なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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クラウス視点 1

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  俺は小さい頃は、痩せていた。
身体を動かす遊びも好きだったし、剣は同じ年齢の子達より上達がはやかった。

  身体を動かすとお腹が空き、どんどん食べる量が増えていった。運動をしない日も、たくさん食べるようになり、気づいた時には動く事がおっくうになっていた。

  母は痩せさせようとダンスの授業を増やしたり、食事の量を減らすように使用人に伝えたが、俺は、ダンスの授業から逃げ、食事の量が足りない時は屋敷をこっそり抜け出して、町で買い食いするようになった。

  俺がいなくなったことに屋敷の中は大騒ぎ。屋敷に戻ってからは、かなり叱られた。しかし、次の日の家で出た食事の量はもとに戻っていた。

  8歳の時に参加したお茶会では、最悪な思いをした……
  目の前に座っていた少しつり目の女の子が、俺の事を小さな声で『金髪の子豚みたい……』と、言った。俺には、しっかり聞こえていた。
つり目の女の子の隣に座っていた茶髪の女の子にも聞こえたようでクスクス笑われた。
  その茶髪の女の子は、大人達に気づかれないようにこそこそと『金髪の子豚』を広めていった。

  あの出来事があってからは、さらに太ってしまった。
  そして、人と関わることも避けるようになっていった。

  それ以来茶会は、ほとんど欠席。  王家主催の欠席が出来ないものと親戚だけの小さいものには参加した。

  俺と年齢が近い第二王子のエドワード殿下と第三王子のアクセル殿下と仲良くなった。
  エドワード殿下は、実の兄のように俺を心配してくれた。
  アクセル殿下からは、色々な情報が手に入った。

  十歳を過ぎると両親は、俺の婚約者を探しはじめてくれた。しかし、年齢が釣り合う爵位が高い家には片っ端から断られた。

  いくつかの伯爵家にも断られたらしい。らしいというのは、この頃になると両親が断られたことを俺に知られないように婚約者探しをするようになったから。

  夜に屋敷の中を静かに歩くと色々な情報が手に入った。

  俺は婚約を……結婚を諦めはじめた。

  十四歳の時に俺に転機が訪れる。

「クラウス!  今度、伯爵家のお嬢さんとお見合いよ!」

  この日の母は、かなりテンションが高かった。

  俺と会ってくれる令嬢なんているのか?

  俺の疑問が顔に出ていたのだろう。母がすぐに答えをくれた。

「この間、婚約が解消されたみたいでね、他に取られる前に急いで婚約の話を持ち掛けたのよ」

  そういえば、アクセル殿下もそんな話をしていたな。

  婚約を解消されるなんて…その女の子は、普通の子なのだろうか。
  まあ、どうせ会っても泣いて嫌がられてその場で断られたり。
  当日は当たり障りなく終わっても、後日に断られて終わりだろう。

  俺は、何も期待をしなかった。

  だからその時は、彼女が俺の婚約者になるなんて、考えもしなかったんだ。
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