34 / 107
28
しおりを挟む
ノックが聞こえた。
「母上、クラウスです。入ってもいいですか」
「どうぞ」
ナディア様の声を聞き、クラウスが入室した。
クラウスの顔色が悪い。具合が悪いのだろうか。
「クラウス、二人きりにしてあげるわ。頑張りなさい」
そう言うとナディア様は、退出して行った。
室内には、サラが待機しているので二人きりではないが……ピリピリした空気に私は、緊張した。
クラウスが、話掛けてきた。
「すまなかった」
「えっ」
何に対しての謝罪が分からなかった。そして不安になった私は、返事をしてから、クラウスに近寄った。
「俺だけ楽しんで、リリアーナをひとりぼっちにした。本当にごめん」
「私、怒ってないよ。見学するのもそれなりに楽しかったし。あっ! 次は本を持って行こうかなって考えいたのよ。そうしたら、クラウスも集中出来るでしょ」
私の言葉にクラウスは、顔を青くした。
「ごめん。本当にごめんね。ひとりで退屈だったよね。俺、リリアーナの婚約者なのに、リリアーナのことより、自分のことばかり……ごめんな」
私は、少し戸惑って返事をする。
「えっ、クラウスそんなに謝らないで。私、怒ってないよ」
「怒ってない? 俺の事を嫌いになった?」
「怒っても、嫌いにもなってないよ」
「本当に?」
「本当よ」
クラウスは、ほっとした顔をしたので、私は話を続けた。
「それにね。クラウスが運動頑張ってくれて嬉しいの。また、少し痩せたよね。見学をしている時にね、気づいたのよ」
「ああ。また、服を新調したよ」
クラウスは、そう言うと私を抱き締めて話を続けた。
「恐かったんだ。リリアーナが、俺の事嫌いになって、遠くに行ってしまう気がした」
「私は、クラウスの側にいるよ。ずっと、いるよ」
クラウスは私を抱き締めていた腕に、さらに力を入れて、きつく抱き締める。
クラウスの腕が触れている背中が熱を持った気がした。
「リリアーナ、待っていて。必ず痩せて、俺の気持ちを伝えるから。それまで、待っていて欲しい」
私の身体が暑くなる。心臓の音がやけにうるさい。
きっと、顔も赤くなっているだろう。
「うん、待ってるわ。私もクラウスの隣に立てるよう、勉強を頑張るから」
クラウスは、抱き締めたまま私の頭にキスをした。
クラウスが離れて、私の視界にサラが入る。
は、恥ずかしい……サラに見られてたんだ。
サラは、顔に表情を出さず、とても優秀な侍女だった。
クラウスが少しぎこちなく、私に話掛けた。
「み、みんなの所に戻ろうか。今は、噴水が見えるテラスでお茶をしているよ。俺たちも行こう」
「う、うん」
クラウスの言葉になんとか返事をした私は、お兄様達がいる場所へ、クラウスと向かって行った。
クラウスと距離が少し近づいたようで、私は嬉しかった。
「母上、クラウスです。入ってもいいですか」
「どうぞ」
ナディア様の声を聞き、クラウスが入室した。
クラウスの顔色が悪い。具合が悪いのだろうか。
「クラウス、二人きりにしてあげるわ。頑張りなさい」
そう言うとナディア様は、退出して行った。
室内には、サラが待機しているので二人きりではないが……ピリピリした空気に私は、緊張した。
クラウスが、話掛けてきた。
「すまなかった」
「えっ」
何に対しての謝罪が分からなかった。そして不安になった私は、返事をしてから、クラウスに近寄った。
「俺だけ楽しんで、リリアーナをひとりぼっちにした。本当にごめん」
「私、怒ってないよ。見学するのもそれなりに楽しかったし。あっ! 次は本を持って行こうかなって考えいたのよ。そうしたら、クラウスも集中出来るでしょ」
私の言葉にクラウスは、顔を青くした。
「ごめん。本当にごめんね。ひとりで退屈だったよね。俺、リリアーナの婚約者なのに、リリアーナのことより、自分のことばかり……ごめんな」
私は、少し戸惑って返事をする。
「えっ、クラウスそんなに謝らないで。私、怒ってないよ」
「怒ってない? 俺の事を嫌いになった?」
「怒っても、嫌いにもなってないよ」
「本当に?」
「本当よ」
クラウスは、ほっとした顔をしたので、私は話を続けた。
「それにね。クラウスが運動頑張ってくれて嬉しいの。また、少し痩せたよね。見学をしている時にね、気づいたのよ」
「ああ。また、服を新調したよ」
クラウスは、そう言うと私を抱き締めて話を続けた。
「恐かったんだ。リリアーナが、俺の事嫌いになって、遠くに行ってしまう気がした」
「私は、クラウスの側にいるよ。ずっと、いるよ」
クラウスは私を抱き締めていた腕に、さらに力を入れて、きつく抱き締める。
クラウスの腕が触れている背中が熱を持った気がした。
「リリアーナ、待っていて。必ず痩せて、俺の気持ちを伝えるから。それまで、待っていて欲しい」
私の身体が暑くなる。心臓の音がやけにうるさい。
きっと、顔も赤くなっているだろう。
「うん、待ってるわ。私もクラウスの隣に立てるよう、勉強を頑張るから」
クラウスは、抱き締めたまま私の頭にキスをした。
クラウスが離れて、私の視界にサラが入る。
は、恥ずかしい……サラに見られてたんだ。
サラは、顔に表情を出さず、とても優秀な侍女だった。
クラウスが少しぎこちなく、私に話掛けた。
「み、みんなの所に戻ろうか。今は、噴水が見えるテラスでお茶をしているよ。俺たちも行こう」
「う、うん」
クラウスの言葉になんとか返事をした私は、お兄様達がいる場所へ、クラウスと向かって行った。
クラウスと距離が少し近づいたようで、私は嬉しかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5,087
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる