三ヶ月だけの恋人

perari

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仁野に表彰状を授けたのは、体育局遊跳センターの荒渡というリーダーだった。かつて全国大会で三位に入った経験があり、病気で現役を退いたが、四十代半ばになってもなお体型は崩れていない。
仁野は腰をかがめ、荒渡が優しく首にメダルをかける。「よく泳いだな」
仁野は「ありがとうございます」と答えた。
写真撮影を終えると、荒渡は優勝者と仁野を呼び止めた。「省チームで合宿プロジェクトを計画している。期間は約一か月で、二枠を君たちに用意している。興味はあるか?」
こんな機会は滅多に来ない。省チームのトレーニングは普段の練習では触れられないレベルで、停滞期の選手にとってはまさに天からの餌のようなものだ。優勝者は即答した。「監督、行きたいです」
仁野は少し迷った。荒渡は沈黙している彼に目を向け、訊いた。「仁野、どうする?」
仁野は二、三秒だけ沈黙した後、「行かせてください。ありがとうございます」と答えた。
閉会式は冗長で退屈だった。仁野は選手席に座り、スマホでカレンダーを開いた。
松田との約束の日まで、もう一か月余りしかない。もし仁野が省チームの合宿に参加するなら、松田と過ごせる時間はあと一週間ほどしか残されていない。
仁野はスマホをしまい、少し俯いて額を前の手すりに押し当て、目を閉じた。
閉会式が終わったのは六時過ぎ。仁野は堀川と一緒に部屋に戻った。堀川はモバイルバッテリーを手に取り、「今夜、田中と食事に行くんだけど、一緒にどう?」と訊く。
仁野は「いいよ、行ってきて」と答えた。
堀川はスマホと充電器を持って出かけていった。
仁野はスマホを取り出し、松田にLINEを送った。「どこ?」
松田はすぐには返事をくれなかった。仁野はスマホを置き、浴室でシャワーを浴びた。出てきても松田は返事をくれず、仁野はそのまま上の階へ向かった。
扉を開けたのは松田のルームメイトだった。背は低く、黒縁眼鏡をかけている。仁野を見ると少し戸惑った様子で、「こんにちは?」と挨拶する。
仁野は「松田はいますか?」と訊いた。
ルームメイトはすぐに理解し、「松田先輩!」と声を上げ、体を横にずらして道を開けた。「入ってください。今、指導教官のプロジェクトを手伝っています」
仁野は「お邪魔します」と小声で言い、部屋に入った。その時、松田はすでに出口に向かって歩いており、薄灰色の長袖パジャマを着ていた。体にゆったりとしたサイズで、細い手首が袖口から覗いている。
仁野が目を合わせると、松田の瞳がすぐに変わった。漆黒の瞳に冷淡さはなく、温かい光が差し込んでいるようだった。
松田は小さな声で言った。「何か用ですか?」
仁野はすぐには答えず、訊く。「忙しい?」
松田は首を横に振る。「大丈夫です。そんなに急ぎじゃない」
仁野は見つめながら言った。「夕飯、一緒にどう?私が奢る」
松田はすぐに頷き、まるで仁野が反悔しないか心配しているかのように。「はい、着替えてきます」
仁野は軽く頷いた。「じゃあ、後で私の部屋に来て」

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