なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  私はナディア様と一緒に、廊下を歩く。

「リリアーナちゃん、今から、ここでお茶を飲みましょう」

  さっきまでの怒りは嘘のように、ナディア様はご機嫌に言った。

  バラ園が見える部屋に通され、ナディア様とお茶をする。
  今日もバラの花が、綺麗だった。

「リリアーナちゃん!  クラウスがごめんなさいね。女の子と付き合ったことがないから、女心を分かっていないのよね」

  ナディア様に急に謝られたので、私は返事をした。

「いいえ。クラウス様は、私にとても優しくして下さっていますよ」

「そうかしら?  さっきの見てるとそうは思えないわ」

「さっきのは、たまたまです。この間は、町に連れて行って下さいました。私、はじめて食べ歩きをしました。とっても楽しかったです。あと、かわいいケーキもごちそうになりました」

  私は、ニッコリ笑って言った。

「まあ!  あそこのカフェかしら?」 

「噴水公園の近くのしゃれたカフェ店でした」

「やはり、あのカフェ店に行ったのね。クラウスったら……うふふ」

  ナディア様は、なんだか楽しそうだ。

「二人が仲良くやっているなら安心をしたわ。クラウスとリリアーナちゃんを見ていたら昔を思い出しちゃったわ」

  ナディア様は、語り始めた。

「セオドリックは、とってもモテていたのよ、昔の話だけど。私と婚約していたのに、夜会でたくさんの女性と踊っていたわ。私とは、最初のダンスと行き帰りのエスコートだけ。私の側には、ほとんど居てくれなかったわ。はじめは我慢していたわ。けれどそれが続いて、耐えられなくなってしまったの」

  ナディア様は、遠くを見つめて語っていたが、目線を上げて私をまっすぐ見つめ、続きを話した。

「だから私、セオドリックに言ってやったのよ。愛する女性が他に出来たのなら、どうぞそちらにお乗りかえ下さい。ってね」

  ナディアの赤色の瞳が、強く輝いた気がした。

「そうしたら、セオドリックったらね。私が君の他に愛する女性を作るわけないだろう。って言ったのよ。ひどく慌てていたわ。私、怒っていたのに、セオドリックの慌てように可笑しくて笑ってしまったわ」

  ナディア様は、クスクス笑っていて楽しそうだ。

「それから、セオドリックは私を公爵領が見渡せる丘に連れて行ってくれてね。『二度と君を傷つけない、この赤いバラに誓うよ』と言ってから赤いバラを一輪くれたの。なんで、赤いバラなの?  と聞いたら。告白する時は、赤いバラなんでしょ?ですって。セオドリックったら、何も考えてないんだから」

  飽きれたように言ったナディア様に私は、口元から笑みをこぼした。

「それから、何で夜会で私をひとりぼっちにしたの?  って、聞いたら、社交界だから色々な人と関わらないといけないと思っていた。ですって。そんなこと言われたら、怒れなくなってしまったわ。だって間違っていないもの。けれど極端なのよね。それ以来は、私との時間も作ってくれるようになったの」

  ナディア様は優しいそうな笑みでバラ園を見つめた。それから、一度真顔になってから、口元の口角だけを上げ、私に視線を戻す。

「だからね。セオドリックがあの時のことを忘れないように。庭園の花をほとんどバラにしたのよ」

  私の背筋がぞくっとした。

  ナディア様は、絶対に怒らせていけない人だ……根に持つタイプね。

「素敵な思い出ですね。私もナディア様達みたいに仲睦まじい夫婦になりたいですわ」

  私は、笑顔で感想を述べた。
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