな…。気を遣ってくれたんだろうけど…」
「気を遣う?」
聞き返すと、アズが立ち上がる。
「ルリ」
「何でしょうか?」
アズは私の近くにやって来ると跪いた。
「ア、アズ!?」
「あの時、好きだったって過去形にしていたけど、あれは君を困らせたくなくて言った」
「……」
まるで吸い寄せられるみたいに、アズの瞳から目がはなせなくて、ドキドキする胸をおさえながら、彼の次の言葉を待つ。
「嘘ついてごめん。ずっと好きだよ。昔も今も」
「……アズ…」
「僕と結婚してもらえませんか?」
「……っ」
はい、と言えばいいだけなのに、言葉が出なくて、何度も首を縦に振る。
「……良かった」
アズが大きく息を吐いて笑った。
「……今更、断られると思っていたんですか?」
「政略結婚だからしょうがないって言われるかと思ってた」
「アズが相手ならそんな事は言いませんわ」
「そうか」
嬉しそうに笑うから、私も笑顔になる。
初恋って実らないとか聞くけれど、私の場合は遠回りしたけれど実った事になるのよね?
そういえば、アズに聞いてみたい事があった。
「私は価値のない人間かしら?」
「そんな訳ないだろ。少なくとも、僕には君が必要だ」
アズは私の横に座ると、優しく抱きしめてきた。
驚いたけれど、背中に腕を回すと、抱きしめる腕の力が強くなった。
この時の私は、ルピノ達が私達の仲を引き裂こうとしている事なんて知らずに、ただただ、幸せな気持ちになっていた。
※ 次話はルピノ視点になります。
それは、ルピノとセイン殿下の婚約が破談になりそうな事だった。
なぜなら、ルピノとセイン殿下の婚約に両陛下が難色をしめしたから。
ファラ様は1日でルピノを見限ったみたいだった。
それについては、私が両陛下の立場だったら、同じ事を思うはずなので、お二人が渋る気持ちはとてもわかる。
逆に、渋られているという判断の方が一般的な判断だと思った。
面倒な人間が2人に増えるよりも、自分の子供1人の方が、お二人もずっと気が楽なはずだわ。
それに、お父様は離婚しても、ルピノとの養子縁組はそのままにしておくつもりだった。
なぜなら、そうしないとルピノの身分が曖昧になり嫁げない事になるかもしれないから。
王家に嫁ぐなら公爵令嬢の肩書はあった方が良い。
だけど、二人の婚約の話がなくなれば、お父様はルピノとの関係も切る事が出来る。
本当なら二人で仲良く暮らしてほしかったけれど、色々な弊害を考えれば、ルピノとセイン殿下が婚約しない事は、周りの人達の為にもなるのかもしれないと思った。
一長一短ってとこかしら?
ただ、ルピノとセイン様がこれからどうされるのかは謎だけど、もう、私には関係のない事……よね?
不安を覚えながらも、私は私で新たな婚約についての話し合いに移る事になった。
「考えてみたら、アズがこの地まで来る必要はあったんでしょうか」
別邸の応接間で、前々から気になっていたけれど聞けなかった事を聞いてみると、アズは笑顔で頷く。
「父上と母上が嫁に来てもらうんだから、迎えに行って来いって。あと、トニア公爵に、お嬢さんを僕にくださいって言ってこいって言われたんだよ」
「そ…、そんな…、王太子殿下に来てもらうだなんて、言っていただければ、こちらから出向きましたのに」
ドキドキする胸をおさえて言うと、アズは首を横に振る。
「いや、トニア公爵には会いに来てもらっていたし、結婚したら、外から見えない部分ではルリの方が強くなるんだから、しっかり挨拶はしないと」
「それはどういう意味ですの?」
つい、口をへの字に曲げて聞き返すと、向かいに座っていたアズは笑い、トーリ様は苦笑した。
「ルリ、ちゃんとお礼を言いなさい」
横に座っているお父様に促されて、それはそうだと慌てて立ち上がって頭を下げる。
「私を迎える為に、遠路はるばるお越しいただき、本当にありがとうございました」
「とんでもない。花嫁を迎えに来たんだから、こちらへ向かう道中も苦なんてなかった。まあ、君が独房に閉じ込められていると知った時は、君の兄に殺意を覚えたけど…」
お兄様の事でも思い出しているのか、冷たい目をカーペットに向けたアズは、すぐに表情を戻して言う。
「とにかく座ってくれ」
「……はい」
素直に頷いてソファーに腰掛けると、アズが聞いてくる。
「先に伝えたほうがいいよな?」
「……何をですか?」
小首を傾げると、なぜかトーリ様とお父様が立ち上がる。
「少し、用事を思い出しました」
「私もだ。ルリ、お前はアズアルド殿下のお相手を頼む。アズアルド殿下、宜しくお願い致します」
慌てて部屋から出ていく2人を黙って見送り、扉が閉まるとアズが呆れた顔をする。
「あからさまだよな…。気を遣ってくれたんだろうけど…」
「気を遣う?」
聞き返すと、アズが立ち上がる。
「ルリ」
「何でしょうか?」
アズは私の近くにやって来ると跪いた。
「ア、アズ!?」
「あの時、好きだったって過去形にしていたけど、あれは君を困らせたくなくて言った」
「……」
まるで吸い寄せられるみたいに、アズの瞳から目がはなせなくて、ドキドキする胸をおさえながら、彼の次の言葉を待つ。
「嘘ついてごめん。ずっと好きだよ。昔も今も」
「……アズ…」
「僕と結婚してもらえませんか?」
「……っ」
はい、と言えばいいだけなのに、言葉が出なくて、何度も首を縦に振る。
「……良かった」
アズが大きく息を吐いて笑った。
「……今更、断られると思っていたんですか?」
「政略結婚だからしょうがないって言われるかと思ってた」
「アズが相手ならそんな事は言いませんわ」
「そうか」
嬉しそうに笑うから、私も笑顔になる。
初恋って実らないとか聞くけれど、私の場合は遠回りしたけれど実った事になるのよね?
そういえば、アズに聞いてみたい事があった。
「私は価値のない人間かしら?」
「そんな訳ないだろ。少なくとも、僕には君が必要だ」
アズは私の横に座ると、優しく抱きしめてきた。
驚いたけれど、背中に腕を回すと、抱きしめる腕の力が強くなった。
この時の私は、ルピノ達が私達の仲を引き裂こうとしている事なんて知らずに、ただただ、幸せな気持ちになっていた。
※ 次話はルピノ視点になります。
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