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48 こんな勝負じゃないのでは?
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「え、どういう事?」
困惑していると、ユウヤくんが後ろから抱きしめてくれながら答えてくれる。
「もう帰路につくつもりなんだろ」
なんで抱きしめられているのかはわからないけど、お腹にまわされた手に触れながら聞き返す。
「いや、それはわかるんだけど。このままじゃ、勝負に負けちゃうんじゃ?」
「手ぶらで帰ってくるわけじゃねぇからだよ」
「え?」
さっきから聞き返してばかりだけど、意味がわからないのだからしょうがない。
今度は隣にいたユウマくんが笑いながら答えてくれた。
「もう帰ってくるだけで勝てるからだよ」
「え?」
いまいちピンとこない。
気持ちを落ち着けて考える。
リア達が勝つ条件は指定された薬草をとってきて、一番早くにこちらに戻ってくること。
「という事は、もうリア達は薬草をとってきたってこと?」
「そういう事。誰にも見られないように、と用心のために夜に動いてたのが功を奏したってこと」
ユウヤくんが抱きしめる腕を強くしてくる。
彼もリア達が早くに帰ってこれそうなのを安堵してるのかもしれない。
「小屋から薬草のある場所ってどれくらいの時間がかかるの?」
「4時間くらいだよな、ユウマ」
「普通に行けば、な」
「じゃあ、リア達は一睡もしないで夜の危険な森を動いてたってこと?」
「違いますよ」
私の言葉を否定したのは、ユウヤくんでもユウマくんでもなく、イヤーカフから聞こえてくるラス様の声だった。
映像の方を見ると、小屋付近は映し出されたままだけど、もうラス様達の姿は見えず、他の人達も自分達の小屋に戻ったようだった。
戸惑っていると、ラス様が言葉を続ける。
「私が何が出来るか、もう忘れておられるようですね?」
「ラス様、色んなこと出来るから、いっぱいありすぎてわかりません」
「ユーニが言いたくなる気持ち、私もわかる」
リアがふき出して私の意見を肯定すると、少しの沈黙のあと、ラス様が口を開いた。
「転移魔法で行かせていただきました」
「あ!!」
そうだった。
ラス様は転移魔法が使えるんだった。
もしかして、ユウヤくん達と一緒に出かけていった、あの日は。
「もしかして、あの日、下見に行ってたんですか?」
「あの日をユーニさん達が呼び出された日のことを言っておられるのなら当たりです」
「転移魔法を使うにはいいけど、一度行った場所かもしくは、想像できる場所じゃねぇと駄目らしい。だから、その場所に行って、少しでも人に見られないような位置を探しに行ったんだ」
「そうなんだ」
説明してくれたユウヤくんの手を握ると、頭に顎を乗せられた。
ラス様とリアが無事だったから、緊張の糸が途切れたんだろうな。
「じゃあ、今からどうするんですか?」
「寝る場所もなくなったことですし、素直に地道に帰りますよ。リアさんには申し訳ないですが、転移魔法を使うわけにはいかないので」
「気にしないでください! ラス様と夜のお散歩ができて私は嬉しいですよ」
リアのはずんだ声が耳に届く。
今日は大変だったはずなのに、リアは本当にタフだなあ。
「無事に帰って来いよ。夜中だから魔物の動きも活発だぞ」
「何があってもリアさんだけはお守りしますよ」
「駄目ですよラス様。一緒に元気に帰りましょ。ね、ユウマくん?」
リアに聞かれ、
「当たり前だろ。二人共無事に帰ってこい」
そう答えたあと、表情の重かったユウマくんの顔が少し明るくなった気がした。
「心配掛けてごめんね! とりあえず、3人共安心して眠ってきてよ。朝にはそっちに着けると思うから、お風呂と美味しいご飯の用意しといて~!」
全く緊迫感のないリアの声に、私達は笑ってから、それぞれ返事を返したのだった。
闘技場を出てからは連絡もとらず、無事を信じて、もう一度部屋に戻って眠る事になったけど、興奮しているせいか、中々寝付けなくて、結局は早起きしてしまった。
リアにお願いされたとおり、美味しいご飯の用意をしよう、と思ったけど、出先だから何か買うなりしなければいけないな、と思い、支度を済ませて、ユウヤくんの部屋に向かった。
「おはよ」
「おはよ。ちゃんと寝たか」
ノックしたあと、ユウヤくんが寝癖のついた頭のままで、しかも、寝間着のシャツのボタンが全開になって素肌があらわになってる状態で扉を開けてくれた。
な、なんか普段と違ってドキドキする。
「ユーニ?」
「あ、一応は、寝たよ! ユウヤくんはちゃんと寝れたみたいだね」
「まあな、寝れる時に寝とかねぇと、何があるかわかんねぇし」
昨日の夜中にはなかった寝癖もついてるし、ちゃんとベッドに横にはなったんだと思うので言ってみると、歯を磨く用意をしながら答えてくれた。
「そっか、そうだよね」
なんだか落ち着かなくて、部屋の中をウロウロとしていると、歯をみがきながらユウヤくんが洗面所から出てくると、空いている手で私の腕を引いて、ベッドの上に座らせてくれた。
朝一番のユウヤくんを見たことがないからドキドキするのかな。
朝に会うのはよくあったけど、こんなゆるい感じのユウヤくんを見たのは初めてで、すごく意識してしまう。
と、扉が叩かれ、返事をする前に扉が開かれた。
これをするのは彼しかいない。
「ユーニちゃん、いる?」
「おはようユウマくん」
ユウヤくんの部屋だから遠慮がないのだろう。
散々、リアから返事が返ってきてから開けろ、と言われて、だいぶマシになってきていたはずなのに、慣れが先にきているんだろうな。
「おはよう。先に部屋に行ったけどいなかったから」
「うん。なんか落ち着かなくて。あ、そうだ。リアの好きな食べ物用意しようと思うんだけど、ユウマくんは何がいいと思う?」
「リアの? ああ、そういや美味しい飯を用意しとけって言ってたな」
「そうそう」
ユウマくんは当たり前のように私の横に座って考え始める。
「甘いものはデザートだから別腹っていうだろうしな」
「うん。リアは私みたいにお肉はそこまで好きじゃないし」
「ま、今は嫌いなもの以外を用意できてればいいんじゃね? たぶん夜通し歩いてて疲れの方が先だろうから、本人が帰ってきてから、改めて聞いたらどうだ?」
「そうだね。やっぱり、その時に本人が一番食べたいものがいいよね」
うんうんと、うなずき合っていると、歯磨きと着替えを終えたユウヤくんが洗面所から出てくるなり、ユウマくんを見て不機嫌そうな顔になった。
「またオマエは勝手に部屋に」
「さすがにリアやラスが帰ってきてねぇのに、いちゃついてねぇだろうと思って」
「そんなのわかんねぇだろ」
「ないよ」
ユウヤくんの言葉を否定したところで、イヤーカフからラス様の声が聞こえた。
「もうすぐ着きます」
「もー、疲れた、お腹ペコペコ。って、きゃっ!!」
「リアさん!」
ぶつん。
音声が途切れた。
「何があったの」
私が立ち上がると同時、ユウマくんも聞こえていたようで、同じように立ち上がった。
「どうした?」
ユウヤくんだけイヤーカフをつけてなかったから、さっきの音声が聞こえなかったらしい。
「ラス様がもうすぐ着きますって連絡くれたと思ったら、リアの悲鳴が聞こえて、そっから途切れたの」
ユウヤくんに伝えるために言葉にしたけれど、余計に不安が胸に押し寄せてきた。
大丈夫、大丈夫だよね。
祈った瞬間、リアの声が耳に届いた。
「ちょっと、薬草はとってきたんですか?」
「そんな事、今はどうでもいい。あなた達を勝たせるわけにはいかない!」
リアと話しているのはラナン様のようだった。
もしかして、あの後、リア達を追いかけてきたんだろうか。
「しつこいですねぇ。そんなに勝負したいなら、勝負しますか。ラス様、そっちの男の人、お願いできます?」
「やらざるを得ませんしね。くれぐれも怪我はしないように。あとからユウマに何を言われるかわかりませんし、あなたの辛そうな姿も見たくありません」
「ラス様、そういう乙女の心をつかんでくるような事言わないでくださいよ」
リアには余裕がありそうだけど、音声だけではやっぱりわからない。
「ユウマくん」
「そうだな。ユウヤ、行くぞ」
「一体、何が起こってんだ?」
困惑しているユウヤくんの手を引っ張り、急いでユウヤくんの部屋を出た。
困惑していると、ユウヤくんが後ろから抱きしめてくれながら答えてくれる。
「もう帰路につくつもりなんだろ」
なんで抱きしめられているのかはわからないけど、お腹にまわされた手に触れながら聞き返す。
「いや、それはわかるんだけど。このままじゃ、勝負に負けちゃうんじゃ?」
「手ぶらで帰ってくるわけじゃねぇからだよ」
「え?」
さっきから聞き返してばかりだけど、意味がわからないのだからしょうがない。
今度は隣にいたユウマくんが笑いながら答えてくれた。
「もう帰ってくるだけで勝てるからだよ」
「え?」
いまいちピンとこない。
気持ちを落ち着けて考える。
リア達が勝つ条件は指定された薬草をとってきて、一番早くにこちらに戻ってくること。
「という事は、もうリア達は薬草をとってきたってこと?」
「そういう事。誰にも見られないように、と用心のために夜に動いてたのが功を奏したってこと」
ユウヤくんが抱きしめる腕を強くしてくる。
彼もリア達が早くに帰ってこれそうなのを安堵してるのかもしれない。
「小屋から薬草のある場所ってどれくらいの時間がかかるの?」
「4時間くらいだよな、ユウマ」
「普通に行けば、な」
「じゃあ、リア達は一睡もしないで夜の危険な森を動いてたってこと?」
「違いますよ」
私の言葉を否定したのは、ユウヤくんでもユウマくんでもなく、イヤーカフから聞こえてくるラス様の声だった。
映像の方を見ると、小屋付近は映し出されたままだけど、もうラス様達の姿は見えず、他の人達も自分達の小屋に戻ったようだった。
戸惑っていると、ラス様が言葉を続ける。
「私が何が出来るか、もう忘れておられるようですね?」
「ラス様、色んなこと出来るから、いっぱいありすぎてわかりません」
「ユーニが言いたくなる気持ち、私もわかる」
リアがふき出して私の意見を肯定すると、少しの沈黙のあと、ラス様が口を開いた。
「転移魔法で行かせていただきました」
「あ!!」
そうだった。
ラス様は転移魔法が使えるんだった。
もしかして、ユウヤくん達と一緒に出かけていった、あの日は。
「もしかして、あの日、下見に行ってたんですか?」
「あの日をユーニさん達が呼び出された日のことを言っておられるのなら当たりです」
「転移魔法を使うにはいいけど、一度行った場所かもしくは、想像できる場所じゃねぇと駄目らしい。だから、その場所に行って、少しでも人に見られないような位置を探しに行ったんだ」
「そうなんだ」
説明してくれたユウヤくんの手を握ると、頭に顎を乗せられた。
ラス様とリアが無事だったから、緊張の糸が途切れたんだろうな。
「じゃあ、今からどうするんですか?」
「寝る場所もなくなったことですし、素直に地道に帰りますよ。リアさんには申し訳ないですが、転移魔法を使うわけにはいかないので」
「気にしないでください! ラス様と夜のお散歩ができて私は嬉しいですよ」
リアのはずんだ声が耳に届く。
今日は大変だったはずなのに、リアは本当にタフだなあ。
「無事に帰って来いよ。夜中だから魔物の動きも活発だぞ」
「何があってもリアさんだけはお守りしますよ」
「駄目ですよラス様。一緒に元気に帰りましょ。ね、ユウマくん?」
リアに聞かれ、
「当たり前だろ。二人共無事に帰ってこい」
そう答えたあと、表情の重かったユウマくんの顔が少し明るくなった気がした。
「心配掛けてごめんね! とりあえず、3人共安心して眠ってきてよ。朝にはそっちに着けると思うから、お風呂と美味しいご飯の用意しといて~!」
全く緊迫感のないリアの声に、私達は笑ってから、それぞれ返事を返したのだった。
闘技場を出てからは連絡もとらず、無事を信じて、もう一度部屋に戻って眠る事になったけど、興奮しているせいか、中々寝付けなくて、結局は早起きしてしまった。
リアにお願いされたとおり、美味しいご飯の用意をしよう、と思ったけど、出先だから何か買うなりしなければいけないな、と思い、支度を済ませて、ユウヤくんの部屋に向かった。
「おはよ」
「おはよ。ちゃんと寝たか」
ノックしたあと、ユウヤくんが寝癖のついた頭のままで、しかも、寝間着のシャツのボタンが全開になって素肌があらわになってる状態で扉を開けてくれた。
な、なんか普段と違ってドキドキする。
「ユーニ?」
「あ、一応は、寝たよ! ユウヤくんはちゃんと寝れたみたいだね」
「まあな、寝れる時に寝とかねぇと、何があるかわかんねぇし」
昨日の夜中にはなかった寝癖もついてるし、ちゃんとベッドに横にはなったんだと思うので言ってみると、歯を磨く用意をしながら答えてくれた。
「そっか、そうだよね」
なんだか落ち着かなくて、部屋の中をウロウロとしていると、歯をみがきながらユウヤくんが洗面所から出てくると、空いている手で私の腕を引いて、ベッドの上に座らせてくれた。
朝一番のユウヤくんを見たことがないからドキドキするのかな。
朝に会うのはよくあったけど、こんなゆるい感じのユウヤくんを見たのは初めてで、すごく意識してしまう。
と、扉が叩かれ、返事をする前に扉が開かれた。
これをするのは彼しかいない。
「ユーニちゃん、いる?」
「おはようユウマくん」
ユウヤくんの部屋だから遠慮がないのだろう。
散々、リアから返事が返ってきてから開けろ、と言われて、だいぶマシになってきていたはずなのに、慣れが先にきているんだろうな。
「おはよう。先に部屋に行ったけどいなかったから」
「うん。なんか落ち着かなくて。あ、そうだ。リアの好きな食べ物用意しようと思うんだけど、ユウマくんは何がいいと思う?」
「リアの? ああ、そういや美味しい飯を用意しとけって言ってたな」
「そうそう」
ユウマくんは当たり前のように私の横に座って考え始める。
「甘いものはデザートだから別腹っていうだろうしな」
「うん。リアは私みたいにお肉はそこまで好きじゃないし」
「ま、今は嫌いなもの以外を用意できてればいいんじゃね? たぶん夜通し歩いてて疲れの方が先だろうから、本人が帰ってきてから、改めて聞いたらどうだ?」
「そうだね。やっぱり、その時に本人が一番食べたいものがいいよね」
うんうんと、うなずき合っていると、歯磨きと着替えを終えたユウヤくんが洗面所から出てくるなり、ユウマくんを見て不機嫌そうな顔になった。
「またオマエは勝手に部屋に」
「さすがにリアやラスが帰ってきてねぇのに、いちゃついてねぇだろうと思って」
「そんなのわかんねぇだろ」
「ないよ」
ユウヤくんの言葉を否定したところで、イヤーカフからラス様の声が聞こえた。
「もうすぐ着きます」
「もー、疲れた、お腹ペコペコ。って、きゃっ!!」
「リアさん!」
ぶつん。
音声が途切れた。
「何があったの」
私が立ち上がると同時、ユウマくんも聞こえていたようで、同じように立ち上がった。
「どうした?」
ユウヤくんだけイヤーカフをつけてなかったから、さっきの音声が聞こえなかったらしい。
「ラス様がもうすぐ着きますって連絡くれたと思ったら、リアの悲鳴が聞こえて、そっから途切れたの」
ユウヤくんに伝えるために言葉にしたけれど、余計に不安が胸に押し寄せてきた。
大丈夫、大丈夫だよね。
祈った瞬間、リアの声が耳に届いた。
「ちょっと、薬草はとってきたんですか?」
「そんな事、今はどうでもいい。あなた達を勝たせるわけにはいかない!」
リアと話しているのはラナン様のようだった。
もしかして、あの後、リア達を追いかけてきたんだろうか。
「しつこいですねぇ。そんなに勝負したいなら、勝負しますか。ラス様、そっちの男の人、お願いできます?」
「やらざるを得ませんしね。くれぐれも怪我はしないように。あとからユウマに何を言われるかわかりませんし、あなたの辛そうな姿も見たくありません」
「ラス様、そういう乙女の心をつかんでくるような事言わないでくださいよ」
リアには余裕がありそうだけど、音声だけではやっぱりわからない。
「ユウマくん」
「そうだな。ユウヤ、行くぞ」
「一体、何が起こってんだ?」
困惑しているユウヤくんの手を引っ張り、急いでユウヤくんの部屋を出た。
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