【完結】どうぞ他をあたってください

風見ゆうみ

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34  新しい生活と夫の後悔 ②

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 私がビレディ侯爵家を出ていってから三日が経った。現在の私はファルナ様のお父様が治めているディーラス公爵領にある孤児院の寮で暮らしている。
 ファルナ様がいくつか訪れている孤児院の中で一番、公爵家に近い所にあるため、昨日も様子を見に来てくれた。
 私はここで、まだ幼い子供たちに文字の読み書きを教えるなどの世話をすることになった。元貴族ということや、ディーラス公爵家の推薦とあって、職員の人たちから歓迎されたので良かった。
 平民を何人も採用しているけれど、中には誘拐や性的なものを目的としている人もいるらしく、子供を守るためにも信用できて長く勤められる人物がほしかったのだそうだ。

 色々なことに解放されて、清々しい朝を迎えた私は。部屋の窓を開けて、柔らかな太陽の日差しを浴びながら大きく深呼吸した。孤児院の隣に二階建ての職員用の寮があり、合計で十室の部屋がある。当番の日は子供たちと孤児院の食堂で食事を共にし、休みの日は寮の一階にある食堂、もしくは自室で買って来たものを食べることになっていた。

「おはようございます、ミアリナさん、お手紙が届きましたよ」
「おはようございます。朝からありがとうございます」
「私は受け取っただけよ」

 寮長は私に手紙を手渡すと、自室に向かって歩いていった。ペーパーナイフは持参していないので、とりあえず先に朝食を済ませ、部屋に戻ってから封を切った。
 手紙の相手はラフリード様たちのお母様であるジゼル公爵夫人からで、まずは私を気遣う文言から始まった。
 そして、トータムのお母様とは大人になってからは手紙でやり取りをしていたこと、親同士の仲が良いこともあって、トータムとアリム様の仲が良くなったことなどが書かれていた。

 どうして、こんなことが書かれているのかしら。そんな風に思いながら読み進めていると、元義父から受け取ったブローチは、ジゼル公爵夫人にしてみれば亡き友人との思い出の品であり、それを友人の夫が息子ではなく私に託したということで、私の人柄がとても良いのだろうと、なぜか私を褒める話題に変わった。
 
 そして、私は家族と連絡はとっていないが、伯爵家の娘であること。ラフリード様への偏見が何もないこと。ファルナ様の友人であることなどが書き連ねられた最後に、こう続いていた。

『離婚が無事に進み落ち着いたあと、あなたに良い相手が現れなければ、ラフリードと婚約する気はないかしら。衣食住は保証するし、浮気もしない。仕事を続けたければ続けて良いし、跡継ぎを生んでほしいなんて求めたりもしないわ。ただ、息子の妻になってほしいの』

 母親としては息子をこのまま独り身にしておくのが嫌だというところかしら?

 私にとってはありがたいお話だわ。
 私がラフリード様と婚約となれば、フララさんはそれはもう悔しがるでしょう。あの人は私にマウントを取りたいようだったし、自分が落とせなかった男性と私が婚約したら、彼女にしてみれば屈辱でしかないはず。
 ラフリード様の妻になることができたら、ブローチを奪われる心配もないし、良いことばかりだ。
 それはもうありがたいお話なのだけれど、このことをラフリード様は知っているのかしら。

 まだ先の話だから、少し考えさせてもらおう。
 それよりも先に、仕事を覚えて、みんなの役に立つこと。それから、トータムとの離婚を成立させなくちゃ。トータムが離婚しないと言うのなら、離婚を認めさせるために、まずはウララ様を叩きましょうか。

 仕事を優先しつつ、その準備を始めた頃、ラフリード様からトータムが王妃陛下に謁見するので、陰から一緒に見ないかと誘われていると連絡がきたのだった。
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