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46 大丈夫ですよね?
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各ペアが一斉に走り出したけれど、リアとラス様はその流れには乗らずに、話をしながらゆっくり歩き始める。
すると、腰に剣をさし、防具をしっかり装備した男女ペアが二人に近付いていくのが見えた。
「あれが、ラナンさんとダグラスさん?」
「だろうな」
左隣に座るユウマくんが頷く。
リアとラス様はその二人のような重装備ではなく、二人共ラフな格好だからか、今から同じところへ向かう様には全く見えない。
もちろん、ラス様もリアも剣は装備してるけれど、軽装備でラス様はリュックを背負っているくらいだし、リアは外側から見るだけでは剣以外持っていないように見える。
大きなスクリーンは観ることはできるけど、音は拾えないようで、リア達がどんな会話をしているかは一切、こちらの耳には届かない。
「どんな話をしてるのかな・・・」
静かに呟くと、10席ほど向こうに座っていたアスラン王太子殿下が言った。
「聞こえるようにしてやろうか?」
「えっと、出来るんですか?」
「映像だけではつまらんからの。ミズリー」
アスラン王太子殿下がミズリー様の名を呼ぶと、彼に寄り添っていた身体を起こし、ミズリー様が呪文を小さく唱える。
すると、一つのスクリーンから声が聞こえるようになった。
「全部、声が聞こえるようにした方がよろしいかしらぁ?」
「いや、一つで良い。色々なところから聞こえてくると、耳障りでかなわん」
「承知しましたぁ。気になっていらっしゃるのはリア様ペアのようですしぃ、リア様達の映るスクリーンだけ追いかけるようにいたしますぅ。ユーニ様、これで良かったですかぁ?」
「あ、ありがとうございます!」
のんびりした口調で簡単に言ってくれたミズリー様だけど、これって結構、高度な呪文だと思うのだけど?
すると、アスラン王太子殿下は、私の方を見て、しーと口元に手を当てた。
深く追求するな、という事なんだろうか。
周りの観客は、突然、一つのスクリーンから音が出始めた事に驚いてはいたけど、やはり会話の内容が聞こえる方が楽しいみたいで、文句を言う人間もいなかった。
観客のざわめきの中から、リア達の声を探す。
一度、聞き取れてしまうと、すんなり耳に入ってきた。
「棄権しなかったのですね」
「えっと?」
リアがラス様の方に顔を向けると、ラス様はリアの耳に口を持っていき、何かを話したあと、ゆっくりと身を起こした。
「失礼しました。ラナン様ですね。お初にお目にかかります。リア・ライドと申します」
「堅苦しい挨拶は必要ありません。今日は正々堂々とよろしくお願いいたします」
「お手柔らかにお願いしますね」
リアとラナンさんがバチバチやっている横で、ラス様の方にラナンさんのパートナーが近付いていく。
「イッシュバルド卿。お久しぶりです」
「ゴーガン卿、こちらこそ、お久しぶりです。こんな所でお会いしたくはなかったですがね」
ダグラスさんはゴーガンという性なのか。
じゃあ、私もゴーガン卿と呼ぼう。
ラス様とゴーガン卿は顔見知りなのか・・・。
「ゴーガン卿はラス様の実力を知ってるのかな」
「いや、知らんだろ。大体ラスは外交問題に関わる仕事しかしてねぇから、どちらかというと理系派ととられてるはずだ」
「そっか。それなら良かった」
強いと思われているよりも、弱いと思われていた方が良いような気がしてしまうのはおかしいかな。
リア達は挨拶を交わしただけで、ラナンさん達とは反対側の方に歩いて、森の中に入っていってしまった。
どのみち、全員、森に入らないといけないから、どこから入っても一緒なんだろうけど。
「森には魔物がいるんだよね。強いのはいるの?」
さっきから落ち着かなくて、ユウヤくん達に質問ばかりしてしまう。
今回はユウマくんが答えてくれる。
「しっかり調べたわけじゃねぇけど、まあまあ強いのはいるみてぇだな。ただ、普通の冒険者なら生きて帰れる。ただ、貴族のボンボンに関してはなんとも言えねぇな」
「じゃあ、私みたいなのが森に入ったら?」
「んー。すぐに殺されるんじゃね?」
「おい、ユウマ」
びくりと肩を震わせたせいか、ユウヤくんがユウマくんを怒ってくれるけど、別にユウマくんは悪くない。
「大丈夫だよ。ごめんね、ユウマくん」
「いや。それくらい怖がってた方がいいって。間違って入ろうとも思わなくなるだろ?」
「うん。ありがとう」
お礼を言ってから画面の方に目をやると、リア達の姿は見つからず、他の人の姿はちらほら映る。
「リア達の姿が見えないね」
「もしかしたら映像装置に気が付いて、映らないようにしてるのかもしれねぇな」
「うう。無事かどうか知りたいのに」
他の人に居場所がバレないようにしてるから、良いのは良いんだろうけど、姿が見えないのはとても不安。
まずはどうするんだろう。
夜を越す為の小屋を先に手に入れちゃうのかな?
「リア達がちゃんと寝る場所を見つけたら、私達も一度帰るのかな」
「まあ、そうなるだろうな。観客席にいる貴族達は食べ物を持ってきてないだろうから、途中で帰る奴もいるだろうし」
「落ち着かないなぁ」
ある意味、スクリーンがあるせいで、魔物に襲われたり、やはり怖くなってリタイアを希望する人をすぐに見つけやすくなった良い面があるけど、逆に、その人達を映すせいで、リア達がどこにいるのか、ラナンさん達がどこにいるのか、二組が接触していないか、とか、私にとって気になる情報が入ってこない。
もちろん、人助けが一番なのはわかってるけど。
そんな風にモヤモヤしている内に、時間は過ぎ、ラス様達はラナン様達より少し遅くなったけれど、用意された小屋にたどり着いた。
小屋はまとめて何棟か建っていて、入ったペアはまず中に入り、暖炉に火を点けて煙突から煙を出す。
これで、この中に人がいる事がわかるようにするらしい。
小屋の中は見れないけれど、外側だけ見ると薄い木の板で作られた小屋で広くもなさそう。
もしかして。
「ベッドが一つしかない、とかいうんじゃねぇだろうな」
気になった事をユウマくんが口にした。
すごい目でスクリーンを睨みつけている。
ラス様に念を送ってるのかな。
「ラス様はそんな事しないの、ユウマくんはよくわかってるじゃない」
「でも、リアだぞ! いや、そのユーニちゃんよりどうこう、っていう意味じゃなくて」
「言いたいことはわかるよ。相手がラス様じゃなくてユウヤくんだったとしても、リアの可愛さにやられちゃうかもしれないって事でしょ」
「そう。相手がラスだから、じゃなくてな」
ユウマくんがあまりに真剣な表情で言うから、ついつい笑ってしまう。
リアは普段、軽いことを言ったりしてるけど、ユウマくん一筋なのはよく知ってるし、ラス様だってリアやユウマくんを傷つけたりするような事をする人じゃない。
「そこは信用しようよ」
「・・・・・・そうだな」
「とりあえず、オレらも帰るか。どうしても心配になったらラスに連絡したらどうだ?」
ユウヤくんが立ち上がって私に手を差し出した反対の手で、イヤーカフに触れた。
今日は私やリアだけじゃなく、ユウヤくんとユウマくんもイヤーカフをしてる。
本当に何かあった時の保険なんだろうな。
「うん。そうだね。二人共、小屋の中にいるし、ラス様なら魔物除けの結界もはれるだろうから、朝までは一安心だよね」
緊張の糸が少し途切れて、大きくため息を吐くと、アスラン王太子殿下達も「また明日」と挨拶して引き上げていく。
マヌグリラの王族は、と思って見てみると、朝にいた場所には誰一人座っていなかった。
どうせ使ってないなら、私達に使わせてくれたらいいのに。
そんな風に思いつつ、今日の所は引き上げる準備をはじめたのだった。
すると、腰に剣をさし、防具をしっかり装備した男女ペアが二人に近付いていくのが見えた。
「あれが、ラナンさんとダグラスさん?」
「だろうな」
左隣に座るユウマくんが頷く。
リアとラス様はその二人のような重装備ではなく、二人共ラフな格好だからか、今から同じところへ向かう様には全く見えない。
もちろん、ラス様もリアも剣は装備してるけれど、軽装備でラス様はリュックを背負っているくらいだし、リアは外側から見るだけでは剣以外持っていないように見える。
大きなスクリーンは観ることはできるけど、音は拾えないようで、リア達がどんな会話をしているかは一切、こちらの耳には届かない。
「どんな話をしてるのかな・・・」
静かに呟くと、10席ほど向こうに座っていたアスラン王太子殿下が言った。
「聞こえるようにしてやろうか?」
「えっと、出来るんですか?」
「映像だけではつまらんからの。ミズリー」
アスラン王太子殿下がミズリー様の名を呼ぶと、彼に寄り添っていた身体を起こし、ミズリー様が呪文を小さく唱える。
すると、一つのスクリーンから声が聞こえるようになった。
「全部、声が聞こえるようにした方がよろしいかしらぁ?」
「いや、一つで良い。色々なところから聞こえてくると、耳障りでかなわん」
「承知しましたぁ。気になっていらっしゃるのはリア様ペアのようですしぃ、リア様達の映るスクリーンだけ追いかけるようにいたしますぅ。ユーニ様、これで良かったですかぁ?」
「あ、ありがとうございます!」
のんびりした口調で簡単に言ってくれたミズリー様だけど、これって結構、高度な呪文だと思うのだけど?
すると、アスラン王太子殿下は、私の方を見て、しーと口元に手を当てた。
深く追求するな、という事なんだろうか。
周りの観客は、突然、一つのスクリーンから音が出始めた事に驚いてはいたけど、やはり会話の内容が聞こえる方が楽しいみたいで、文句を言う人間もいなかった。
観客のざわめきの中から、リア達の声を探す。
一度、聞き取れてしまうと、すんなり耳に入ってきた。
「棄権しなかったのですね」
「えっと?」
リアがラス様の方に顔を向けると、ラス様はリアの耳に口を持っていき、何かを話したあと、ゆっくりと身を起こした。
「失礼しました。ラナン様ですね。お初にお目にかかります。リア・ライドと申します」
「堅苦しい挨拶は必要ありません。今日は正々堂々とよろしくお願いいたします」
「お手柔らかにお願いしますね」
リアとラナンさんがバチバチやっている横で、ラス様の方にラナンさんのパートナーが近付いていく。
「イッシュバルド卿。お久しぶりです」
「ゴーガン卿、こちらこそ、お久しぶりです。こんな所でお会いしたくはなかったですがね」
ダグラスさんはゴーガンという性なのか。
じゃあ、私もゴーガン卿と呼ぼう。
ラス様とゴーガン卿は顔見知りなのか・・・。
「ゴーガン卿はラス様の実力を知ってるのかな」
「いや、知らんだろ。大体ラスは外交問題に関わる仕事しかしてねぇから、どちらかというと理系派ととられてるはずだ」
「そっか。それなら良かった」
強いと思われているよりも、弱いと思われていた方が良いような気がしてしまうのはおかしいかな。
リア達は挨拶を交わしただけで、ラナンさん達とは反対側の方に歩いて、森の中に入っていってしまった。
どのみち、全員、森に入らないといけないから、どこから入っても一緒なんだろうけど。
「森には魔物がいるんだよね。強いのはいるの?」
さっきから落ち着かなくて、ユウヤくん達に質問ばかりしてしまう。
今回はユウマくんが答えてくれる。
「しっかり調べたわけじゃねぇけど、まあまあ強いのはいるみてぇだな。ただ、普通の冒険者なら生きて帰れる。ただ、貴族のボンボンに関してはなんとも言えねぇな」
「じゃあ、私みたいなのが森に入ったら?」
「んー。すぐに殺されるんじゃね?」
「おい、ユウマ」
びくりと肩を震わせたせいか、ユウヤくんがユウマくんを怒ってくれるけど、別にユウマくんは悪くない。
「大丈夫だよ。ごめんね、ユウマくん」
「いや。それくらい怖がってた方がいいって。間違って入ろうとも思わなくなるだろ?」
「うん。ありがとう」
お礼を言ってから画面の方に目をやると、リア達の姿は見つからず、他の人の姿はちらほら映る。
「リア達の姿が見えないね」
「もしかしたら映像装置に気が付いて、映らないようにしてるのかもしれねぇな」
「うう。無事かどうか知りたいのに」
他の人に居場所がバレないようにしてるから、良いのは良いんだろうけど、姿が見えないのはとても不安。
まずはどうするんだろう。
夜を越す為の小屋を先に手に入れちゃうのかな?
「リア達がちゃんと寝る場所を見つけたら、私達も一度帰るのかな」
「まあ、そうなるだろうな。観客席にいる貴族達は食べ物を持ってきてないだろうから、途中で帰る奴もいるだろうし」
「落ち着かないなぁ」
ある意味、スクリーンがあるせいで、魔物に襲われたり、やはり怖くなってリタイアを希望する人をすぐに見つけやすくなった良い面があるけど、逆に、その人達を映すせいで、リア達がどこにいるのか、ラナンさん達がどこにいるのか、二組が接触していないか、とか、私にとって気になる情報が入ってこない。
もちろん、人助けが一番なのはわかってるけど。
そんな風にモヤモヤしている内に、時間は過ぎ、ラス様達はラナン様達より少し遅くなったけれど、用意された小屋にたどり着いた。
小屋はまとめて何棟か建っていて、入ったペアはまず中に入り、暖炉に火を点けて煙突から煙を出す。
これで、この中に人がいる事がわかるようにするらしい。
小屋の中は見れないけれど、外側だけ見ると薄い木の板で作られた小屋で広くもなさそう。
もしかして。
「ベッドが一つしかない、とかいうんじゃねぇだろうな」
気になった事をユウマくんが口にした。
すごい目でスクリーンを睨みつけている。
ラス様に念を送ってるのかな。
「ラス様はそんな事しないの、ユウマくんはよくわかってるじゃない」
「でも、リアだぞ! いや、そのユーニちゃんよりどうこう、っていう意味じゃなくて」
「言いたいことはわかるよ。相手がラス様じゃなくてユウヤくんだったとしても、リアの可愛さにやられちゃうかもしれないって事でしょ」
「そう。相手がラスだから、じゃなくてな」
ユウマくんがあまりに真剣な表情で言うから、ついつい笑ってしまう。
リアは普段、軽いことを言ったりしてるけど、ユウマくん一筋なのはよく知ってるし、ラス様だってリアやユウマくんを傷つけたりするような事をする人じゃない。
「そこは信用しようよ」
「・・・・・・そうだな」
「とりあえず、オレらも帰るか。どうしても心配になったらラスに連絡したらどうだ?」
ユウヤくんが立ち上がって私に手を差し出した反対の手で、イヤーカフに触れた。
今日は私やリアだけじゃなく、ユウヤくんとユウマくんもイヤーカフをしてる。
本当に何かあった時の保険なんだろうな。
「うん。そうだね。二人共、小屋の中にいるし、ラス様なら魔物除けの結界もはれるだろうから、朝までは一安心だよね」
緊張の糸が少し途切れて、大きくため息を吐くと、アスラン王太子殿下達も「また明日」と挨拶して引き上げていく。
マヌグリラの王族は、と思って見てみると、朝にいた場所には誰一人座っていなかった。
どうせ使ってないなら、私達に使わせてくれたらいいのに。
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