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4 夫の裏切り ③
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ジゼル公爵家は、現当主と長男のラフリード様はとても厳しい人だが、公爵夫人と次男のアリム様は穏やかな性格だと知られている。
夫人とアリム様のおかげで、公爵家はバランスが取れているのだと、国王陛下がおっしゃっていたというのは有名な話だ。
トータムはアリム様が優しいから、浮気のことなど責めたりもしないし、誰にも話さないと思い込んだのでしょう。
でも、それは違う。
優しい人だからこそ、誰かを傷つけることになる浮気は許せないものだ。
知らなかったとはいえ、浮気に加担してしまったと思ったアリム様がファルナ様に相談して発覚したとのことだった。
「アリム様以外の公爵家の方は、そのことをご存知なのですか?」
「アリム様が気づいたくらいですから知らないわけがないと思いますわ」
「では……」
「近いうちにあなたにもジゼル公爵家から話がいくと思いますわ。先に私のほうからあなたは今まで詳しいことは知らなかったけれど、浮気については薄々気づいていたことを話しておいても良いかしら?」
「かまいません」
ジゼル公爵家を敵に回すだなんて、どうしたら良いの。
浮気だけでもありえないのに、浮気をする場所に公爵家を使っていたなんて信じられない。
……そうよ。浮気だけじゃない。体の関係まで持っていたなんて。
悲しい。
悔しい。
許せない。
ファルナ様の前だというのに、涙が止まらなくなった。
「申し訳……っ、ございませんっ。泣いたって意味がないのにっ……」
「あなたが謝ることじゃなくってよ! それに泣いてスッキリすることもありますわ! 今は泣けるだけ泣いてしまいなさい!」
「……ありがとうございます」
ハンカチを取り出して、ひたすら泣いたあと、ファルナ様に詫びようと顔を上げる。すると、彼女は私以上に怒っていた。
「私のお友達を傷つけるなんて許しませんわ! けちょんけちょんにしてやらないと気が済みません!」
けちょんけちょんにするなんて、初めて人の口から聞いた気がする。
そう思ったら、気が抜けて笑みがこぼれた。
「ありがとうございます。まずは夫に確認してみることにします。浮気を認めて平然としているようなら、離婚に向けて動きます」
「相手が謝ったからといってすぐに許してはいけませんわよ?」
「わかっています。私と離婚したくないのなら浮気はやめてくれるはずですが、そうじゃないのに離婚を認めない場合は証拠を集め、社会的制裁を与えるつもりです」
堂々と人の家に連れ込んでいるんだもの。きっと、他の場所でも浮気の証拠を残しているに違いないわ。
前菜を食べ終えたファルナ様が厳しい表情で話しかけてくる。
「エアリナさん。伝えておきますが、浮気をする人や浮気を肯定する人はされたほうに原因があると言うでしょう! ですが、自分を責めてはいけませんわよ! 多くの人は浮気や不貞行為をする前に別れるのです! それができない人たちが悪いのです!」
「浮気を正当化することや、私に改善を求めずに浮気することが良くないということですね?」
「そうです! もし、クズ夫があなたのことを責めるような発言をするならば、逃げるのではなく引くのです! そして、彼らには精神的に痛い目に遭ってもらいましょう」
にたりと笑うファルナ様に尋ねる。
「精神的に痛い目というのは、どういうものですか?」
「それは彼らの反応次第ですわ。それに、あなたが考えて実行しなければならないことです」
「私が……?」
「ええ。傷つけられたのはあなたでしょう? もちろん、相談にはのりますわよ」
ファルナ様に微笑まれ、私は深呼吸をする。
そうだ。
こんなことは人任せにするものじゃない。
「ファルナ様、ありがとうございます。自分にできる限りのことをしてみようと思います」
「その意気ですわ! きっと近いうちに、怖い人が訪ねてくるかと思います。彼はあなたの味方になってくれるでしょうから素直に頼るようにしてくださいな」
「わかりました」
怖い人って、ジゼル公爵かラフリード様のことよね。
公爵家に頼るのもどうかと思うけど、自分一人でどうにもならない時は頼らせてもらうことにしよう。
そう決めたあとは、これからのことについてファルナ様と話をしたのだった。
その日の夜、トータムとフララさんに浮気について問い詰めると、彼らは悪びれるどころか失笑した。
「浮気じゃないよ。たまたま出会って、アリムの家にお邪魔させてもらったんだ」
「やだぁ! もしかして妹に嫉妬しているんですかぁ? 心せまーい!」
トータムの執務室にあるソファに、彼と並んで座っているフララさんは、トータムの腕にしがみついて訴える。
「ね? 前にも言ったでしょう? わたし、ミアリナ様に嫌われているんです。お義姉様って呼ぼうとしたら、気安く呼ぶなって怒られてぇ」
「そんなことを言った覚えはないわ!」
否定すると、トータムは私を睨みつける。
「……ミアリナ、君は最低な女性だったんだね」
「言っていないって言っているでしょう!」
「フララが嘘をつくわけがないだろう! 君は見た目だけでなく心も醜かったんだな!」
そう叫ぶと、トータムはフララ様を連れて執務室から出て行く。
付き合い始めてから今まで、彼に怒鳴られたことはなかった。
彼の心の中に、私はもういないのだ。
その日の晩のトータムは、彼女の部屋から出てくることはなかった。
二人きりの部屋で彼らが何をしているかは、容易に想像がつく。
完全に私は馬鹿にされている。
このままでは終われない。離婚も絶対条件だけれど、舐められたままで終わりたくない!
次の日の朝から、私はトータムとフララさんの浮気の証拠を集め始めることにした。
夫人とアリム様のおかげで、公爵家はバランスが取れているのだと、国王陛下がおっしゃっていたというのは有名な話だ。
トータムはアリム様が優しいから、浮気のことなど責めたりもしないし、誰にも話さないと思い込んだのでしょう。
でも、それは違う。
優しい人だからこそ、誰かを傷つけることになる浮気は許せないものだ。
知らなかったとはいえ、浮気に加担してしまったと思ったアリム様がファルナ様に相談して発覚したとのことだった。
「アリム様以外の公爵家の方は、そのことをご存知なのですか?」
「アリム様が気づいたくらいですから知らないわけがないと思いますわ」
「では……」
「近いうちにあなたにもジゼル公爵家から話がいくと思いますわ。先に私のほうからあなたは今まで詳しいことは知らなかったけれど、浮気については薄々気づいていたことを話しておいても良いかしら?」
「かまいません」
ジゼル公爵家を敵に回すだなんて、どうしたら良いの。
浮気だけでもありえないのに、浮気をする場所に公爵家を使っていたなんて信じられない。
……そうよ。浮気だけじゃない。体の関係まで持っていたなんて。
悲しい。
悔しい。
許せない。
ファルナ様の前だというのに、涙が止まらなくなった。
「申し訳……っ、ございませんっ。泣いたって意味がないのにっ……」
「あなたが謝ることじゃなくってよ! それに泣いてスッキリすることもありますわ! 今は泣けるだけ泣いてしまいなさい!」
「……ありがとうございます」
ハンカチを取り出して、ひたすら泣いたあと、ファルナ様に詫びようと顔を上げる。すると、彼女は私以上に怒っていた。
「私のお友達を傷つけるなんて許しませんわ! けちょんけちょんにしてやらないと気が済みません!」
けちょんけちょんにするなんて、初めて人の口から聞いた気がする。
そう思ったら、気が抜けて笑みがこぼれた。
「ありがとうございます。まずは夫に確認してみることにします。浮気を認めて平然としているようなら、離婚に向けて動きます」
「相手が謝ったからといってすぐに許してはいけませんわよ?」
「わかっています。私と離婚したくないのなら浮気はやめてくれるはずですが、そうじゃないのに離婚を認めない場合は証拠を集め、社会的制裁を与えるつもりです」
堂々と人の家に連れ込んでいるんだもの。きっと、他の場所でも浮気の証拠を残しているに違いないわ。
前菜を食べ終えたファルナ様が厳しい表情で話しかけてくる。
「エアリナさん。伝えておきますが、浮気をする人や浮気を肯定する人はされたほうに原因があると言うでしょう! ですが、自分を責めてはいけませんわよ! 多くの人は浮気や不貞行為をする前に別れるのです! それができない人たちが悪いのです!」
「浮気を正当化することや、私に改善を求めずに浮気することが良くないということですね?」
「そうです! もし、クズ夫があなたのことを責めるような発言をするならば、逃げるのではなく引くのです! そして、彼らには精神的に痛い目に遭ってもらいましょう」
にたりと笑うファルナ様に尋ねる。
「精神的に痛い目というのは、どういうものですか?」
「それは彼らの反応次第ですわ。それに、あなたが考えて実行しなければならないことです」
「私が……?」
「ええ。傷つけられたのはあなたでしょう? もちろん、相談にはのりますわよ」
ファルナ様に微笑まれ、私は深呼吸をする。
そうだ。
こんなことは人任せにするものじゃない。
「ファルナ様、ありがとうございます。自分にできる限りのことをしてみようと思います」
「その意気ですわ! きっと近いうちに、怖い人が訪ねてくるかと思います。彼はあなたの味方になってくれるでしょうから素直に頼るようにしてくださいな」
「わかりました」
怖い人って、ジゼル公爵かラフリード様のことよね。
公爵家に頼るのもどうかと思うけど、自分一人でどうにもならない時は頼らせてもらうことにしよう。
そう決めたあとは、これからのことについてファルナ様と話をしたのだった。
その日の夜、トータムとフララさんに浮気について問い詰めると、彼らは悪びれるどころか失笑した。
「浮気じゃないよ。たまたま出会って、アリムの家にお邪魔させてもらったんだ」
「やだぁ! もしかして妹に嫉妬しているんですかぁ? 心せまーい!」
トータムの執務室にあるソファに、彼と並んで座っているフララさんは、トータムの腕にしがみついて訴える。
「ね? 前にも言ったでしょう? わたし、ミアリナ様に嫌われているんです。お義姉様って呼ぼうとしたら、気安く呼ぶなって怒られてぇ」
「そんなことを言った覚えはないわ!」
否定すると、トータムは私を睨みつける。
「……ミアリナ、君は最低な女性だったんだね」
「言っていないって言っているでしょう!」
「フララが嘘をつくわけがないだろう! 君は見た目だけでなく心も醜かったんだな!」
そう叫ぶと、トータムはフララ様を連れて執務室から出て行く。
付き合い始めてから今まで、彼に怒鳴られたことはなかった。
彼の心の中に、私はもういないのだ。
その日の晩のトータムは、彼女の部屋から出てくることはなかった。
二人きりの部屋で彼らが何をしているかは、容易に想像がつく。
完全に私は馬鹿にされている。
このままでは終われない。離婚も絶対条件だけれど、舐められたままで終わりたくない!
次の日の朝から、私はトータムとフララさんの浮気の証拠を集め始めることにした。
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