38 / 44
38 新しい生活と夫の後悔 ⑥
しおりを挟む
ファルナ様との会話をやめ、王妃陛下たちの話に集中する。少しの沈黙のあと、トータムの話す声が聞こえてきた。
「ぼ、僕は妹と仲良く出かけているつもりでした。この、目撃証言もその時のものです! ミアリナは浮気だと言っているかもしれませんが違います! 私はミアリナだけを愛しています! ちゃんと話し合えばわかってもらえるはずです!」
「ジゼル公爵家での件はどうなんだ?」
「……え?」
「義妹の体調が悪くなり、ジゼル公爵家で休ませてもらっていたんだろう? その時に、お前たちがいる部屋から、嬌声が聞こえてきたと証言してあるぞ」
「そ……、それはっ……そのっ、誤解ですっ!」
「誤解? 何がだ?」
王妃陛下の冷たい声に恐怖を感じたのか、トータムの声が震え始めた。
「あああ、ああのっ、ほほっ、ほほほんとうに、ぼぼぼ、僕はっ!」
ガタンという音が聞こえ、何の音か気になった私は開いている扉の隙間からトータムの様子を確認する。王妃陛下の姿は見えないが、トータムの姿はこちらから見えるようになっているので、トータムがどんな状態か確認することができた
王妃陛下は話がしたくなれば割って入って来ても良いと言ってくださっていた。今の弱っている様子なら、離婚を押し切れるかもしれない。そう思い、出るタイミングを見計らう。
「僕はっ、かか、家族を大事にしたかったんです。妻だけを贔屓するのは違うと思うんです! 妹だって大事な家族です!」
「何をもって妻を贔屓したと言うんだ? ミアリナにブローチを譲ると遺言書に書かれてあるというのだから、彼女が自分のものにしようとすることは当たり前の行動なんじゃないのか? ブローチを彼女が持つことは、お前にとって妻への贔屓に当たるのか?」
「そそそそっ、そういうわけではないのですっ!」
トータムは今にも泣き出しそうな顔している。心の中では『どうしてこんなことに』とでも思っているんでしょう。
「ではお前の言う贔屓とはどんなものだ? そして、離婚したくない理由はなんなんだ?」
「さ、先ほども申し上げましたが、私は妻を一番に愛しています。そして、義妹は二番目です。ですから、離婚はしたくありません。それだけです」
「……お前、ふざけているのか」
私の言葉を王妃陛下が代弁してくれた。
ふと横を見ると、ファルナ様は呆れたような顔をしているし、ラフリード様は不快だと言わんばかりの表情になっていた。私の中でトータムに対してどす黒い感情が芽生えそうになっていたけれど、お二人の様子を見て気持ちが和らいだ。
彼のために自分の手を汚して犯罪者になるなんて絶対に嫌。人生を無駄にするようなものだわ。
「そんな言い訳が通じると思っているのか!」
「言い訳ではありません! 本当のことなんです!」
「……トータム。お前の母親が生きていたらこう言うだろう」
王妃陛下は話しながらトータムに近づき、彼の横に立って続ける。
「お前のような男に妻をめとる資格などない。ミアリナのことを愛していると言うのなら、彼女の幸せのために別れるべきだ」
「そ……そんな」
「愛していないのか?」
「あ、あ、愛しています!」
「では、どうしてやるべきだ?」
王妃陛下に尋ねられたトータムの額から、汗が吹き出すのが見えた。
※
感想をいただいて、本編に書いていなかったことに気づいたのですが、トータムの指にくっついていた小箱!
どうなったかといいますと、無理やり引きはがして流血。(考えただけで痛い!)そして、痛みへの怒りなどで箱は捨てております。
ですので『小箱が指に付いていないということは、無理に引きはがしたみたいね。その証拠に指に包帯を巻いているもの。』
という文章を32話に付け足しております。
こちらの脳内では上記のように完結していたため、書き忘れておりました。
申し訳ございませんでした。
「ぼ、僕は妹と仲良く出かけているつもりでした。この、目撃証言もその時のものです! ミアリナは浮気だと言っているかもしれませんが違います! 私はミアリナだけを愛しています! ちゃんと話し合えばわかってもらえるはずです!」
「ジゼル公爵家での件はどうなんだ?」
「……え?」
「義妹の体調が悪くなり、ジゼル公爵家で休ませてもらっていたんだろう? その時に、お前たちがいる部屋から、嬌声が聞こえてきたと証言してあるぞ」
「そ……、それはっ……そのっ、誤解ですっ!」
「誤解? 何がだ?」
王妃陛下の冷たい声に恐怖を感じたのか、トータムの声が震え始めた。
「あああ、ああのっ、ほほっ、ほほほんとうに、ぼぼぼ、僕はっ!」
ガタンという音が聞こえ、何の音か気になった私は開いている扉の隙間からトータムの様子を確認する。王妃陛下の姿は見えないが、トータムの姿はこちらから見えるようになっているので、トータムがどんな状態か確認することができた
王妃陛下は話がしたくなれば割って入って来ても良いと言ってくださっていた。今の弱っている様子なら、離婚を押し切れるかもしれない。そう思い、出るタイミングを見計らう。
「僕はっ、かか、家族を大事にしたかったんです。妻だけを贔屓するのは違うと思うんです! 妹だって大事な家族です!」
「何をもって妻を贔屓したと言うんだ? ミアリナにブローチを譲ると遺言書に書かれてあるというのだから、彼女が自分のものにしようとすることは当たり前の行動なんじゃないのか? ブローチを彼女が持つことは、お前にとって妻への贔屓に当たるのか?」
「そそそそっ、そういうわけではないのですっ!」
トータムは今にも泣き出しそうな顔している。心の中では『どうしてこんなことに』とでも思っているんでしょう。
「ではお前の言う贔屓とはどんなものだ? そして、離婚したくない理由はなんなんだ?」
「さ、先ほども申し上げましたが、私は妻を一番に愛しています。そして、義妹は二番目です。ですから、離婚はしたくありません。それだけです」
「……お前、ふざけているのか」
私の言葉を王妃陛下が代弁してくれた。
ふと横を見ると、ファルナ様は呆れたような顔をしているし、ラフリード様は不快だと言わんばかりの表情になっていた。私の中でトータムに対してどす黒い感情が芽生えそうになっていたけれど、お二人の様子を見て気持ちが和らいだ。
彼のために自分の手を汚して犯罪者になるなんて絶対に嫌。人生を無駄にするようなものだわ。
「そんな言い訳が通じると思っているのか!」
「言い訳ではありません! 本当のことなんです!」
「……トータム。お前の母親が生きていたらこう言うだろう」
王妃陛下は話しながらトータムに近づき、彼の横に立って続ける。
「お前のような男に妻をめとる資格などない。ミアリナのことを愛していると言うのなら、彼女の幸せのために別れるべきだ」
「そ……そんな」
「愛していないのか?」
「あ、あ、愛しています!」
「では、どうしてやるべきだ?」
王妃陛下に尋ねられたトータムの額から、汗が吹き出すのが見えた。
※
感想をいただいて、本編に書いていなかったことに気づいたのですが、トータムの指にくっついていた小箱!
どうなったかといいますと、無理やり引きはがして流血。(考えただけで痛い!)そして、痛みへの怒りなどで箱は捨てております。
ですので『小箱が指に付いていないということは、無理に引きはがしたみたいね。その証拠に指に包帯を巻いているもの。』
という文章を32話に付け足しております。
こちらの脳内では上記のように完結していたため、書き忘れておりました。
申し訳ございませんでした。
2,064
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた
ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」
「嫌ですけど」
何かしら、今の台詞は。
思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。
ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻R-15は保険です。
アシュリーの願いごと
ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」
もしかして。そう思うことはありました。
でも、まさか本当だっただなんて。
「…それならもう我慢する必要は無いわね?」
嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。
すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。
愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。
「でも、もう変わらなくてはね」
この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。
だって。私には願いがあるのだから。
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻1/19、タグを2つ追加しました
✻1/27、短編から長編に変更しました
✻2/2、タグを変更しました
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
幸せな政略結婚のススメ【本編完結】
ましろ
恋愛
「爵位と外見に群がってくる女になぞ興味は無い」
「え?だって初対面です。爵位と外見以外に貴方様を判断できるものなどございませんよ?」
家柄と顔が良過ぎて群がる女性に辟易していたユリシーズはとうとう父には勝てず、政略結婚させられることになった。
お相手は6歳年下のご令嬢。初対面でいっそのこと嫌われようと牽制したが?
スペック高めの拗らせ男とマイペースな令嬢の政略結婚までの道程はいかに?
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
・11/21ヒーローのタグを変更しました。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
王子の婚約者は逃げた
ましろ
恋愛
王太子殿下の婚約者が逃亡した。
13歳で婚約し、順調に王太子妃教育も進み、あと半年で結婚するという時期になってのことだった。
「内密に頼む。少し不安になっただけだろう」
マクシミリアン王子は周囲をそう説得し、秘密裏にジュリエットの捜索を命じた。
彼女はなぜ逃げたのか?
それは───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる