21 / 53
21 駄目ですよね
しおりを挟む
レッスン後、昼食をリアと食べながら、朝のジンさんとの話を憧れている人の部分だけ除いて話すと。
「なんか、えらくこじらせちゃったわね」
「うん。ある意味、ジンさんがラス様みたいな性格だったら、ミランダ様の態度も理解できたのかもしれないけど」
「でも、それならミランダ様はジンさんを好きになってないでしょ」
「そっか」
きっぱりと言われて、頷くしかない。
なんか、いいアイデアはないものか。
「ミランダ様の本当の気持ちを、ジンさんが知ったとしたら、少しは意識したりするのかな?」
サンドイッチを咀嚼したあと、リアに尋ねる。
「そりゃあするんじゃない? ジンさん自身がミランダ様を嫌ってるならまだしも、自分は嫌われてると思ってるだけで、最初から、そういう対象に入れてないだけだろうし」
「そっか。恋愛対象になってないだけか」
「ミランダ様のあのあがり症をなんとか出来ればいいんだけど」
リアがテーブルに頬杖をついて言うので答える。
「簡単になおせたら、ここまでこじらせないでしょ」
「だよね。でも、ラス様はどうするつもりなんだろ」
「何が?」
「ジンさんの婚約者をミランダ様に上手く戻せるのかな」
前途多難だな。
リアの言葉に対し、どう返すか悩んでいると、彼女も私と同じように感じたのか、
「道のりは遠そうね」
呟くように言った。
午後からはレッスンがないので、リアと一緒にラス様のところへ行こうとしたけど、リアはリアで見せたいものがあるらしく、先に行くように言われたので、自分宛ての例の手紙を持って、在室しているであろう、彼の執務室に向かった。
「あ、今日はラス様はお休みですよ」
事務官の人に止められたけど、笑顔で答える。
「そうなんですね。じゃあ、ソファを借りて、お昼寝させてもらいます」
「えっ?」
昼寝なら部屋で、と言いたそうな顔をされたけど、これでも王子の婚約者なので、やはり口には出せなかったらしく、罰の悪そうな顔で私が部屋に近づいていくのを見守っている。
が、執務室の中で音が聞こえ、足音が近づいてくるのがわかった。
鍵を締められる!
そう感じて、慌ててドアを開ける。
と、やはりラス様が鍵をかけようとして近づいてきていたところで、勢い良く部屋に入った私とぶつかった。
「ひゃっ!」
「っ!」
ラス様が私を受け止めてくれて、体勢を安定させようとしてくれたのか、腰に腕を回して、私の顔を覗き込む。
「何をしてるんですか」
「ラス様こそ、鍵を締めようとしないで下さいよ」
「今日は休みを取れ、と言われてるのに、いるのがバレたら面倒でしょう」
「ユウヤくんには言いませんから」
「しょうがないですね」
ラス様の腕におさまったまま話をしていたせいか、事務官の人が立ち尽くして凝視してきたので、ラス様が呆れた声で、
「やましい事はありませんから」
そう告げたあと、私を部屋に残したまま、ばたんと扉を閉めた。
邪魔じゃない、と言われたようでホッとする。
「ラス様、ちゃんと休んでます?」
「寝てはいますよ」
「そんなのは当たり前です!」
ラス様の背中を追いかけて、奥にある執務机に向かう。
なんでこう、仕事で身を削ろうとするんだろう。
体調が心配、っていうか、言っても聞かないなら、回復魔法でもかけちゃう?
あ、それだと、また仕事しちゃうか。
そんな事を考えているうちに、ラス様は仕事を再開してしまった。
「ラスさまー」
隣に立ち、名前を呼んでみたけど無視される。
「ラスさま、カッコいい。頭いい。優しい。好」
言いかけて何とか止められた。
好きなのは間違いない。
でも、これは私が言っていい発言じゃない気がする。
ラス様は大きくため息を吐いてから、椅子を動かし、身体をこちらに向けると、私の腕をつかんで自分の方に引き寄せた。
「ラ、ラス様」
背中に腕がまわされ、前のめりになる状態で抱きしめられた。
鼓動が早くなる。
本当は振り払わないといけないのかもしれない。
でも、なぜか動けなかった。
「少しだけ」
ラス様が小さく呟く。
この状態が不思議と嫌ではなくて、腕は抱きしめ返さないけれど、彼の肩に顔を預ける。
「ありがとうございます」
腕が放され立ち上がった私を見上げて、ラス様は疲れた表情のまま続ける。
「少し楽になりました」
私がユウヤくんの腕の中にいると、すごくホッとするのと一緒なのかな?
ラス様を抱きしめてあげたい気持ちになるけど。
駄目だよね。
「ユーニさん?」
「は、はい」
「迷惑でしたか」
「え?! な、なんでですか?」
「ぼんやりしてるからです」
ぼんやりって!
「ラス様の事を考えてたんですよ」
「へえ?」
「意地悪です!」
意地悪な笑みを浮かべるラス様にそう言った時、扉がノックされ、返事を確認してからリアが入ってきた。
「あれ、お邪魔でした?」
「私はリアさんにお会い出来て嬉しいですよ」
「私もです! ラス様、好きです~」
リアは駆け寄るなり、椅子に座っているラス様の頭を、自分の胸に引き寄せた。
リアがやると自然なのはなんでなんだろう?
「リ、リアさん!」
「ラス様、お顔がお疲れですよ。私の胸でお休みになって!」
「永遠の眠りにつかないといけなくなる可能性がありますので、ご遠慮しておきます」
「大丈夫! そんな人を好きにはなりませんから、嫌いになることはあっても!」
リアはラス様の頭を優しくなでながら言う。
「リアは自信があっていいなあ」
「何が?」
「ユウマくんはリアが止めるなら、そんな事はしないって思ってるんだよね?」
「そういう訳じゃないよ。ユウマくんがラス様を殺す訳ないって思ってるだけ」
「そう言われたら、ユウヤくんもそうか」
なんだかんだ言って、二人はラス様に懐いてるもんなあ。
「色々と負い目があるんでしょう」
「どういう事ですか?」
「なんでもないです。だからリアさん、もう大丈夫です」
珍しくラス様が焦っている。
まあ、それはそうか。
片方だけとはいえ、リアの胸が顔に当たってる訳だし。
「うふふ。本当に休みなのに仕事されてるんですね!」
リアは執務机の脇に立ち、ラス様の顔を覗き込む。
「サナトラに行った分の仕事がたまってるんですよ」
「それは仕事をしていい理由にはなりません」
言って、私から封筒3枚を受け取り、リアはバーベナ嬢からの手紙が入った封筒をちらつかせる。
「それは」
ラス様が表情を変えて手を止めた。
「ね、気になるでしょ? お仕事やめましょうか」
「承知しました」
ラス様は素直に書類を机の上に置き、他の書類と合わせて整えて立ち上がる。
「あちらで話をしましょう」
ソファを手で示し、私達が座るのを確認すると、長くなりそうと思ったみたいで、城のメイドさんに一声かけて、お茶とお菓子を用意してくれた。
「本題に入る前に、いやに派手な封筒が目につくんですが」
「ああ、これですか」
私達の向かいに座るなりラス様が言うので、リアが虹色の封筒を差し出すと、中身を見て眉間のシワが深くなった。
「ユウヤに見せましたか?」
「見せました」
「彼はなんと?」
「ミランダ様を誘って、行ってきたら、みたいな」
私の言葉を聞いて、ラス様は立ち上がると部屋を出ていって、すぐに戻ってきた。
「どうかしました?」
リアが聞くと、ラス様はイライラした様子で答えた。
「ユウヤを呼びました。なぜ、ここにいるかは、あなた方に呼び出された事にして下さい」
「どうして、ユウヤくんを?」
「それは本人の口から話させます」
一体どういうことなのか、意味がわからず、リアと私は顔を見合わせた。
「なんか、えらくこじらせちゃったわね」
「うん。ある意味、ジンさんがラス様みたいな性格だったら、ミランダ様の態度も理解できたのかもしれないけど」
「でも、それならミランダ様はジンさんを好きになってないでしょ」
「そっか」
きっぱりと言われて、頷くしかない。
なんか、いいアイデアはないものか。
「ミランダ様の本当の気持ちを、ジンさんが知ったとしたら、少しは意識したりするのかな?」
サンドイッチを咀嚼したあと、リアに尋ねる。
「そりゃあするんじゃない? ジンさん自身がミランダ様を嫌ってるならまだしも、自分は嫌われてると思ってるだけで、最初から、そういう対象に入れてないだけだろうし」
「そっか。恋愛対象になってないだけか」
「ミランダ様のあのあがり症をなんとか出来ればいいんだけど」
リアがテーブルに頬杖をついて言うので答える。
「簡単になおせたら、ここまでこじらせないでしょ」
「だよね。でも、ラス様はどうするつもりなんだろ」
「何が?」
「ジンさんの婚約者をミランダ様に上手く戻せるのかな」
前途多難だな。
リアの言葉に対し、どう返すか悩んでいると、彼女も私と同じように感じたのか、
「道のりは遠そうね」
呟くように言った。
午後からはレッスンがないので、リアと一緒にラス様のところへ行こうとしたけど、リアはリアで見せたいものがあるらしく、先に行くように言われたので、自分宛ての例の手紙を持って、在室しているであろう、彼の執務室に向かった。
「あ、今日はラス様はお休みですよ」
事務官の人に止められたけど、笑顔で答える。
「そうなんですね。じゃあ、ソファを借りて、お昼寝させてもらいます」
「えっ?」
昼寝なら部屋で、と言いたそうな顔をされたけど、これでも王子の婚約者なので、やはり口には出せなかったらしく、罰の悪そうな顔で私が部屋に近づいていくのを見守っている。
が、執務室の中で音が聞こえ、足音が近づいてくるのがわかった。
鍵を締められる!
そう感じて、慌ててドアを開ける。
と、やはりラス様が鍵をかけようとして近づいてきていたところで、勢い良く部屋に入った私とぶつかった。
「ひゃっ!」
「っ!」
ラス様が私を受け止めてくれて、体勢を安定させようとしてくれたのか、腰に腕を回して、私の顔を覗き込む。
「何をしてるんですか」
「ラス様こそ、鍵を締めようとしないで下さいよ」
「今日は休みを取れ、と言われてるのに、いるのがバレたら面倒でしょう」
「ユウヤくんには言いませんから」
「しょうがないですね」
ラス様の腕におさまったまま話をしていたせいか、事務官の人が立ち尽くして凝視してきたので、ラス様が呆れた声で、
「やましい事はありませんから」
そう告げたあと、私を部屋に残したまま、ばたんと扉を閉めた。
邪魔じゃない、と言われたようでホッとする。
「ラス様、ちゃんと休んでます?」
「寝てはいますよ」
「そんなのは当たり前です!」
ラス様の背中を追いかけて、奥にある執務机に向かう。
なんでこう、仕事で身を削ろうとするんだろう。
体調が心配、っていうか、言っても聞かないなら、回復魔法でもかけちゃう?
あ、それだと、また仕事しちゃうか。
そんな事を考えているうちに、ラス様は仕事を再開してしまった。
「ラスさまー」
隣に立ち、名前を呼んでみたけど無視される。
「ラスさま、カッコいい。頭いい。優しい。好」
言いかけて何とか止められた。
好きなのは間違いない。
でも、これは私が言っていい発言じゃない気がする。
ラス様は大きくため息を吐いてから、椅子を動かし、身体をこちらに向けると、私の腕をつかんで自分の方に引き寄せた。
「ラ、ラス様」
背中に腕がまわされ、前のめりになる状態で抱きしめられた。
鼓動が早くなる。
本当は振り払わないといけないのかもしれない。
でも、なぜか動けなかった。
「少しだけ」
ラス様が小さく呟く。
この状態が不思議と嫌ではなくて、腕は抱きしめ返さないけれど、彼の肩に顔を預ける。
「ありがとうございます」
腕が放され立ち上がった私を見上げて、ラス様は疲れた表情のまま続ける。
「少し楽になりました」
私がユウヤくんの腕の中にいると、すごくホッとするのと一緒なのかな?
ラス様を抱きしめてあげたい気持ちになるけど。
駄目だよね。
「ユーニさん?」
「は、はい」
「迷惑でしたか」
「え?! な、なんでですか?」
「ぼんやりしてるからです」
ぼんやりって!
「ラス様の事を考えてたんですよ」
「へえ?」
「意地悪です!」
意地悪な笑みを浮かべるラス様にそう言った時、扉がノックされ、返事を確認してからリアが入ってきた。
「あれ、お邪魔でした?」
「私はリアさんにお会い出来て嬉しいですよ」
「私もです! ラス様、好きです~」
リアは駆け寄るなり、椅子に座っているラス様の頭を、自分の胸に引き寄せた。
リアがやると自然なのはなんでなんだろう?
「リ、リアさん!」
「ラス様、お顔がお疲れですよ。私の胸でお休みになって!」
「永遠の眠りにつかないといけなくなる可能性がありますので、ご遠慮しておきます」
「大丈夫! そんな人を好きにはなりませんから、嫌いになることはあっても!」
リアはラス様の頭を優しくなでながら言う。
「リアは自信があっていいなあ」
「何が?」
「ユウマくんはリアが止めるなら、そんな事はしないって思ってるんだよね?」
「そういう訳じゃないよ。ユウマくんがラス様を殺す訳ないって思ってるだけ」
「そう言われたら、ユウヤくんもそうか」
なんだかんだ言って、二人はラス様に懐いてるもんなあ。
「色々と負い目があるんでしょう」
「どういう事ですか?」
「なんでもないです。だからリアさん、もう大丈夫です」
珍しくラス様が焦っている。
まあ、それはそうか。
片方だけとはいえ、リアの胸が顔に当たってる訳だし。
「うふふ。本当に休みなのに仕事されてるんですね!」
リアは執務机の脇に立ち、ラス様の顔を覗き込む。
「サナトラに行った分の仕事がたまってるんですよ」
「それは仕事をしていい理由にはなりません」
言って、私から封筒3枚を受け取り、リアはバーベナ嬢からの手紙が入った封筒をちらつかせる。
「それは」
ラス様が表情を変えて手を止めた。
「ね、気になるでしょ? お仕事やめましょうか」
「承知しました」
ラス様は素直に書類を机の上に置き、他の書類と合わせて整えて立ち上がる。
「あちらで話をしましょう」
ソファを手で示し、私達が座るのを確認すると、長くなりそうと思ったみたいで、城のメイドさんに一声かけて、お茶とお菓子を用意してくれた。
「本題に入る前に、いやに派手な封筒が目につくんですが」
「ああ、これですか」
私達の向かいに座るなりラス様が言うので、リアが虹色の封筒を差し出すと、中身を見て眉間のシワが深くなった。
「ユウヤに見せましたか?」
「見せました」
「彼はなんと?」
「ミランダ様を誘って、行ってきたら、みたいな」
私の言葉を聞いて、ラス様は立ち上がると部屋を出ていって、すぐに戻ってきた。
「どうかしました?」
リアが聞くと、ラス様はイライラした様子で答えた。
「ユウヤを呼びました。なぜ、ここにいるかは、あなた方に呼び出された事にして下さい」
「どうして、ユウヤくんを?」
「それは本人の口から話させます」
一体どういうことなのか、意味がわからず、リアと私は顔を見合わせた。
11
あなたにおすすめの小説
完 独身貴族を謳歌したい男爵令嬢は、女嫌い公爵さまと結婚する。
水鳥楓椛
恋愛
男爵令嬢オードリー・アイリーンはある日父が負った借金により、大好きな宝石だけでは食べていけなくなってしまった。そんな時、オードリーの前に現れたのは女嫌いと有名な公爵エドワード・アーデルハイトだった。愛する家族を借金苦から逃すため、オードリーは悪魔に嫁ぐ。結婚の先に待ち受けるのは不幸か幸せか。少なくとも、オードリーは自己中心的なエドワードが大嫌いだった………。
イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
恋愛
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました
春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。
名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。
姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。
――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。
相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。
40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。
(……なぜ私が?)
けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる