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39 新しい生活と夫の後悔 ⑦(トータム視点)
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※トータム視点です。(話の展開的にトータム視点のほうがわかりやすいので選びました。こいつムカつくぜ。という方はセリフだけ読んでいただければ助かります)
こんなのあんまりだ。妻がいるのに愛人がいる人間だって他にもいるはずだ。その人たちは許されているのにどうして僕だけ許されないんだ?
……あのブローチをフララが欲しがらなければ良かっただけなんじゃないのか? それなら、僕は悪くないじゃないか。
「妹思いだった僕が悪いのは確かです。でも……、別れたくないんです」
涙ながらに訴えると、王妃陛下はため息を吐いた。
「本当にしつこい男だな。わかった。ミアリナが良いと言うのであれば、話し合う機会を設けてやる。そのかわり、話し合った結果、ミアリナが決めた通りにするようにしろ」
「決めた通りに……?」
「ああ。彼女が離婚と決めたら離婚だ。お前の気持ちを聞いて、ミアリナが心変わりしたなら結婚生活を続ければ良い」
「ぼ……僕の気持ちは無視なんですか?」
「ミアリナの気持ちを今まで無視しておいてよく言えるものだな」
王妃陛下にぎろりと睨まれた。
なんで? どうして、みんなミアリナの肩ばかり持つんだよ。
涙を上着の袖で拭い、鼻から水が出そうになったので鼻をすすった。
こんな惨めな気持ちになるなんて――
「無視していたつもりはありません。このことも含めて、ミアリナとしっかり話をするつもりです」
話し合えば良い。ミアリナがラフリード様に夢中になっていたとしても、僕たちは一緒にいた年月という絆がある。
絶対にミアリナは僕の所に戻って来る。
「いいか? ミアリナが嫌がれば話す機会などない。そして、ミアリナが離婚を望むならお前はその通りにするんだ。これは王妃命令だ」
王妃命令だなんて最悪だ。逆らうことなんてできない。
いや、焦らなくても大丈夫だ。ミアリナは助けを求めてくる人間を見捨てたりなんてできない。
僕はそう確信して、王妃陛下の条件を呑んだのだった。
******
数日後家に戻ると、フララがエントランスホールまで出てきて抱きついてきた。
「おかえりなさい。お兄様! 何を買ってきてくれたんですか?」
「何を買って……って、王妃陛下に会いに行っただけだから買い物なんてしてない」
「ええ? なぁんだ」
フララは不満そうな顔になって僕から離れると、くるりと背を向けた。
そうだ。伝えなければならないことを伝えておこう。
「フララ! 僕はミアリナとやり直すつもりだ。だから、もう君とは仲良くできない」
「……はあ?」
今まで可愛い顔しか見てこなかった。だから、立ち止まって振り向いたフララの顔を見た時は、あまりにも醜くて別人かと思った。
「き、君たちのために家を買うよ。だから、近いうちにここを出ていってくれないか」
「お兄様」
フララは近づいてくると、僕の唇に指を当てて言う。
「あなたが私に何をしたのか覚えているわよね? あなたが出て行けと言うのなら、ミアリナさんにあなたに無理やり襲われたって言うから」
「そんな! 君が誘ってきたんじゃないか!」
「うるさいわね。誘ったなんて記憶は私にはないわ」
「そんな……、君まで俺を裏切るのか?」
「裏切るって、誰のことを言ってるの?」
「ミアリナも僕を裏切ったんだ! 僕を置いて出ていくなんて!」
女性がこんなにも恐ろしい生き物だなんて思ってもみなかった!
「何を言っているのよ。裏切ったのはお兄様、あなたよ」
「そうよ。私たちを捨てようとするなんてありえないわ」
継母が現れ、視線は僕に向けたまま、フララに向かって歩きながら続ける。
「ミアリナさんを裏切っただけじゃなく、フララまで裏切るつもり? 私たちを追い出そうだなんて、そうはさせないわよ」
綺麗だと思っていた継母の笑みは醜悪なものだった。
どうしたら、どうしたらいいんだ? ……そういえば、王妃陛下が恐ろしいことを口にしていたな。
あの時は馬鹿馬鹿しいと思った。でも、今の継母を見て思う。
僕は本当に彼女に命を狙われているのではないかと――
ミアリナ、一人でいるのは辛い。僕が悪かった。謝るから、早く、早く帰ってきてくれ!
こんなのあんまりだ。妻がいるのに愛人がいる人間だって他にもいるはずだ。その人たちは許されているのにどうして僕だけ許されないんだ?
……あのブローチをフララが欲しがらなければ良かっただけなんじゃないのか? それなら、僕は悪くないじゃないか。
「妹思いだった僕が悪いのは確かです。でも……、別れたくないんです」
涙ながらに訴えると、王妃陛下はため息を吐いた。
「本当にしつこい男だな。わかった。ミアリナが良いと言うのであれば、話し合う機会を設けてやる。そのかわり、話し合った結果、ミアリナが決めた通りにするようにしろ」
「決めた通りに……?」
「ああ。彼女が離婚と決めたら離婚だ。お前の気持ちを聞いて、ミアリナが心変わりしたなら結婚生活を続ければ良い」
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「ミアリナの気持ちを今まで無視しておいてよく言えるものだな」
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なんで? どうして、みんなミアリナの肩ばかり持つんだよ。
涙を上着の袖で拭い、鼻から水が出そうになったので鼻をすすった。
こんな惨めな気持ちになるなんて――
「無視していたつもりはありません。このことも含めて、ミアリナとしっかり話をするつもりです」
話し合えば良い。ミアリナがラフリード様に夢中になっていたとしても、僕たちは一緒にいた年月という絆がある。
絶対にミアリナは僕の所に戻って来る。
「いいか? ミアリナが嫌がれば話す機会などない。そして、ミアリナが離婚を望むならお前はその通りにするんだ。これは王妃命令だ」
王妃命令だなんて最悪だ。逆らうことなんてできない。
いや、焦らなくても大丈夫だ。ミアリナは助けを求めてくる人間を見捨てたりなんてできない。
僕はそう確信して、王妃陛下の条件を呑んだのだった。
******
数日後家に戻ると、フララがエントランスホールまで出てきて抱きついてきた。
「おかえりなさい。お兄様! 何を買ってきてくれたんですか?」
「何を買って……って、王妃陛下に会いに行っただけだから買い物なんてしてない」
「ええ? なぁんだ」
フララは不満そうな顔になって僕から離れると、くるりと背を向けた。
そうだ。伝えなければならないことを伝えておこう。
「フララ! 僕はミアリナとやり直すつもりだ。だから、もう君とは仲良くできない」
「……はあ?」
今まで可愛い顔しか見てこなかった。だから、立ち止まって振り向いたフララの顔を見た時は、あまりにも醜くて別人かと思った。
「き、君たちのために家を買うよ。だから、近いうちにここを出ていってくれないか」
「お兄様」
フララは近づいてくると、僕の唇に指を当てて言う。
「あなたが私に何をしたのか覚えているわよね? あなたが出て行けと言うのなら、ミアリナさんにあなたに無理やり襲われたって言うから」
「そんな! 君が誘ってきたんじゃないか!」
「うるさいわね。誘ったなんて記憶は私にはないわ」
「そんな……、君まで俺を裏切るのか?」
「裏切るって、誰のことを言ってるの?」
「ミアリナも僕を裏切ったんだ! 僕を置いて出ていくなんて!」
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「何を言っているのよ。裏切ったのはお兄様、あなたよ」
「そうよ。私たちを捨てようとするなんてありえないわ」
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「ミアリナさんを裏切っただけじゃなく、フララまで裏切るつもり? 私たちを追い出そうだなんて、そうはさせないわよ」
綺麗だと思っていた継母の笑みは醜悪なものだった。
どうしたら、どうしたらいいんだ? ……そういえば、王妃陛下が恐ろしいことを口にしていたな。
あの時は馬鹿馬鹿しいと思った。でも、今の継母を見て思う。
僕は本当に彼女に命を狙われているのではないかと――
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