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32 ルピノの希望
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結局、アズが警察の上層部に連絡を入れ、シイナレンラジ家が王家に害をなす人物を匿っている可能性があると伝えた。
王太子からの連絡を無視できるわけもなく、警察はすぐに動いてくれた。
シイナレンラジ家と王家の確執をノーラル様は知らなかったらしく、彼女はただ、ルピノを守る為に私に相談したけれど、結果的に、彼女はシイナレンラジ家に対して、恩を仇で返す事になってしまった。
シイナレンラジ家はルピノについて、そんな事は知らなかったし、ノーラル様の親戚の娘だと思ったから受け入れたと言った。
ノーラル様はノーラル様でルピノは死んだし、彼女は親戚の娘だと言い張り、ルピノも空気を読んで、自分は身分証の名前である、ピノヨ・サラバと名乗った。
ノーラル様とサラバ家は実際に遠い親戚で、ピノヨという娘がいるのは確かだった。
ただ、本物が生きているかはわからない。
ルピノは死んだことになっているし、私達が深く介入する事もできなかったので、シイナレンラジ家に対して、重い罪を課せる事は出来なかったけれど、ルピノを確保する事は出来た。
私はその場面を見ていないので、聞いた話でしかないのだけれど、事情を知らないルピノはかなり暴れていたらしく、ノーラル様の名前を呼んで助けを求めていたらしい。
アズの名前を出さなかったのは、自分の惨めな姿をアズには見られたくなかった?
「ルピノは今、どこにいるのかしら?」
「現在は出入国在留管理局の方にいらっしゃるそうです」
「面会は出来るの?」
朝、王太子妃教育の授業が始まる前にアザレアに尋ねると、彼女は少し驚いた顔をして聞き返してくる。
「ルリ様、ルピノ様に会われるおつもりなのですか?」
「違うわ。問題の伯父様が現れるんじゃないかと思って気になったの。せっかく助けたのに、彼がどうにかして連れ帰ったりしたら大変じゃないの」
「そちらにつきましては、面会が許されるのはノーラル様のみと手配してあるそうなので大丈夫かと思われます」
アザレアには申し訳ないけれど、聞きたいことを一気に聞いてしまう事にする。
「ルピノはどうして自分が捕まっているのかはわかってるの?」
「さすがにそれはわかっているようです。ですので、ノーラル様に助けを求めているようです。罪人扱いになっている事をアズアルド殿下に知られたら嫌われてしまうと思っているようですね」
「という事は、ルピノはまだアズを諦めていないの?」
「そうかと思われます。ですが、ルピノ様は、この場を乗り切ったとしても、なんといってアズアルド殿下の目の前に現れるつもりだったのかは謎です」
アザレアが首を傾げるので、苦笑して言う。
「ルピノはアズが自分の運命の人だと思っているから、たとえ違う名前で出会っても、アズは自分だとわかってくれると思っていたのかもしれないわね」
「どうしたら、そんな風に思えるのでしょうか……。ルピノ様の気持ちが理解できません」
「それが普通よ。それにたとえ理解できたとしても納得はできないと思うわ」
アザレアは私の言葉を聞いて、大きく頷いた。
「ルピノは最終的には強制送還されるのかしら」
「今のところ、ルピノ様は身分証の女性の名前を名乗っていますので、このままいけば移民申請をするのではないかと」
「国に帰れば命が危険だということ? でも、ルピノじゃないのだから、何を危険だと言っているのかしら?」
「その件なんですけれど……」
アザレアがなぜか困った顔をする。
「どうかしたの?」
「ソラウが演劇などの娯楽を庶民にも広めていこうとしているのはご存知ですか?」
「ええ。聞いた事があるわ……って、まさか!?」
元々、あの子は自分の顔を可愛いと思っているし、自信もあった。
だけど、貴族だからと諦めていた夢があった。
「アクターとして、この国で働きたいと言っているそうです」
誰かの入れ知恵なのかどうなのかはわからない。
そして、移民をソラウは受け入れているし、申請も犯罪者以外には、そう厳しくない。
ルピノは人の名前を名乗っているのだから、本当は犯罪者なのだけれど、今の彼女はピノヨ・サラバだから、この国で働きたいと申請すれば受け入れる可能性が高い。
私やアズが出ていけば早いことなのかもしれないけど、王族がたった1人の国民の為に動いたと言われる可能性がありそうだから難しい。
ルピノは心を入れ替えて生きていくつもりなの?
それとも、他に何かを考えているの?
もしくは、シイナレンラジ家が彼女に何か指示をした?
「ところで、ルピノ様は演技はお上手なのですか?」
「演技はわからないけれど、あの子は賢くないから台詞を覚えられないと思うわ」
アザレアの質問にはっきりと答えると、さすがのアザレアも呆れ顔になってしまった。
※ 次話はルピノ視点になります。
王太子からの連絡を無視できるわけもなく、警察はすぐに動いてくれた。
シイナレンラジ家と王家の確執をノーラル様は知らなかったらしく、彼女はただ、ルピノを守る為に私に相談したけれど、結果的に、彼女はシイナレンラジ家に対して、恩を仇で返す事になってしまった。
シイナレンラジ家はルピノについて、そんな事は知らなかったし、ノーラル様の親戚の娘だと思ったから受け入れたと言った。
ノーラル様はノーラル様でルピノは死んだし、彼女は親戚の娘だと言い張り、ルピノも空気を読んで、自分は身分証の名前である、ピノヨ・サラバと名乗った。
ノーラル様とサラバ家は実際に遠い親戚で、ピノヨという娘がいるのは確かだった。
ただ、本物が生きているかはわからない。
ルピノは死んだことになっているし、私達が深く介入する事もできなかったので、シイナレンラジ家に対して、重い罪を課せる事は出来なかったけれど、ルピノを確保する事は出来た。
私はその場面を見ていないので、聞いた話でしかないのだけれど、事情を知らないルピノはかなり暴れていたらしく、ノーラル様の名前を呼んで助けを求めていたらしい。
アズの名前を出さなかったのは、自分の惨めな姿をアズには見られたくなかった?
「ルピノは今、どこにいるのかしら?」
「現在は出入国在留管理局の方にいらっしゃるそうです」
「面会は出来るの?」
朝、王太子妃教育の授業が始まる前にアザレアに尋ねると、彼女は少し驚いた顔をして聞き返してくる。
「ルリ様、ルピノ様に会われるおつもりなのですか?」
「違うわ。問題の伯父様が現れるんじゃないかと思って気になったの。せっかく助けたのに、彼がどうにかして連れ帰ったりしたら大変じゃないの」
「そちらにつきましては、面会が許されるのはノーラル様のみと手配してあるそうなので大丈夫かと思われます」
アザレアには申し訳ないけれど、聞きたいことを一気に聞いてしまう事にする。
「ルピノはどうして自分が捕まっているのかはわかってるの?」
「さすがにそれはわかっているようです。ですので、ノーラル様に助けを求めているようです。罪人扱いになっている事をアズアルド殿下に知られたら嫌われてしまうと思っているようですね」
「という事は、ルピノはまだアズを諦めていないの?」
「そうかと思われます。ですが、ルピノ様は、この場を乗り切ったとしても、なんといってアズアルド殿下の目の前に現れるつもりだったのかは謎です」
アザレアが首を傾げるので、苦笑して言う。
「ルピノはアズが自分の運命の人だと思っているから、たとえ違う名前で出会っても、アズは自分だとわかってくれると思っていたのかもしれないわね」
「どうしたら、そんな風に思えるのでしょうか……。ルピノ様の気持ちが理解できません」
「それが普通よ。それにたとえ理解できたとしても納得はできないと思うわ」
アザレアは私の言葉を聞いて、大きく頷いた。
「ルピノは最終的には強制送還されるのかしら」
「今のところ、ルピノ様は身分証の女性の名前を名乗っていますので、このままいけば移民申請をするのではないかと」
「国に帰れば命が危険だということ? でも、ルピノじゃないのだから、何を危険だと言っているのかしら?」
「その件なんですけれど……」
アザレアがなぜか困った顔をする。
「どうかしたの?」
「ソラウが演劇などの娯楽を庶民にも広めていこうとしているのはご存知ですか?」
「ええ。聞いた事があるわ……って、まさか!?」
元々、あの子は自分の顔を可愛いと思っているし、自信もあった。
だけど、貴族だからと諦めていた夢があった。
「アクターとして、この国で働きたいと言っているそうです」
誰かの入れ知恵なのかどうなのかはわからない。
そして、移民をソラウは受け入れているし、申請も犯罪者以外には、そう厳しくない。
ルピノは人の名前を名乗っているのだから、本当は犯罪者なのだけれど、今の彼女はピノヨ・サラバだから、この国で働きたいと申請すれば受け入れる可能性が高い。
私やアズが出ていけば早いことなのかもしれないけど、王族がたった1人の国民の為に動いたと言われる可能性がありそうだから難しい。
ルピノは心を入れ替えて生きていくつもりなの?
それとも、他に何かを考えているの?
もしくは、シイナレンラジ家が彼女に何か指示をした?
「ところで、ルピノ様は演技はお上手なのですか?」
「演技はわからないけれど、あの子は賢くないから台詞を覚えられないと思うわ」
アザレアの質問にはっきりと答えると、さすがのアザレアも呆れ顔になってしまった。
※ 次話はルピノ視点になります。
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