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43 どうぞ他をあたってください ③
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「ブローチの件は結果的に良かったんだから水に流してちょうだい」
ウララさんは笑顔で言うと、ラフリード様にチラチラと視線を送りながら、私に尋ねる。
「ところでラフリード様とミアリナさんはどういうご関係なの?」
その言葉が出てくると思っていた。笑みがこぼれそうになるのをなんとか堪え、正直に話す。
「とても良い友人関係です」
「そうなのね。たしか、ラフリード様には婚約者も恋人もいらっしゃらないわよね?」
「ええ。今のところは」
ラフリード様が意味ありげな言葉を返すと、ウララさんは勘違いしたようだった。
「ラフリード様はミアリナさんから嘘の話を聞いて、フララのことを誤解していると思うのです。よく知ってもらえたら、この子のことを気に入ってもらえるはずだわ」
「そうです。私はミアリナさんよりも優れています」
自信満々の笑みを浮かべて訴えるフララさんだったが、ラフリード様は失笑する。
「どこが優れていると言いたいんだ?」
「見てください。私の顔」
はっきりと顔と宣言できるフララさんの神経に驚く。
……これくらいの神経じゃないと今までやってこれないかしら。
「顔よりも性格重視なので遠慮する」
「でも、可愛いと思ってくれているのでしょう?」
「好みではない」
「今ならあなた好みの女性にできますわよ」
ウララさんはフララさんの肩を持って笑顔で言った。すると、ラフリード様も笑顔で答える。
「俺の婚約者の話でしたら、どうぞ他をあたってください」
「「なっ!?」」
「ウララさん、フララさん、ラフリード様のことは諦めてくださいね」
微笑んで言うと、フララさんは悔しそうな顔で声を荒らげる。
「ラフリード様の婚約者候補にさえなれないあなたに言われたくない!」
「それはどうかしらね」
「強がっても無駄よ! ですよね、ラフリード様!」
フララさんは勝ち誇った様子だが、ラフリード様は首を横に振る。
「彼女のことはうちの母が気に入っているんだ。婚約者を作るとするならミアリナの可能性が高いだろう」
「な……、そんな……、ミアリナさんは人妻なんですよ!」
立ち上がって叫んだフララさんに、私が真実を伝える。
「私はもう人妻じゃないの。離婚が成立したの。だから、私はラフリード様の婚約者になる権利があるのよ」
「そんな……っ! 信じられない!」
トータムに確かめにでも行くのか、フララさんは部屋を飛び出していった。慌ててあとを追いかけようとしたウララさんに、伝えなければならないことを伝える。
「ブローチのこと、本当にありがとうございます。お礼に忠告させていただきますが、馬鹿ではないのなら、今、あなたが息子にしていることはやめておいたほうが良いでしょう」
「ビレディ侯爵に何かあった時には、貴方がたを真っ先に疑う」
私の言葉をラフリード様が補足すると、ウララさんは悔しそうな顔をしたあと、何も言わずに部屋を出ていったのだった。
******
私はトータムとの約束通り、ウララさんたちの手から彼を守ることにした。私にはない特権を王妃陛下は持っている。
王妃陛下にお願いすると、トータムを守るためならと、明らかにウララさんに付いている使用人を他の職場に移してくれた。転職先は全て使用人が続かないと評判の家で、今までのんびり仕事をしてきた人たちなら、かなり苦労するだろうとのことだった。
トータムはフララさんたちを追い出すことはせず、自分が別邸に移って仕事を始めた。今まで、ウララさんがやっていた仕事もトータムがするようになり、浪費については店に連絡を入れて彼女たちを出禁にしてもらったそうだ。
一人になってやっと目が覚めたと言っているらしく、しばらくは借金をしてでも、侯爵家を立て直すつもりらしい。
これで落ち着くかと思ったが、そうはいかなかった。
自由にお金を使えなくなったウララさんたちが私のブローチを狙って動き出したのだ。まずは私の居場所を調べようと、後払いで人を雇った。
だけど、私にはジゼル公爵家とディーラス公爵家が付いてくれている。公爵家が妨害してくれたため、私がどこにいるか捜す仕事を誰も引き受けなくなったのだ。
こうなることを予想していた私は、罠に引っかかった獲物を処罰するための機会を作ることにした。
ちょうど、私がトータムと別れて公爵家と仲良くしていると聞いた実家が、ジゼル公爵家に娘と連絡を取りたいと言ってきたところだった。
兄の誕生日パーティーを開くので出席してほしいと言うのだ。私が公爵家と仲良くしていると知らせた情報料なのかは知らないが、そのパーティーにウララさんたちも参加する。
私のことなどどうでも良いと思っている両親の目的は、ジゼル公爵家との繋がりだ。私のことを嫌っているくせに、こんな時だけ仲の良いふりをする家族が嫌いだった。
ラフリード様に今回の計画を話すと、付き合ってもらえることになった。
「巻き込んでしまって申し訳ございません。公爵夫人にもご迷惑をおかけすることになるかと……」
「気にするな。母も気にしないだろう。念の為にもう一つを持っていく。確認するが、本当にやるのか?」
「はい。大人しくしていれば良かったのに、そうしなかったのは向こうです。もう彼女たちには好き勝手させません」
お金に目がくらんでいる母子に、今度こそ決着をつける時が来た。
******
10日後の夜、私はラフリード様と久しぶりの実家に帰った。
パーティーが始まり、父が必死にラフリード様に話しかけていた時、わざと私は彼らから離れた。すると、待ってましたと言わんばかりにウララさんが近寄ってくる。
「ミアリナさん、そのブローチ、やっぱり素敵ね」
「ありがとうございます」
胸元のブローチに触って礼を言うと、ウララさんは手を合わせた。
「少しだけ、少しだけでいいの。手に取らせてくれない?」
そうくると思った。調べてみたところ、この母娘はこうして人の手からものを奪い、自分のものにしていた。
「無理です」
「お願いよ」
「無理だと言っているでしょう」
「ミアリナさん、お願いよ!」
引きちぎらんばかりの勢いでブローチに触ろうとするので、仕方がないふりをして、私は彼女にブローチを手渡した。
「満足ですか?」
尋ねると、ウララさんはにやりと笑う。
「……これで私のものよ」
「気が済んだのなら返してください」
「嫌よ。これは私のものよ! この泥棒!」
「一体、何の騒ぎだ?」
ラフリード様がやって来て尋ねると、ウララさんは私を指差して叫ぶ。
「聞いてください、ラフリード様! このブローチはミアリナさんのものではありません! 別のブローチを託されたのに、彼女が嘘をついて自分のものにしたのです!」
「……そんなわけがない」
ラフリード様が首を横に振ると、大人しく見守っていたフララさんが彼に近づいて訴える。
「ラフリード様、ミアリナさんは悪い人なんです。騙されないでください」
「うるさい。ミアリナにブローチを返せ」
フララさんに素っ気なく答えたあと、ラフリード様はウララさんに命令した。
「嫌です! これは私のものなんです! 奪われたものが私の所に返ってきたんです」
「神に誓って言えますか?」
「もちろんよ!」
私の問いにウララさんが頷くと、ラフリード様が冷たい眼差しを向ける。
「それは俺の母がミアリナに貸したものだ。あなたは母がそのブローチを奪ったと言いたいのか?」
「……え?」
ウララさんの顔から血の気が引いていくのがわかった。
ウララさんは笑顔で言うと、ラフリード様にチラチラと視線を送りながら、私に尋ねる。
「ところでラフリード様とミアリナさんはどういうご関係なの?」
その言葉が出てくると思っていた。笑みがこぼれそうになるのをなんとか堪え、正直に話す。
「とても良い友人関係です」
「そうなのね。たしか、ラフリード様には婚約者も恋人もいらっしゃらないわよね?」
「ええ。今のところは」
ラフリード様が意味ありげな言葉を返すと、ウララさんは勘違いしたようだった。
「ラフリード様はミアリナさんから嘘の話を聞いて、フララのことを誤解していると思うのです。よく知ってもらえたら、この子のことを気に入ってもらえるはずだわ」
「そうです。私はミアリナさんよりも優れています」
自信満々の笑みを浮かべて訴えるフララさんだったが、ラフリード様は失笑する。
「どこが優れていると言いたいんだ?」
「見てください。私の顔」
はっきりと顔と宣言できるフララさんの神経に驚く。
……これくらいの神経じゃないと今までやってこれないかしら。
「顔よりも性格重視なので遠慮する」
「でも、可愛いと思ってくれているのでしょう?」
「好みではない」
「今ならあなた好みの女性にできますわよ」
ウララさんはフララさんの肩を持って笑顔で言った。すると、ラフリード様も笑顔で答える。
「俺の婚約者の話でしたら、どうぞ他をあたってください」
「「なっ!?」」
「ウララさん、フララさん、ラフリード様のことは諦めてくださいね」
微笑んで言うと、フララさんは悔しそうな顔で声を荒らげる。
「ラフリード様の婚約者候補にさえなれないあなたに言われたくない!」
「それはどうかしらね」
「強がっても無駄よ! ですよね、ラフリード様!」
フララさんは勝ち誇った様子だが、ラフリード様は首を横に振る。
「彼女のことはうちの母が気に入っているんだ。婚約者を作るとするならミアリナの可能性が高いだろう」
「な……、そんな……、ミアリナさんは人妻なんですよ!」
立ち上がって叫んだフララさんに、私が真実を伝える。
「私はもう人妻じゃないの。離婚が成立したの。だから、私はラフリード様の婚約者になる権利があるのよ」
「そんな……っ! 信じられない!」
トータムに確かめにでも行くのか、フララさんは部屋を飛び出していった。慌ててあとを追いかけようとしたウララさんに、伝えなければならないことを伝える。
「ブローチのこと、本当にありがとうございます。お礼に忠告させていただきますが、馬鹿ではないのなら、今、あなたが息子にしていることはやめておいたほうが良いでしょう」
「ビレディ侯爵に何かあった時には、貴方がたを真っ先に疑う」
私の言葉をラフリード様が補足すると、ウララさんは悔しそうな顔をしたあと、何も言わずに部屋を出ていったのだった。
******
私はトータムとの約束通り、ウララさんたちの手から彼を守ることにした。私にはない特権を王妃陛下は持っている。
王妃陛下にお願いすると、トータムを守るためならと、明らかにウララさんに付いている使用人を他の職場に移してくれた。転職先は全て使用人が続かないと評判の家で、今までのんびり仕事をしてきた人たちなら、かなり苦労するだろうとのことだった。
トータムはフララさんたちを追い出すことはせず、自分が別邸に移って仕事を始めた。今まで、ウララさんがやっていた仕事もトータムがするようになり、浪費については店に連絡を入れて彼女たちを出禁にしてもらったそうだ。
一人になってやっと目が覚めたと言っているらしく、しばらくは借金をしてでも、侯爵家を立て直すつもりらしい。
これで落ち着くかと思ったが、そうはいかなかった。
自由にお金を使えなくなったウララさんたちが私のブローチを狙って動き出したのだ。まずは私の居場所を調べようと、後払いで人を雇った。
だけど、私にはジゼル公爵家とディーラス公爵家が付いてくれている。公爵家が妨害してくれたため、私がどこにいるか捜す仕事を誰も引き受けなくなったのだ。
こうなることを予想していた私は、罠に引っかかった獲物を処罰するための機会を作ることにした。
ちょうど、私がトータムと別れて公爵家と仲良くしていると聞いた実家が、ジゼル公爵家に娘と連絡を取りたいと言ってきたところだった。
兄の誕生日パーティーを開くので出席してほしいと言うのだ。私が公爵家と仲良くしていると知らせた情報料なのかは知らないが、そのパーティーにウララさんたちも参加する。
私のことなどどうでも良いと思っている両親の目的は、ジゼル公爵家との繋がりだ。私のことを嫌っているくせに、こんな時だけ仲の良いふりをする家族が嫌いだった。
ラフリード様に今回の計画を話すと、付き合ってもらえることになった。
「巻き込んでしまって申し訳ございません。公爵夫人にもご迷惑をおかけすることになるかと……」
「気にするな。母も気にしないだろう。念の為にもう一つを持っていく。確認するが、本当にやるのか?」
「はい。大人しくしていれば良かったのに、そうしなかったのは向こうです。もう彼女たちには好き勝手させません」
お金に目がくらんでいる母子に、今度こそ決着をつける時が来た。
******
10日後の夜、私はラフリード様と久しぶりの実家に帰った。
パーティーが始まり、父が必死にラフリード様に話しかけていた時、わざと私は彼らから離れた。すると、待ってましたと言わんばかりにウララさんが近寄ってくる。
「ミアリナさん、そのブローチ、やっぱり素敵ね」
「ありがとうございます」
胸元のブローチに触って礼を言うと、ウララさんは手を合わせた。
「少しだけ、少しだけでいいの。手に取らせてくれない?」
そうくると思った。調べてみたところ、この母娘はこうして人の手からものを奪い、自分のものにしていた。
「無理です」
「お願いよ」
「無理だと言っているでしょう」
「ミアリナさん、お願いよ!」
引きちぎらんばかりの勢いでブローチに触ろうとするので、仕方がないふりをして、私は彼女にブローチを手渡した。
「満足ですか?」
尋ねると、ウララさんはにやりと笑う。
「……これで私のものよ」
「気が済んだのなら返してください」
「嫌よ。これは私のものよ! この泥棒!」
「一体、何の騒ぎだ?」
ラフリード様がやって来て尋ねると、ウララさんは私を指差して叫ぶ。
「聞いてください、ラフリード様! このブローチはミアリナさんのものではありません! 別のブローチを託されたのに、彼女が嘘をついて自分のものにしたのです!」
「……そんなわけがない」
ラフリード様が首を横に振ると、大人しく見守っていたフララさんが彼に近づいて訴える。
「ラフリード様、ミアリナさんは悪い人なんです。騙されないでください」
「うるさい。ミアリナにブローチを返せ」
フララさんに素っ気なく答えたあと、ラフリード様はウララさんに命令した。
「嫌です! これは私のものなんです! 奪われたものが私の所に返ってきたんです」
「神に誓って言えますか?」
「もちろんよ!」
私の問いにウララさんが頷くと、ラフリード様が冷たい眼差しを向ける。
「それは俺の母がミアリナに貸したものだ。あなたは母がそのブローチを奪ったと言いたいのか?」
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