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第二部
18 自分自身の考え
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その後は、私達もお祭りどころではなくなり、支払いもすでに済まされていたので、店をあとにした。
宮殿に行き、ディール殿下とセーラ様の様子を確かめようとも思ったけれど、その日は諦めて宿に戻った。
本来ならば、次の日の朝に出発するつもりだったのだけれど、ディール殿下にどうしても伝えたいことがあったので、出発前に話す時間をもらえないかと伝言をお願いすると、了承を得ることが出来た。
私達がすぐに宮殿に向かうと応接間に通され、私とリアムは横に並んで部屋にあるソファーに座り、ディール殿下を待っていると、しばらくして部屋に入ってこられた。
「昨日は取り乱してしまって本当に申し訳なかった」
「とんでもございません。もっと早くに私の考えをお伝えできていれば、今回の件は起こらなかったかもしれませんし……」
「どういうことかな?」
向かい側に座ったディール殿下が不思議そうにされるので、今度こそ、思っていたことを伝えることにする。
「セーラ様なのですが、リアムを良いなと思ったのは嘘ではないかもしれませんが、今回、執着しているのはリアムだったからだと思っていて、妻の私が言うのもなんなのですが、リアムだからこそ、ディール殿下に焦りを与えられることが出来たのではないかと思うんです」
「……マオニール公爵が貴族の女性達に人気があるのは知っているけど、関係があるのかな?」
「今までの相手ですと、ディール殿下は危機感を覚えられなかったのではないでしょうか?」
私の言葉に、ディール殿下が目をキョトンとされたので、そのまま言葉を続ける。
「その、ディール殿下はとても魅力的な方だと思います」
隣のリアムの膝が動いて、私の膝に当ててきたのがわかったけれど、反応はせずに、ディール殿下から視線をそらさないようにする。
「セーラ様はディール殿下に自分以外を見ないでほしいと言ってもらいたかったんじゃないでしょうか」
「……え?」
「ディール殿下は、セーラ様が愛人を持たれてもいいと、最初から考えていらっしゃいますよね? セーラ様はそうじゃなくて、ヤキモチを妬いたりしてほしかったんじゃないでしょうか」
「え、ちょっと待ってくれ。その感じだと、セーラは僕にヤキモチを妬かせるために、色々とやってたってことかな?」
困惑の表情を浮かべたディール殿下に、大きく頷く。
「そうではないかと思うんです。好きな人に、浮気していいよ、って言われて、いい気分にならないのではないかな、なんて思ってしまいます。実際、ディール殿下もそうでしたよね? 昨日のセーラ様の様子を見ますと、ディール殿下に距離を置こうと言われて泣きそうになっておられました。それって、自分の思っていた結末とは全く違ったからじゃないでしょうか」
なぜ、こんなことを思ったかというと、リアムが私とディール殿下のデートをとても嫌がったからだ。
もちろん、私だって嫌だった。
だけど、王族が相手だからしょうがないと思った。
ディール殿下も嫌だと思っていても、最初から仕方がないことだと諦めて、セーラ様に伝えなかったのではないかと思う。
「今までの女王陛下が気の多い女性だったのかもしれません。でも、セーラ様はセーラ様なんですよ。一度、お話したほうがよろしいのではないかと思います。腹を割ってお話をして、それでもディール殿下がセーラ様を許せない場合は…」
親しくもない私が、ディール殿下に離婚をすすめるのもなんなので言葉を止めると、その先は言わなくてもわかって下さったみたいで頷いてくれた。
「ありがとう、そうするよ。セーラと話してみて、今までのように彼女を愛しいと感じたなら、やり直そうと思う。だけど、そうじゃなかったら……」
「王配という立場ですし、離婚すれば国民に迷惑をかけてしまうかと考えてしまわれる気持ちはわかります。ですが、今回くらいは誰かのことを考えるのではなく、自分の気持ちを大切になさって下さい」
「……ありがとう」
リアムの言葉に、ディール殿下が悲しそうな笑顔で頷いた。
宮殿に行き、ディール殿下とセーラ様の様子を確かめようとも思ったけれど、その日は諦めて宿に戻った。
本来ならば、次の日の朝に出発するつもりだったのだけれど、ディール殿下にどうしても伝えたいことがあったので、出発前に話す時間をもらえないかと伝言をお願いすると、了承を得ることが出来た。
私達がすぐに宮殿に向かうと応接間に通され、私とリアムは横に並んで部屋にあるソファーに座り、ディール殿下を待っていると、しばらくして部屋に入ってこられた。
「昨日は取り乱してしまって本当に申し訳なかった」
「とんでもございません。もっと早くに私の考えをお伝えできていれば、今回の件は起こらなかったかもしれませんし……」
「どういうことかな?」
向かい側に座ったディール殿下が不思議そうにされるので、今度こそ、思っていたことを伝えることにする。
「セーラ様なのですが、リアムを良いなと思ったのは嘘ではないかもしれませんが、今回、執着しているのはリアムだったからだと思っていて、妻の私が言うのもなんなのですが、リアムだからこそ、ディール殿下に焦りを与えられることが出来たのではないかと思うんです」
「……マオニール公爵が貴族の女性達に人気があるのは知っているけど、関係があるのかな?」
「今までの相手ですと、ディール殿下は危機感を覚えられなかったのではないでしょうか?」
私の言葉に、ディール殿下が目をキョトンとされたので、そのまま言葉を続ける。
「その、ディール殿下はとても魅力的な方だと思います」
隣のリアムの膝が動いて、私の膝に当ててきたのがわかったけれど、反応はせずに、ディール殿下から視線をそらさないようにする。
「セーラ様はディール殿下に自分以外を見ないでほしいと言ってもらいたかったんじゃないでしょうか」
「……え?」
「ディール殿下は、セーラ様が愛人を持たれてもいいと、最初から考えていらっしゃいますよね? セーラ様はそうじゃなくて、ヤキモチを妬いたりしてほしかったんじゃないでしょうか」
「え、ちょっと待ってくれ。その感じだと、セーラは僕にヤキモチを妬かせるために、色々とやってたってことかな?」
困惑の表情を浮かべたディール殿下に、大きく頷く。
「そうではないかと思うんです。好きな人に、浮気していいよ、って言われて、いい気分にならないのではないかな、なんて思ってしまいます。実際、ディール殿下もそうでしたよね? 昨日のセーラ様の様子を見ますと、ディール殿下に距離を置こうと言われて泣きそうになっておられました。それって、自分の思っていた結末とは全く違ったからじゃないでしょうか」
なぜ、こんなことを思ったかというと、リアムが私とディール殿下のデートをとても嫌がったからだ。
もちろん、私だって嫌だった。
だけど、王族が相手だからしょうがないと思った。
ディール殿下も嫌だと思っていても、最初から仕方がないことだと諦めて、セーラ様に伝えなかったのではないかと思う。
「今までの女王陛下が気の多い女性だったのかもしれません。でも、セーラ様はセーラ様なんですよ。一度、お話したほうがよろしいのではないかと思います。腹を割ってお話をして、それでもディール殿下がセーラ様を許せない場合は…」
親しくもない私が、ディール殿下に離婚をすすめるのもなんなので言葉を止めると、その先は言わなくてもわかって下さったみたいで頷いてくれた。
「ありがとう、そうするよ。セーラと話してみて、今までのように彼女を愛しいと感じたなら、やり直そうと思う。だけど、そうじゃなかったら……」
「王配という立場ですし、離婚すれば国民に迷惑をかけてしまうかと考えてしまわれる気持ちはわかります。ですが、今回くらいは誰かのことを考えるのではなく、自分の気持ちを大切になさって下さい」
「……ありがとう」
リアムの言葉に、ディール殿下が悲しそうな笑顔で頷いた。
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