69 / 69
第二部
19 それぞれの進む道
しおりを挟む
話し終えたあと、私達はすぐに宮殿を後にして、帰宅の途に着いた。
予想以上に足止めされてしまったため、リアムの仕事もたまっているだろうし、他の予定にも支障が出始めるだろうと考えたからだ。
「帰ったら、仕事三昧だな……」
「頑張って下さい! 私にも何か手伝えることがありましたらお手伝いいたしますので!」
「じゃあ、久しぶりにお菓子を作ってくれる? 甘いものが無性に食べたくなる時があるから」
「もちろんです」
馬車の中で、流れる景色を見ながら、少しずつ遠ざかり、小さくなってきた宮殿を見て、リアムに聞いてみる。
「あのお二人はどうなると思います?」
「ディール殿下は優しすぎる様な気がするから、本当は王配には向いていないかもしれない」
「元々、ディール殿下の家系は男爵家でしたっけ?」
「ああ。だからって、それで上に向いてないとかいうわけじゃないよ。もちろん、小さな頃からの心構えも必要だと思うけど、彼は優しいから、女王陛下を切り捨てられないかもしれない。だけど、王配のように上に立つような人間がそれじゃ駄目なんだよ。間違ったことは間違ってると言わないと駄目だ。相手がどんなに愛している人で、そのせいで嫌われてしまっても、だ」
リアムが少し悲しげな表情で言うので聞いてみる。
「じゃあ、リアムは私が間違ったことをしたら、止めてくれるんですね?」
「そりゃあ止めるよ」
「ありがとうございます」
「でも、嫌うのは止めてほしいな」
「考えておきます」
ちょっと意地悪して言ってみると、横に座っていたリアムが抱きしめてくる。
「嫌われないように何か言うときは、君の好きなものを用意してから言うよ」
「私をなんだと思ってるんですか! ちゃんと悪いと思ったら反省しますし、そんなことで嫌いになりません!」
「そうだよね」
腕の中で彼を見上げて答えると、リアムは微笑んで頷いた。
それから約一週間後、私達が家に帰り着くと、ディール殿下から手紙が届いていた。
書かれていた内容は、離婚を考えているけれど、中々踏み切れないということと、セーラ様が今回のショックで、泣いて暮らすようになったと書かれていた。
話し合いはセーラ様が自分がワガママだったと素直に認めて、これからは気を付けるとのことだったらしいのだけれど、ディール殿下の心の傷はだいぶ深いみたいだった。
「ディール殿下と別れることになったら、セーラ様はどうされるのでしょう」
「ヤケになって、男漁りをするかもしれないね」
「そうなったら、また、リアムが狙われるんじゃないですか!?」
焦って尋ねると、リアムは笑顔で言う。
「その時はまたアイリスも一緒に断ってくれる?」
「もちろんです!」
頷いたあと、心の中でセーラ様に願う。
今度こそは選択を間違えないで下さいね?
ディール殿下の様な人は、きっとこの先現れないと思いますから、なんとかつなぎとめる、もしくは、心を入れ替えて、素敵な女性になってから新たな恋をしてほしいです。
その20日後にディール殿下から手紙が届くのだけれど、その時の私達は第一子を妊娠したということで、それどころではなくなっていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヤキモチを妬いて欲しい女性とヤキモチは良くないと思う男性のすれ違いを書いてみたかったのですが、中々、上手く表現が出来ずに申し訳ございませんでした。
別れたか復縁?したかは、読者様にお任せしたくて、あんなラストになっております。
リアムとアイリスにはその後、二人の子供が生まれます。
こちらも、ちょっとは書いたのですが、だらだらと続けるのも良くないかと思いますので、これで完結とさせていただきます!
なろうさんの方で、幻?の第一部50話を本日の夜に投稿しますので、気になる方は足を運んでいただけますと嬉しいです。
そして、昨日から新作を投稿しております。
「邪魔者はどちらでしょう?」になります。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
予想以上に足止めされてしまったため、リアムの仕事もたまっているだろうし、他の予定にも支障が出始めるだろうと考えたからだ。
「帰ったら、仕事三昧だな……」
「頑張って下さい! 私にも何か手伝えることがありましたらお手伝いいたしますので!」
「じゃあ、久しぶりにお菓子を作ってくれる? 甘いものが無性に食べたくなる時があるから」
「もちろんです」
馬車の中で、流れる景色を見ながら、少しずつ遠ざかり、小さくなってきた宮殿を見て、リアムに聞いてみる。
「あのお二人はどうなると思います?」
「ディール殿下は優しすぎる様な気がするから、本当は王配には向いていないかもしれない」
「元々、ディール殿下の家系は男爵家でしたっけ?」
「ああ。だからって、それで上に向いてないとかいうわけじゃないよ。もちろん、小さな頃からの心構えも必要だと思うけど、彼は優しいから、女王陛下を切り捨てられないかもしれない。だけど、王配のように上に立つような人間がそれじゃ駄目なんだよ。間違ったことは間違ってると言わないと駄目だ。相手がどんなに愛している人で、そのせいで嫌われてしまっても、だ」
リアムが少し悲しげな表情で言うので聞いてみる。
「じゃあ、リアムは私が間違ったことをしたら、止めてくれるんですね?」
「そりゃあ止めるよ」
「ありがとうございます」
「でも、嫌うのは止めてほしいな」
「考えておきます」
ちょっと意地悪して言ってみると、横に座っていたリアムが抱きしめてくる。
「嫌われないように何か言うときは、君の好きなものを用意してから言うよ」
「私をなんだと思ってるんですか! ちゃんと悪いと思ったら反省しますし、そんなことで嫌いになりません!」
「そうだよね」
腕の中で彼を見上げて答えると、リアムは微笑んで頷いた。
それから約一週間後、私達が家に帰り着くと、ディール殿下から手紙が届いていた。
書かれていた内容は、離婚を考えているけれど、中々踏み切れないということと、セーラ様が今回のショックで、泣いて暮らすようになったと書かれていた。
話し合いはセーラ様が自分がワガママだったと素直に認めて、これからは気を付けるとのことだったらしいのだけれど、ディール殿下の心の傷はだいぶ深いみたいだった。
「ディール殿下と別れることになったら、セーラ様はどうされるのでしょう」
「ヤケになって、男漁りをするかもしれないね」
「そうなったら、また、リアムが狙われるんじゃないですか!?」
焦って尋ねると、リアムは笑顔で言う。
「その時はまたアイリスも一緒に断ってくれる?」
「もちろんです!」
頷いたあと、心の中でセーラ様に願う。
今度こそは選択を間違えないで下さいね?
ディール殿下の様な人は、きっとこの先現れないと思いますから、なんとかつなぎとめる、もしくは、心を入れ替えて、素敵な女性になってから新たな恋をしてほしいです。
その20日後にディール殿下から手紙が届くのだけれど、その時の私達は第一子を妊娠したということで、それどころではなくなっていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヤキモチを妬いて欲しい女性とヤキモチは良くないと思う男性のすれ違いを書いてみたかったのですが、中々、上手く表現が出来ずに申し訳ございませんでした。
別れたか復縁?したかは、読者様にお任せしたくて、あんなラストになっております。
リアムとアイリスにはその後、二人の子供が生まれます。
こちらも、ちょっとは書いたのですが、だらだらと続けるのも良くないかと思いますので、これで完結とさせていただきます!
なろうさんの方で、幻?の第一部50話を本日の夜に投稿しますので、気になる方は足を運んでいただけますと嬉しいです。
そして、昨日から新作を投稿しております。
「邪魔者はどちらでしょう?」になります。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
139
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(179件)
あなたにおすすめの小説
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】恋が終わる、その隙に
七瀬菜々
恋愛
秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。
伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。
愛しい彼の、弟の妻としてーーー。
【完結】ご期待に、お応えいたします
楽歩
恋愛
王太子妃教育を予定より早く修了した公爵令嬢フェリシアは、残りの学園生活を友人のオリヴィア、ライラと穏やかに過ごせると喜んでいた。ところが、その友人から思いもよらぬ噂を耳にする。
ーー私たちは、学院内で“悪役令嬢”と呼ばれているらしいーー
ヒロインをいじめる高慢で意地悪な令嬢。オリヴィアは婚約者に近づく男爵令嬢を、ライラは突然侯爵家に迎えられた庶子の妹を、そしてフェリシアは平民出身の“精霊姫”をそれぞれ思い浮かべる。
小説の筋書きのような、婚約破棄や破滅の結末を思い浮かべながらも、三人は皮肉を交えて笑い合う。
そんな役どころに仕立て上げられていたなんて。しかも、当の“ヒロイン”たちはそれを承知のうえで、あくまで“純真”に振る舞っているというのだから、たちが悪い。
けれど、そう望むのなら――さあ、ご期待にお応えして、見事に演じきって見せますわ。
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
心の傷は癒えるもの?ええ。簡単に。
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢セラヴィは婚約者のトレッドから婚約を解消してほしいと言われた。
理由は他の女性を好きになってしまったから。
10年も婚約してきたのに、セラヴィよりもその女性を選ぶという。
意志の固いトレッドを見て、婚約解消を認めた。
ちょうど長期休暇に入ったことで学園でトレッドと顔を合わせずに済み、休暇明けまでに失恋の傷を癒しておくべきだと考えた友人ミンディーナが領地に誘ってくれた。
セラヴィと同じく婚約を解消した経験があるミンディーナの兄ライガーに話を聞いてもらっているうちに段々と心の傷は癒えていったというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ロバートデヴァイスて名前何処かで聞いたと思ったら、サイレントメビウスの主人公の恋人の名前と同じ。
作者曰く名前の由来はロバートデニーロだとか。
「サイレントメビウス」初めて聞いた名前です。
調べましたが、私が小さい頃のもので有名なものなんですね。
私の場合は何も考えてません。
ロバート・デニーロは好きです。
お祝いのお言葉をありがとうございます!
ある意味、アイリスがお人好し?だったから巻き込まれたのかもしれませんが、相手は女王ですからね(T_T)
ただ、人の恋路に当事者以外を巻き込むのは駄目ですよね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨
謝らないでくださいませ!
どうなるか先がわからない分イライラされてしまったのかなと思いますので、こちらこそ、気にされてしまうような返信をしてしまい、申し訳ございませんでした。
私的には、彼氏、もしくは旦那さんが、「他の男と遊んでもいいよ」なんて言うと、女性側は不安になるかな? と思い、男性側としては「彼女が喜ぶならしょうがない。嫉妬もみっともない」みたいなイメージで、上手くいっていない感じで書いていました。
女王という立場だから、もっと周りの迷惑は考えるべきだとは思います!
50話をのせた、なろうさんの方は一部で完結いたしました。
楽しんでもらえていたら幸せです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。