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21 話を聞いて下さい? お咎めなしで済むわけないですからね?
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その後、ザック様からご友人を何人か紹介してもらってから、疲れてきたので帰ることにした。
ルキアの体力では限界で、まだ頑張った方だと思う。
ちなみに、ヒビノン伯爵令嬢とハバミル子爵令嬢は、パートナーと共にナコッタ侯爵に呼び出されて連れて行かれてからは姿を見ていない。
さすがに殺されたりはしていないと思うけど…。
たぶん、皿をわざと割ったりして雰囲気を悪くさせたのと、ザック様のパートナーである私をターゲットにしたから、家に連絡は確実にいくだろう。
親がまともで、彼女達をしっかり叱ってくれればいいけど、馬鹿な場合はまた、何かあるかもしれない。
馬鹿でない事を祈る。
侯爵家からは、私の家よりザック様の家の方が近いので、今日はザック様の家に泊まらせてもらう事になっている。
ここまできたら、ミゲルとザック様の勝負は、ザック様の勝ちでいい様な気がするけど、それを認めてしまうと、私がザック様を好きになった事になるのよね…。
それはそれでいいのかな。
日にちが経つにつれて、皆もそんな噂など忘れてしまうだろうし。
「どうかしたのか、ルキア嬢。疲れたか?」
「そうですね。色々とありましたし、気疲れはあるかもしれません。何より、こんなに長い間立ちっぱなしだったのは久しぶりなので…」
ザック様にエスコートされて、会場を出て、馬車が来るのを話しながら待っていると、背後から男性の声が聞こえた。
「トルマリア公爵令息」
ザック様と一緒に振り返ると、赤茶色の長い髪を一つにまとめた、背の高いモデル体型の男性が、白い歯を見せていた。
何か、見た事のあるような…?
でも、誰だか思い出せない。
ザック様も同じ様に思ったのか、眉を寄せて尋ねる。
「君は誰だ? 見た目の雰囲気は学生時代に見たことはあるが、少し違う様な気が…」
「初めてお会いしますから、知らなくても当然です」
男は名乗る事はせずに話を続ける。
「そちらの美しいお嬢さん、トルマリア公爵令息は浮気をしていますよ」
「は?」
私とザック様の声が重なる。
「僕は見たんですよ、トルマリア公爵令息が、どこぞのご令嬢と腕を組んで歩いているのを!」
「はあ…」
何を言ってんの、この人。
っていうか、この声…。
「僕はそんな覚えはないのだが、誰かと間違っているんじゃないのか?」
「いや、そんな事はありません。他にも見た人がいるんですよ!」
「…ザック様」
「ああ、僕もそう思う」
思った事を口にしようと思ったのだけど、ザック様は私の言わんとしている事を気が付いてくれたらしい。
そして、私と声を揃えて、男の方を見て言う。
「ミゲル?」
「…な、な、何の事でしょうか?」
「声が思い切りミゲルなんですけど」
「ミゲルだろう」
「違いますよ! そんな事よりも、話を聞いて下さい!」
ミゲルらしき人物は私に向かって叫ぶ。
「トルマリア公爵令息は」
「忠告してあげるけど、公爵令息の嘘の噂を流して、お咎めなしで済むわけないですからね?」
「えっ…」
「えっ、じゃないだろう。大体、ミゲルじゃないなら、君はどこの誰なんだ。僕は浮気しようにも、ほとんど屋敷から出ていないが? 発言に責任は持てるんだろうな」
私とザック様が睨むと、ミゲルらしき男は、慌てた顔になったかと思うと、突然走って逃げ出した。
「待て! おい! あの男を捕まえてくれ!」
人混みに紛れていく変装したミゲルを指差し、ザック様が近くにいた騎士に叫んだ。
指示された騎士達は慌てて、ミゲルを追いかけていく。
「一体、何なんですか、あの人」
「誰かの招待状を借りたのかもしれないな。その人間に化けたつもりだったんだろう」
「全然、化けれてなかったじゃないですか」
髪型も変えていたし、メイクも多少はしていたけれど、声は思い切り、ただのミゲルだった。
「そうだな。とにかく、どうしようか。このまま帰るわけにもいかなくなったな」
「あの、ザック様、ナコッタ侯爵に謝罪をしたいんですが…」
「どうしてだ?」
「ヒビノン伯爵令嬢達の事もそうですし、今のミゲルも私が関わっていますから…」
私がここに来ていなければ、こんな事にならなかったし、本当に申し訳ない。
ザック様はミゲルについては私のせいではなく、自分のせいだと言ってくれたけれど、一緒に謝りに行った。
ナコッタ侯爵は良い人で、私のせいではないし、謝罪も必要ないと言ってくれた。
ただ、ザック様と2人で話をしたいと言われたので、私は会場の外で待つ事にした。
「すまない。少しだけ、待っていてもらえるか?」
「もちろんです。あ、ミゲルを捕まえたら、ボコボコにするように、ナコッタ侯爵に伝えてもらえませんか?」
「わかった」
ザック様は頷いた後、一度、会場内に戻り、少ししてから、私が待っている会場の外に戻ってきてくれた。
「ミゲルはまだ捕まってないみたいだが、捕まったら、ボコボコ? にしておいて欲しいと伝えておいた」
「本当にボコボコって伝えたんですか」
「君がそう言っただろう」
真面目な顔で言うザック様に吹き出しそうになったけれど、待っていた馬車が来てくれていたおかげで、笑いを誤魔化す事が出来た。
馬車に乗り込み、向かい合って話をする。
「ミゲルは何がしたかったのか、白状するでしょうか」
「さあな。ボコボコにされた後は、警察に連れて行かれるだろうし、白状せざるを得ないんじゃないか?」
「ミゲル自体は、今回の夜会招待はされてなかったんですよね?」
「そうみたいだ」
「なら、明らかに犯罪ですね」
人の招待状で、その人のふりをしてパーティーにやって来たのだから、招待状を彼に渡した人物も捕まるんだろうなあ。
その日は、ザック様のお家に着いてからは、ロゼッタ様の手配により、私はトルマリア家のメイド達に至れり尽くせりの接待を受けた。
次の日の朝、トルマリア家の方々と朝食を食べる予定だったのだけれど、ザック様が私の泊まっている部屋にやって来て言った。
「ドーウッド伯爵から昨日の晩に連絡があってな。謝りに来たいと言っているんだ。今日の昼過ぎに着くらしいから、君はもう一泊できるだろうか?」
「かまいませんが、ご迷惑ではないですか? それに、私がいなくても…」
「君にも謝りたいらしい」
ザック様に言われ、ドーウッド伯爵の顔は思い出せたけれど、その時に驚くべき事がわかった。
ルキアはミゲルと結婚したけれど、ドーウッド伯爵夫妻に挨拶に行っていない。
相手の親に挨拶って普通はするわよね…?
これは、何か言われそうな気がするけれど、その時に考えたらいいかな。
呑気にそんな事を思い、昨日の晩に挨拶に行けなかった、トルマリア公爵閣下とザック様のお兄様に、まずは挨拶に行く事にした。
そして昼過ぎに、ドーウッド伯爵がトルマリア公爵家にやって来た。
トルマリア公爵閣下は遅れて来られるとの事で、私とザック様が、ドーウッド伯爵を待たせている応接室に入ると、ミゲルの二十年後と言われてもおかしくないくらい、ミゲルを老けさせた感じの男性がソファーから立ち上がった。
ミゲルに悩まされているからか、もしくは、遺伝なのか、頭頂部が少し物悲しい感じになっている。
ドーウッド伯爵は私とザック様の前に歩いてきたかと思うと、真剣な表情で、私達を見つめた。
そして、すぐに土下座して叫んだ。
「申し訳ございませんでしたぁ!」
その様子に、私とザック様は思わず顔を見合わせた。
ルキアの体力では限界で、まだ頑張った方だと思う。
ちなみに、ヒビノン伯爵令嬢とハバミル子爵令嬢は、パートナーと共にナコッタ侯爵に呼び出されて連れて行かれてからは姿を見ていない。
さすがに殺されたりはしていないと思うけど…。
たぶん、皿をわざと割ったりして雰囲気を悪くさせたのと、ザック様のパートナーである私をターゲットにしたから、家に連絡は確実にいくだろう。
親がまともで、彼女達をしっかり叱ってくれればいいけど、馬鹿な場合はまた、何かあるかもしれない。
馬鹿でない事を祈る。
侯爵家からは、私の家よりザック様の家の方が近いので、今日はザック様の家に泊まらせてもらう事になっている。
ここまできたら、ミゲルとザック様の勝負は、ザック様の勝ちでいい様な気がするけど、それを認めてしまうと、私がザック様を好きになった事になるのよね…。
それはそれでいいのかな。
日にちが経つにつれて、皆もそんな噂など忘れてしまうだろうし。
「どうかしたのか、ルキア嬢。疲れたか?」
「そうですね。色々とありましたし、気疲れはあるかもしれません。何より、こんなに長い間立ちっぱなしだったのは久しぶりなので…」
ザック様にエスコートされて、会場を出て、馬車が来るのを話しながら待っていると、背後から男性の声が聞こえた。
「トルマリア公爵令息」
ザック様と一緒に振り返ると、赤茶色の長い髪を一つにまとめた、背の高いモデル体型の男性が、白い歯を見せていた。
何か、見た事のあるような…?
でも、誰だか思い出せない。
ザック様も同じ様に思ったのか、眉を寄せて尋ねる。
「君は誰だ? 見た目の雰囲気は学生時代に見たことはあるが、少し違う様な気が…」
「初めてお会いしますから、知らなくても当然です」
男は名乗る事はせずに話を続ける。
「そちらの美しいお嬢さん、トルマリア公爵令息は浮気をしていますよ」
「は?」
私とザック様の声が重なる。
「僕は見たんですよ、トルマリア公爵令息が、どこぞのご令嬢と腕を組んで歩いているのを!」
「はあ…」
何を言ってんの、この人。
っていうか、この声…。
「僕はそんな覚えはないのだが、誰かと間違っているんじゃないのか?」
「いや、そんな事はありません。他にも見た人がいるんですよ!」
「…ザック様」
「ああ、僕もそう思う」
思った事を口にしようと思ったのだけど、ザック様は私の言わんとしている事を気が付いてくれたらしい。
そして、私と声を揃えて、男の方を見て言う。
「ミゲル?」
「…な、な、何の事でしょうか?」
「声が思い切りミゲルなんですけど」
「ミゲルだろう」
「違いますよ! そんな事よりも、話を聞いて下さい!」
ミゲルらしき人物は私に向かって叫ぶ。
「トルマリア公爵令息は」
「忠告してあげるけど、公爵令息の嘘の噂を流して、お咎めなしで済むわけないですからね?」
「えっ…」
「えっ、じゃないだろう。大体、ミゲルじゃないなら、君はどこの誰なんだ。僕は浮気しようにも、ほとんど屋敷から出ていないが? 発言に責任は持てるんだろうな」
私とザック様が睨むと、ミゲルらしき男は、慌てた顔になったかと思うと、突然走って逃げ出した。
「待て! おい! あの男を捕まえてくれ!」
人混みに紛れていく変装したミゲルを指差し、ザック様が近くにいた騎士に叫んだ。
指示された騎士達は慌てて、ミゲルを追いかけていく。
「一体、何なんですか、あの人」
「誰かの招待状を借りたのかもしれないな。その人間に化けたつもりだったんだろう」
「全然、化けれてなかったじゃないですか」
髪型も変えていたし、メイクも多少はしていたけれど、声は思い切り、ただのミゲルだった。
「そうだな。とにかく、どうしようか。このまま帰るわけにもいかなくなったな」
「あの、ザック様、ナコッタ侯爵に謝罪をしたいんですが…」
「どうしてだ?」
「ヒビノン伯爵令嬢達の事もそうですし、今のミゲルも私が関わっていますから…」
私がここに来ていなければ、こんな事にならなかったし、本当に申し訳ない。
ザック様はミゲルについては私のせいではなく、自分のせいだと言ってくれたけれど、一緒に謝りに行った。
ナコッタ侯爵は良い人で、私のせいではないし、謝罪も必要ないと言ってくれた。
ただ、ザック様と2人で話をしたいと言われたので、私は会場の外で待つ事にした。
「すまない。少しだけ、待っていてもらえるか?」
「もちろんです。あ、ミゲルを捕まえたら、ボコボコにするように、ナコッタ侯爵に伝えてもらえませんか?」
「わかった」
ザック様は頷いた後、一度、会場内に戻り、少ししてから、私が待っている会場の外に戻ってきてくれた。
「ミゲルはまだ捕まってないみたいだが、捕まったら、ボコボコ? にしておいて欲しいと伝えておいた」
「本当にボコボコって伝えたんですか」
「君がそう言っただろう」
真面目な顔で言うザック様に吹き出しそうになったけれど、待っていた馬車が来てくれていたおかげで、笑いを誤魔化す事が出来た。
馬車に乗り込み、向かい合って話をする。
「ミゲルは何がしたかったのか、白状するでしょうか」
「さあな。ボコボコにされた後は、警察に連れて行かれるだろうし、白状せざるを得ないんじゃないか?」
「ミゲル自体は、今回の夜会招待はされてなかったんですよね?」
「そうみたいだ」
「なら、明らかに犯罪ですね」
人の招待状で、その人のふりをしてパーティーにやって来たのだから、招待状を彼に渡した人物も捕まるんだろうなあ。
その日は、ザック様のお家に着いてからは、ロゼッタ様の手配により、私はトルマリア家のメイド達に至れり尽くせりの接待を受けた。
次の日の朝、トルマリア家の方々と朝食を食べる予定だったのだけれど、ザック様が私の泊まっている部屋にやって来て言った。
「ドーウッド伯爵から昨日の晩に連絡があってな。謝りに来たいと言っているんだ。今日の昼過ぎに着くらしいから、君はもう一泊できるだろうか?」
「かまいませんが、ご迷惑ではないですか? それに、私がいなくても…」
「君にも謝りたいらしい」
ザック様に言われ、ドーウッド伯爵の顔は思い出せたけれど、その時に驚くべき事がわかった。
ルキアはミゲルと結婚したけれど、ドーウッド伯爵夫妻に挨拶に行っていない。
相手の親に挨拶って普通はするわよね…?
これは、何か言われそうな気がするけれど、その時に考えたらいいかな。
呑気にそんな事を思い、昨日の晩に挨拶に行けなかった、トルマリア公爵閣下とザック様のお兄様に、まずは挨拶に行く事にした。
そして昼過ぎに、ドーウッド伯爵がトルマリア公爵家にやって来た。
トルマリア公爵閣下は遅れて来られるとの事で、私とザック様が、ドーウッド伯爵を待たせている応接室に入ると、ミゲルの二十年後と言われてもおかしくないくらい、ミゲルを老けさせた感じの男性がソファーから立ち上がった。
ミゲルに悩まされているからか、もしくは、遺伝なのか、頭頂部が少し物悲しい感じになっている。
ドーウッド伯爵は私とザック様の前に歩いてきたかと思うと、真剣な表情で、私達を見つめた。
そして、すぐに土下座して叫んだ。
「申し訳ございませんでしたぁ!」
その様子に、私とザック様は思わず顔を見合わせた。
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