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24 暴走する夫の欲望 ②
フララさんのデビュタント当日、進行の最終チェックを行ってから、私自身の準備を始めた。
私を指導してくれたファルナ様は個人的に招待していたので、婚約者のアリム様と、招待客のラフリード様と一緒にビレディ侯爵家に足を運んでくれることになっていた。
開始時間よりもかなり早い時間に来てもらい、三人を私の部屋に招き入れて話をすることになったからだ。
フララさんはデビュタントの準備に忙しいため、こちらに来る余裕などない。万が一があったとしても、使用人には口止めしておいたので、ゆっくり話ができそうだった。
「僕のせいで本当にごめん」
メイドがお茶を淹れて出ていくと、アリム様は深々と頭を下げた。
彼から謝ってもらうのは、複数回あるので何度目かは覚えていない。彼曰く何度謝っても足りないらしい。
「浮気をする人間が悪いのです。それに、アリム様には色々とご迷惑をかけておりますし、お気になさらないでください」
「僕が悪いんだから迷惑とか言う問題ではないよ」
ラフリード様と違い、可愛らしい顔立ちのアリム様がしゅんとしていると、飼い主に怒られている犬を思い浮かべてしまう。
ラフリード様は他人からこんなことを思われるのが嫌で、わざと眼鏡をしないのよね。
ちらりとアリム様の横に座るラフリード様に目をやると、眉根を寄せて私を見つめていた。
「過ぎたことは仕方がありません。許してもらえるまで謝るべきなのは当然です」
「あの、ファルナ様、私のために怒ってくださるお気持ちはありがたいのですが、離婚しようと思うきっかけをくださったことには、アリム様に感謝しているのです」
アリム様が優しい人じゃなかったら、きっとトータムはジゼル公爵家に行こうとしなかったでしょう。
そうだとすると、私は浮気を確信できず、今よりももっともやもやした気持ちで、毎日を送っていたと思う。
「ミアリナさん。もう今日で離婚を決めてしまいなさい! ダラダラと関係を続けていたって意味がないですわ!」
「俺もファルナの意見に賛成だ。本当は別れたくないのだろうと、ビレディ侯爵が調子に乗るだけだろう」
ラフリード様がファルナ様の意見に同意すると、アリム様も頭を上げて頷く。
「行く所がないのなら、住む場所は僕が用意しますので、ミアリナさんが幸せになる道を選んでください」
「ありがとうございます」
三人に向かって頭を下げたあと、頭を上げて続ける。
「夫はフララさんが誰かに奪われるのではないかとイライラしています。その感情を上手く使うつもりです。そして、主人が浮気をしている証拠を押さえ、私は今日のうちにここを出ます」
近くの高級宿に予約を入れているし、荷物もすでに運び込んでいる。
証拠を手に入れたら、身一つで、用意した馬車に乗ってここを出るだけだ。
「いよいよといったところか」
「はい」
ラフリード様に力強く頷くと、彼とファルナ様は私の答えに満足したのか笑みを浮かべた。
これからのことを話したあと、三人と一緒に会場に行こうとしたが、途中で今日付けるはずだった形見のブローチをつけていないことに気がつき、一人で部屋に取りに戻った。
部屋の鍵をかけたつもりだったがかかっておらず、不思議に思いながら部屋の扉を開けると、部屋の中にはトータムがいた。
彼が部屋にいることにも驚いたが、それよりも気になったのは、いつぞやのフララさんと同じように、トータムの手にブローチの入った箱がくっついていたことだった。
私を指導してくれたファルナ様は個人的に招待していたので、婚約者のアリム様と、招待客のラフリード様と一緒にビレディ侯爵家に足を運んでくれることになっていた。
開始時間よりもかなり早い時間に来てもらい、三人を私の部屋に招き入れて話をすることになったからだ。
フララさんはデビュタントの準備に忙しいため、こちらに来る余裕などない。万が一があったとしても、使用人には口止めしておいたので、ゆっくり話ができそうだった。
「僕のせいで本当にごめん」
メイドがお茶を淹れて出ていくと、アリム様は深々と頭を下げた。
彼から謝ってもらうのは、複数回あるので何度目かは覚えていない。彼曰く何度謝っても足りないらしい。
「浮気をする人間が悪いのです。それに、アリム様には色々とご迷惑をかけておりますし、お気になさらないでください」
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ラフリード様は他人からこんなことを思われるのが嫌で、わざと眼鏡をしないのよね。
ちらりとアリム様の横に座るラフリード様に目をやると、眉根を寄せて私を見つめていた。
「過ぎたことは仕方がありません。許してもらえるまで謝るべきなのは当然です」
「あの、ファルナ様、私のために怒ってくださるお気持ちはありがたいのですが、離婚しようと思うきっかけをくださったことには、アリム様に感謝しているのです」
アリム様が優しい人じゃなかったら、きっとトータムはジゼル公爵家に行こうとしなかったでしょう。
そうだとすると、私は浮気を確信できず、今よりももっともやもやした気持ちで、毎日を送っていたと思う。
「ミアリナさん。もう今日で離婚を決めてしまいなさい! ダラダラと関係を続けていたって意味がないですわ!」
「俺もファルナの意見に賛成だ。本当は別れたくないのだろうと、ビレディ侯爵が調子に乗るだけだろう」
ラフリード様がファルナ様の意見に同意すると、アリム様も頭を上げて頷く。
「行く所がないのなら、住む場所は僕が用意しますので、ミアリナさんが幸せになる道を選んでください」
「ありがとうございます」
三人に向かって頭を下げたあと、頭を上げて続ける。
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証拠を手に入れたら、身一つで、用意した馬車に乗ってここを出るだけだ。
「いよいよといったところか」
「はい」
ラフリード様に力強く頷くと、彼とファルナ様は私の答えに満足したのか笑みを浮かべた。
これからのことを話したあと、三人と一緒に会場に行こうとしたが、途中で今日付けるはずだった形見のブローチをつけていないことに気がつき、一人で部屋に取りに戻った。
部屋の鍵をかけたつもりだったがかかっておらず、不思議に思いながら部屋の扉を開けると、部屋の中にはトータムがいた。
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