6 / 17
05
しおりを挟む
大学に入ったら、このことはもう過去の話になるはずだった。みんなそれぞれの道を歩いているんだし。
だけど、理紗ちゃんの彼氏が、なんと同じ大学の体育会のやつで、しかも坂本のすぐ近くだった。まあ、それは偶然だけど。
飲み会でトイレに行って戻ってきたら、理紗ちゃんがニヤニヤしながら坂本に聞いていた。
「悠真とまだ付き合ってないの?」
は?坂本と俺が付き合ってる?頭おかしいんじゃないか?
俺は花壇の陰に隠れてこっそり聞いた。
いつもクールな坂本の表情も一瞬止まって、冗談だと思ったのか軽く首を振った。
「いや、付き合ってないよ。」
理紗ちゃんは目を見開いて、誇張したように言った。
「まだ付き合ってないの?悠真が嫌なんじゃない?そんなわけないよ……」
じっくり考えた後、こそこそと小声で言った。
「知らない?前に悠真に、どんな女の子が好きか聞いたら、なんと……」
うわあああ!
俺は思わず理紗ちゃんの口を塞ごうと飛び出した。テーブルまで来て手を伸ばしたその時、理紗ちゃんが大声で叫んだ。
「悠真は、坂本が女の子好きじゃないって言ってたよ!」
店内の視線が一斉に俺たちの席に集まった。ざわざわと囁く声が響く。
周りは笑いたそうだったけど、坂本の氷のような無表情を見て笑えず、みんな顔を歪めて苦しそうだった。
一方、坂本本人は一瞬驚いたあと、俺を見て少しだけ笑みを浮かべた。
終わったな!
俺は慌てて何もなかったように手を引っ込めて、ティッシュを掴んで理紗ちゃんに渡しながら、歯を食いしばって言った。
「さっさと口拭けよ。」
帰り道、俺は前を歩き、坂本は後ろをついてきた。
中学までは、あのクソ野郎の偉そうな態度が気に入らなかったけど、小さい頃からの唯一の親友だから、俺も我慢して彼の“パパ”役をしてきた。
だけど、高校に入ってから急に距離を置かれるようになった。
思えば、二人っきりでゆっくり過ごしたのは、中学卒業後の夏休みが最後だった。
暑い日で、坂本はあまり話さず、風のようにさっと走り去って、俺の首筋に冷たいコーラの缶を押し付けた。
冷たさにハッとして、俺は追いかけて彼を殴ろうとした。
それから、なぜかあいつは一方的に怒り出して、今に至っている。
坂本は路上の街灯の下で俺を押さえつけた。
灯りに照らされて彼の顔が明滅し、酒の匂いが少し漂っている。顔が近づいてきて、吐息が俺の頬を撫でた。少し酔っているらしい。
俺は腕を伸ばして押し返そうとしたけど、体格差がありすぎて力が及ばない。坂本はびくともしなかった。
「おい、俺が背負って帰ると思うなよ。無理だからな。」
坂本は黙って長いまつげを伏せて俺を見ていた。その瞳には俺にはわからない輝きがあった。
彼が黙ると、逆に俺のほうが戸惑ってしまう。考えたら、坂本が俺の好きな女の子を奪わなければ、こんな噂を流すこともなかったんだ。
理不尽だけど、因果応報ってやつだな。
だけど、理紗ちゃんの彼氏が、なんと同じ大学の体育会のやつで、しかも坂本のすぐ近くだった。まあ、それは偶然だけど。
飲み会でトイレに行って戻ってきたら、理紗ちゃんがニヤニヤしながら坂本に聞いていた。
「悠真とまだ付き合ってないの?」
は?坂本と俺が付き合ってる?頭おかしいんじゃないか?
俺は花壇の陰に隠れてこっそり聞いた。
いつもクールな坂本の表情も一瞬止まって、冗談だと思ったのか軽く首を振った。
「いや、付き合ってないよ。」
理紗ちゃんは目を見開いて、誇張したように言った。
「まだ付き合ってないの?悠真が嫌なんじゃない?そんなわけないよ……」
じっくり考えた後、こそこそと小声で言った。
「知らない?前に悠真に、どんな女の子が好きか聞いたら、なんと……」
うわあああ!
俺は思わず理紗ちゃんの口を塞ごうと飛び出した。テーブルまで来て手を伸ばしたその時、理紗ちゃんが大声で叫んだ。
「悠真は、坂本が女の子好きじゃないって言ってたよ!」
店内の視線が一斉に俺たちの席に集まった。ざわざわと囁く声が響く。
周りは笑いたそうだったけど、坂本の氷のような無表情を見て笑えず、みんな顔を歪めて苦しそうだった。
一方、坂本本人は一瞬驚いたあと、俺を見て少しだけ笑みを浮かべた。
終わったな!
俺は慌てて何もなかったように手を引っ込めて、ティッシュを掴んで理紗ちゃんに渡しながら、歯を食いしばって言った。
「さっさと口拭けよ。」
帰り道、俺は前を歩き、坂本は後ろをついてきた。
中学までは、あのクソ野郎の偉そうな態度が気に入らなかったけど、小さい頃からの唯一の親友だから、俺も我慢して彼の“パパ”役をしてきた。
だけど、高校に入ってから急に距離を置かれるようになった。
思えば、二人っきりでゆっくり過ごしたのは、中学卒業後の夏休みが最後だった。
暑い日で、坂本はあまり話さず、風のようにさっと走り去って、俺の首筋に冷たいコーラの缶を押し付けた。
冷たさにハッとして、俺は追いかけて彼を殴ろうとした。
それから、なぜかあいつは一方的に怒り出して、今に至っている。
坂本は路上の街灯の下で俺を押さえつけた。
灯りに照らされて彼の顔が明滅し、酒の匂いが少し漂っている。顔が近づいてきて、吐息が俺の頬を撫でた。少し酔っているらしい。
俺は腕を伸ばして押し返そうとしたけど、体格差がありすぎて力が及ばない。坂本はびくともしなかった。
「おい、俺が背負って帰ると思うなよ。無理だからな。」
坂本は黙って長いまつげを伏せて俺を見ていた。その瞳には俺にはわからない輝きがあった。
彼が黙ると、逆に俺のほうが戸惑ってしまう。考えたら、坂本が俺の好きな女の子を奪わなければ、こんな噂を流すこともなかったんだ。
理不尽だけど、因果応報ってやつだな。
107
あなたにおすすめの小説
愛おしい、君との週末配信☆。.:*・゜
立坂雪花
BL
羽月優心(はづきゆうしん)が
ビーズで妹のヘアゴムを作っていた時
いつの間にかクラスメイトたちの
配信する動画に映りこんでいて
「誰このエンジェル?」と周りで
話題になっていた。
そして優心は
一方的に嫌っている
永瀬翔(ながせかける)を
含むグループとなぜか一緒に
動画配信をすることに。
✩.*˚
「だって、ほんの一瞬映っただけなのに優心様のことが話題になったんだぜ」
「そうそう、それに今年中に『チャンネル登録一万いかないと解散します』ってこないだ勢いで言っちゃったし……だからお願いします!」
そんな事情は僕には関係ないし、知らない。なんて思っていたのに――。
見た目エンジェル
強気受け
羽月優心(はづきゆうしん)
高校二年生。見た目ふわふわエンジェルでとても可愛らしい。だけど口が悪い。溺愛している妹たちに対しては信じられないほどに優しい。手芸大好き。大好きな妹たちの推しが永瀬なので、嫉妬して永瀬のことを嫌いだと思っていた。だけどやがて――。
×
イケメンスパダリ地方アイドル
溺愛攻め
永瀬翔(ながせかける)
優心のクラスメイト。地方在住しながらモデルや俳優、動画配信もしている完璧イケメン。優心に想いをひっそり寄せている。優心と一緒にいる時間が好き。前向きな言動多いけれど実は内気な一面も。
恋をして、ありがとうが溢れてくるお話です🌸
***
お読みくださりありがとうございます
可愛い両片思いのお話です✨
表紙イラストは
ミカスケさまのフリーイラストを
お借りいたしました
✨更新追ってくださりありがとうございました
クリスマス完結間に合いました🎅🎄
未完成な僕たちの鼓動の色
水飴さらさ
BL
由人は、気が弱い恥ずかしがり屋の162cmの高校3年生。
今日も大人しく控えめに生きていく。
同じクラスになった学校でも人気者の久場くんはそんな由人に毎日「おはよう」と、挨拶をしてくれる。
嬉しいのに恥ずかしくて、挨拶も返せない由人に久場くんはいつも優しい。
由人にとって久場くんは遠く憧れの存在。
体育の時間、足を痛めた由人がほっとけない久場くん。
保健室で2人きりになり……
だいぶんじれじれが続きます。
キスや、体に触れる描写が含まれる甘いエピソードには※をつけてます。
素敵な作品が数多くある中、由人と久場くんのお話を読んで頂いてありがとうございます。
少しでも皆さんを癒すことができれば幸いです。
2025.0808
嫌いなあいつが気になって
水ノ瀬 あおい
BL
今しかない青春だから思いっきり楽しみたいだろ!?
なのに、あいつはいつも勉強ばかりして教室でもどこでも常に教科書を開いている。
目に入るだけでムカつくあいつ。
そんなあいつが勉強ばかりをする理由は……。
同じクラスの優等生にイラつきを止められない貞操観念緩々に見えるチャラ男×真面目で人とも群れずいつも一人で勉強ばかりする優等生。
正反対な二人の初めての恋愛。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる