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5.再会
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クロヴィスとの婚姻の無効が成立してから五年の月日が流れた。
ミレリアは二十ニ歳となり、今だに結婚をしておらず、奉仕活動に力を入れていた。
ミレリアの弟は二年前に結婚をし、甥が生まれた。
ミレリアの家族は、ミレリアにずっと家にいていいと言っていたが、ミレリアは、郊外にある屋敷を一つもらい、いつかは出ていこうと考えている。
行き遅れとなったミレリアへの縁談は減り、ミレリア自身も結婚をする気がなかった。
クロヴィスを今でも想っていて、せめて彼が結婚をするまでは、誰とも結婚をしたくないと思っている。
ミレリアはクロヴィスの結婚を見届け、気持ちに踏ん切りをつけようと思ったが、二十五歳になるクロヴィスは、今だに未婚のままだった。
ミレリアの結婚はどんどん遠のき、弟夫婦の迷惑にならないよう、家を出る事を考えていた。
ある日の事、ミレリアのもとに一通の手紙が届いた。王太子のアレックスからだった。
ミレリアはアレックスに呼ばれ、久しぶりに登城する事となる。
「いやー、急に呼び出して悪かったね」
「いえ、大丈夫です。急ぎのお話でしょうか?」
「いや、急ぎでは無いんだけどね。ミレリア嬢はまだ未婚でしょ? 少しで良いから会って欲しい人がいるんだ」
アレックスは、人好きのする笑みを浮かべた。
「会って欲しい人ですか?」
「そう。僕にとって大切な人なんだけど、縁談をことごとく断っていて、ぜひ会って欲しいんだ」
「それは、お見合いと言う事でしょうか?」
ミレリアは困った顔してアレックスを見た。
「そんな堅苦しいものでは無いんだ。少し会ってお茶をしてくれるだけでいい。もちろん、婚約する必要もない。本当に少しだけ会ってくれるだけでいいんだ」
少し慌てた様子のアレックスを見て、ミレリアはくすりと笑った。
「分かりました。少しだけでよろしいのでしたら、お会い致します」
「良かった。じゃあ、少し待っていて。今呼びに行かせ……いや、僕が直接行った方がいいな」
席を立ったアレックスを見て、ミレリアは急いで声を掛けた。
「今からですか?」
「そうそう。すぐだから。少し待っていて」
「えっ、待ってく……行ってしまわれたわ」
行ってしまったアレックスを見てミレリアは、少し話すだけならば今からでもいいかもしれないと思いとどまる。
相手の方も縁談を断り続けていると言っていた。きっと事情があるのだろう。
縁談を断り続けている同士で気が合うかもしれない。
未婚の仲間が出来るのは、喜ばしい事だ。二度と戻る事が無いクロヴィスとの関係に後悔し、結婚を諦めかけているミレリア。
自分と似たような身の上の人に、話を聞いてもらえたら気持ちが救われるかもしれないと考えた。
ミレリアが考え事をしていると、扉がノックされ、扉が開いた。
室内入って来たクロヴィスとミレリアの視線がぶつかる。
五年ぶりのクロヴィスに固まるミレリア。
クロヴィスが着席すると、柔らかい笑みを浮かべた。
「久しぶりだね。アレックスが急ぎで会って欲しい人がいると言うから、何事かと思ったよ」
「お久しぶりでございます。私もアレックス殿下に呼ばれまして、先程会って欲しい人がいると言われたんです」
「そうか、アレックスが。あれから全く会う事が無かったから、元気そうな姿を見られて安心したよ」
「クロヴィス殿下もお元気そうで」
「ああ」
ミレリアは久しぶりのクロヴィスに緊張してしまい、何を話していいのか分からなくなった。
「その節は、君に嫌な思いをさせてしまい申し訳なかった」
「いえ。私の方こそクロヴィス殿下ときちんとお話をせず、関係を終わらせしまい申し訳ありませんでした」
「いや、君は何度も私と話そうとしてくれただろう。ミレリア嬢からの手紙を全て読んだよ」
「全て……」
「ああ。今でも大切に取ってある」
ミレリアは自分の体が熱くなるのを感じた。
なんと返事をしたら良いのか――どうして今でも持っているのですか?
聞きたいけれど、聞きたくない。
事件の記録として取ってあるなどと言われたら、立ち直れない。
クロヴィスの話し方に期待してしまったので尚更だった。
ミレリアは二十ニ歳となり、今だに結婚をしておらず、奉仕活動に力を入れていた。
ミレリアの弟は二年前に結婚をし、甥が生まれた。
ミレリアの家族は、ミレリアにずっと家にいていいと言っていたが、ミレリアは、郊外にある屋敷を一つもらい、いつかは出ていこうと考えている。
行き遅れとなったミレリアへの縁談は減り、ミレリア自身も結婚をする気がなかった。
クロヴィスを今でも想っていて、せめて彼が結婚をするまでは、誰とも結婚をしたくないと思っている。
ミレリアはクロヴィスの結婚を見届け、気持ちに踏ん切りをつけようと思ったが、二十五歳になるクロヴィスは、今だに未婚のままだった。
ミレリアの結婚はどんどん遠のき、弟夫婦の迷惑にならないよう、家を出る事を考えていた。
ある日の事、ミレリアのもとに一通の手紙が届いた。王太子のアレックスからだった。
ミレリアはアレックスに呼ばれ、久しぶりに登城する事となる。
「いやー、急に呼び出して悪かったね」
「いえ、大丈夫です。急ぎのお話でしょうか?」
「いや、急ぎでは無いんだけどね。ミレリア嬢はまだ未婚でしょ? 少しで良いから会って欲しい人がいるんだ」
アレックスは、人好きのする笑みを浮かべた。
「会って欲しい人ですか?」
「そう。僕にとって大切な人なんだけど、縁談をことごとく断っていて、ぜひ会って欲しいんだ」
「それは、お見合いと言う事でしょうか?」
ミレリアは困った顔してアレックスを見た。
「そんな堅苦しいものでは無いんだ。少し会ってお茶をしてくれるだけでいい。もちろん、婚約する必要もない。本当に少しだけ会ってくれるだけでいいんだ」
少し慌てた様子のアレックスを見て、ミレリアはくすりと笑った。
「分かりました。少しだけでよろしいのでしたら、お会い致します」
「良かった。じゃあ、少し待っていて。今呼びに行かせ……いや、僕が直接行った方がいいな」
席を立ったアレックスを見て、ミレリアは急いで声を掛けた。
「今からですか?」
「そうそう。すぐだから。少し待っていて」
「えっ、待ってく……行ってしまわれたわ」
行ってしまったアレックスを見てミレリアは、少し話すだけならば今からでもいいかもしれないと思いとどまる。
相手の方も縁談を断り続けていると言っていた。きっと事情があるのだろう。
縁談を断り続けている同士で気が合うかもしれない。
未婚の仲間が出来るのは、喜ばしい事だ。二度と戻る事が無いクロヴィスとの関係に後悔し、結婚を諦めかけているミレリア。
自分と似たような身の上の人に、話を聞いてもらえたら気持ちが救われるかもしれないと考えた。
ミレリアが考え事をしていると、扉がノックされ、扉が開いた。
室内入って来たクロヴィスとミレリアの視線がぶつかる。
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「久しぶりだね。アレックスが急ぎで会って欲しい人がいると言うから、何事かと思ったよ」
「お久しぶりでございます。私もアレックス殿下に呼ばれまして、先程会って欲しい人がいると言われたんです」
「そうか、アレックスが。あれから全く会う事が無かったから、元気そうな姿を見られて安心したよ」
「クロヴィス殿下もお元気そうで」
「ああ」
ミレリアは久しぶりのクロヴィスに緊張してしまい、何を話していいのか分からなくなった。
「その節は、君に嫌な思いをさせてしまい申し訳なかった」
「いえ。私の方こそクロヴィス殿下ときちんとお話をせず、関係を終わらせしまい申し訳ありませんでした」
「いや、君は何度も私と話そうとしてくれただろう。ミレリア嬢からの手紙を全て読んだよ」
「全て……」
「ああ。今でも大切に取ってある」
ミレリアは自分の体が熱くなるのを感じた。
なんと返事をしたら良いのか――どうして今でも持っているのですか?
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