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第二部
5 新しいお友達
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優しい表情を見せてくれたクレア様にイーサン様が驚いた顔をして言う。
「クレアは滅多に笑わないのに、今、笑ってた」
「え? 今の笑ってたの?」
「失礼ですね」
イーサン様の言葉に驚いて聞き返したリアムに、クレア様は眉を寄せて、そう答えると、私に向かってカーテシーをしてくれる。
「お目にかかれて光栄です。クレア・レッドバーンズと申します。クレアとお呼びください」
「アイリス・マオニールです。お会いできて嬉しいです。私のことはアイリスと呼んでください」
私がそう言うと、笑顔ではないけれど、また優しい目を私に向けてくれた。
イーサン様の言った通り、私も、彼女が笑ってくれたのだと思った。
他愛のない話をしたあと、クレア様がリアムに言う。
「リアム様、アイリス様に絡んでおられた令嬢の名前は、イーサンが全て覚えてます」
「令嬢達の名前を教えてくれたのはクレアだぞ! どこの誰か、しっかり見てくれていたんだ! 二人の共同作業だ。すごいだろ?」
なぜか、自分で言ったくせに照れてしまっているイーサン様。
本当にクレア様のことが好きなのね。
微笑ましく思っていると、それはリアムも同じ気持ちだったみたいだった。
「二人は本当に仲が良いよね」
お二人を見て笑ってから、リアムはイーサン様に尋ねる。
「で、どこの令嬢だったか教えてくれる?」
「教えるのはかまわないが、リアム、ちゃんと笑えていないぞ? せっかくの男前が狼男みたいになってる」
「たとえが意味不明なんだけど」
クレア様に言われて、イーサン様は首を傾げる。
「狼男って怖くないか?」
「怖いけど、リアム様にはあてはまらないでしょ」
「でも、怖かったんだ。小さいリスのようなアイリス様には怖いんじゃないかと思って……」
「気を付けるよ」
リアムが貼り付けたような笑みを浮かべたまま言うと、イーサン様は首を横に振る。
「教えるのは良いけど、やりすぎては駄目だと思う。クレアに怒られるぞ」
「何で私を出してくるのよ」
「リアム、クレアは本当にすごいし怖いんだぞ! もしかしたら、夢に出てくるかも……」
クレア様の言葉を無視して、イーサン様が目をキラキラさせてにリアムに言った。
「イーサン、怖いは女性に対しての褒め言葉じゃないからね……」
「そうよ。イーサン、あなた、明日はおやつなしだからね」
「そんな……! クレアとのティータイムがっ!」
クレア様に言われたイーサン様は、ショックなのか目をウルウルさせる。
体は大きいけれど、イーサン様は16歳らしいから、子供っぽいところがあるのね……。
とても純粋な人だから、リアムもお友達になったのかもしれない。
「クレア嬢、僕に免じて許してあげてくれないかな。そうじゃないと、イーサンが令嬢達の名前を教えてくれなさそうだ」
「……承知しました。イーサン、許してあげるから、リアム様に協力してあげて」
「わかった!」
イーサン様は悲しげな表情を一変させて、キラキラの笑顔を見せて首を縦に振った。
こんな犬がいたら飼いたいと思ってしまうのは失礼かしら?
その後、イーサン様から令嬢達の名を聞くと、「女性同士で話をしてもらっていても良いかな」と言って、イーサン様と一緒に、リアムはどこかへ行ってしまったので、残された私とクレア様で話すことになった。
最初は緊張していたけれど、クレア様の元婚約者が現れたりするというハプニングのおかげで打ち解けられて、私に新たなお友達が出来たのだった。
※明日からは新章に移ります。
「クレアは滅多に笑わないのに、今、笑ってた」
「え? 今の笑ってたの?」
「失礼ですね」
イーサン様の言葉に驚いて聞き返したリアムに、クレア様は眉を寄せて、そう答えると、私に向かってカーテシーをしてくれる。
「お目にかかれて光栄です。クレア・レッドバーンズと申します。クレアとお呼びください」
「アイリス・マオニールです。お会いできて嬉しいです。私のことはアイリスと呼んでください」
私がそう言うと、笑顔ではないけれど、また優しい目を私に向けてくれた。
イーサン様の言った通り、私も、彼女が笑ってくれたのだと思った。
他愛のない話をしたあと、クレア様がリアムに言う。
「リアム様、アイリス様に絡んでおられた令嬢の名前は、イーサンが全て覚えてます」
「令嬢達の名前を教えてくれたのはクレアだぞ! どこの誰か、しっかり見てくれていたんだ! 二人の共同作業だ。すごいだろ?」
なぜか、自分で言ったくせに照れてしまっているイーサン様。
本当にクレア様のことが好きなのね。
微笑ましく思っていると、それはリアムも同じ気持ちだったみたいだった。
「二人は本当に仲が良いよね」
お二人を見て笑ってから、リアムはイーサン様に尋ねる。
「で、どこの令嬢だったか教えてくれる?」
「教えるのはかまわないが、リアム、ちゃんと笑えていないぞ? せっかくの男前が狼男みたいになってる」
「たとえが意味不明なんだけど」
クレア様に言われて、イーサン様は首を傾げる。
「狼男って怖くないか?」
「怖いけど、リアム様にはあてはまらないでしょ」
「でも、怖かったんだ。小さいリスのようなアイリス様には怖いんじゃないかと思って……」
「気を付けるよ」
リアムが貼り付けたような笑みを浮かべたまま言うと、イーサン様は首を横に振る。
「教えるのは良いけど、やりすぎては駄目だと思う。クレアに怒られるぞ」
「何で私を出してくるのよ」
「リアム、クレアは本当にすごいし怖いんだぞ! もしかしたら、夢に出てくるかも……」
クレア様の言葉を無視して、イーサン様が目をキラキラさせてにリアムに言った。
「イーサン、怖いは女性に対しての褒め言葉じゃないからね……」
「そうよ。イーサン、あなた、明日はおやつなしだからね」
「そんな……! クレアとのティータイムがっ!」
クレア様に言われたイーサン様は、ショックなのか目をウルウルさせる。
体は大きいけれど、イーサン様は16歳らしいから、子供っぽいところがあるのね……。
とても純粋な人だから、リアムもお友達になったのかもしれない。
「クレア嬢、僕に免じて許してあげてくれないかな。そうじゃないと、イーサンが令嬢達の名前を教えてくれなさそうだ」
「……承知しました。イーサン、許してあげるから、リアム様に協力してあげて」
「わかった!」
イーサン様は悲しげな表情を一変させて、キラキラの笑顔を見せて首を縦に振った。
こんな犬がいたら飼いたいと思ってしまうのは失礼かしら?
その後、イーサン様から令嬢達の名を聞くと、「女性同士で話をしてもらっていても良いかな」と言って、イーサン様と一緒に、リアムはどこかへ行ってしまったので、残された私とクレア様で話すことになった。
最初は緊張していたけれど、クレア様の元婚約者が現れたりするというハプニングのおかげで打ち解けられて、私に新たなお友達が出来たのだった。
※明日からは新章に移ります。
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