【完結】どうぞ他をあたってください

風見ゆうみ

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23  暴走する夫の欲望 ①

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 私もトータムもパーティーを自分で企画したことがなかった。フララさんにカッコ悪い所を見せたくないからか、会場の準備や段取りまで全て押し付けられた。
 最低なデビュタントにしても良かったのだが、私は世間体を気にするタイプだ。
 私が考えたパーティーになるのだから、素晴らしいパーティーにならなくても、せめて基本的なものだけは押さえておきたかった。

 ファルナ様に相談したところ、わざわざビレディ侯爵家に来てくださり、進行の仕方や料理や商品の配置など色々なことを教えてくれた。そのおかげで、戸惑いつつも、無事に進めることができた。
 ビレディ侯爵家の使用人たちは、私とファルナ様の仲を知って、今まで以上に私に媚びを売るようになった。

 そして、失礼な態度をとっていたフララさんの友人たちまでもが、私にすり寄ってきた。

「あの、ミアリナ様。本当は駄目だってわかっていたんです。でも、フララに言えって言われて嫌なことを言ってしまいました」
「私たちは嫌だって言ったのに、フララからやらなきゃ辞めさせるって脅されたんです」
「それがどうしたの?」
 
 私が尋ねると、彼女たちはきょとんとした顔をする。

「どうしたって……その、許してほしいんです」
「あなたたち、謝罪の言葉はないわよね。それで許せなんてよく言えるわね」
「「ご、ごめんなさい!」」

 頭を下げてきたけれど、人に言われないとできない謝罪なんて、反省なんかしていないことが丸わかりだ。

「心のこもっていない謝罪なんてもらっても不快になるだけだわ。本当にクビにされたくないのなら、私に近寄らないで。あなたたちはフララさんの面倒だけ見ていなさい」
「そんな言い方はないだろう!」

 振り切って立ち去ろうとした私だったが、トータムが目の前に現れたせいで立ち止まらざるをえなかった。

「じゃあ、どんな言い方があるの?」
「彼女たちが全面的に悪いと言えるのか? ミアリナにだって悪いところがあるんじゃないのか?」

 どうしてトータムは私ではなく、メイドの味方をするのか。……いや、フララさんの友人だとわかっているから味方をするのか。

「トータム、あなたは本当にフララさんが好きなのね」
「……可愛い妹だからね」
「その可愛い妹は、デビュタントのパーティーに独身の貴族ばかり呼んでいるわ。乱交パーティーにならないようにしっかり管理するつもりだけれど、あなたも目を光らせておいてね」

 私が主催するのだから、フララさんの思い通りにはさせない。けれど、トータムのように彼女に引っかかる男性が出てきてもおかしくない。
 招待した男性を被害者にさせるわけにはいかない。トータムの嫉妬心を利用させてもらう。

「そんな……、僕だけだって言ったじゃないか」

 案の定、トータムの呟く声が聞こえ、私の目の前に光が見えた気がした。
 そしてその日の晩、トータムが動いた。

 これでやっと証拠を押さえられると、胸を躍らせた私だったが無理だった。ちょうどフララさんは月のものがきており、彼女が拒んだのだ。

 がっかりしたのは私だけでなくトータムもだった。だが、そのお預けが彼の判断を鈍らせるきっかけとなったことがわかるのは、フララさんのデビュタント当日のことだった。

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