なんでも奪っていく妹に、婚約者まで奪われました

ねむ太朗

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  私が黙ると精霊エミリア様が話を続けた。

「そういえば、リリアーナが作った池の刺繍のハンカチが欲しいの」

「えっ?  あれが欲しいんですか?」

「そうそう!  この池は私の部屋みたいなものなのよ。そして、アルバートと出逢った大切な場所。あと他には、アルバートと作ったこの国と、アルバートの子ども達も私の宝物だけれども。だから、リリアーナが池の刺繍をしてくれて、嬉しかったのよ」

  私は嬉しくなってすぐに返事をした。

「いいですよ!」

「まあ、ありがとう。本当はすぐに欲しかったのだけれどね。クラウスったら中々リリアーナに私の話をしないじゃない。したと思ったら、今度はリリアーナがここに来なくなってしまったわ。まあ、リリアーナの部屋で姿を見せる事も出来たのだけれどね。でも初めて会う時は、池の近くで会いたいじゃない。私のこだわりね」

  そう話をした精霊エミリア様の顔は、楽しそうだった。

「色々ありましたからね」

「そうね。ずっと見ていたけれど、色々あったわね」

  私は疑問に思ったので聞いて見た。

「いつから、私の事を見ていたのですか?」

「初めて池に来た日よ。リーベル家に入る為に審査をしていたのよ。ナディアの時も婚約をしてから、しばらくは見ていたわ。リリアーナの時のようにずっとではないけれど」

「審査……ですか?  私は、どうだったのでしょうか」

「もちろん、合格よ。ずっと見ていたのは、アルバートに似ている所があって懐かしくなっただけよ」

  私は、嬉しくなってクラウスに話し掛けた。

「良かったー!  やったね。私、合格だって」

「ああ。良かったな……」

「ちょっと、クラウスどうしたの?」

「リリアーナは、本当に怖くないんだな?」

「怖くないわよ。どうしたの?」

「いや、何でもない……」

  私は、精霊エミリア様に視線を戻した。

「合格ありがとうございます。所で、不合格の人っているのですか?」

「時々いるわよ」

「不合格の人は、どうなるんですか?」

「そういう時はね、女性の場合で説明をするわね。その女の人の周りに格好いい男の人を数人用意するのよ。その男の人達はみんな愛をささやくわ。私が作った幻想だけれどね。そうすれば大抵は、自ら婚約を解消したいって言って来るから。まあ、それになびかなければ合格にするけれどね」

「なるほど!  ちなみに、不合格の理由とは」

  私は気になったので聞いてみた。

「婚約者に対して、全く好意が無いことね。数ヶ月見ているとさすがに分かるのよ。私……愛の無い結婚は好きじゃないのよ」

「あー!  なんか、分かった気がします」

「ふふ。分かってくれて嬉しいわ」

  精霊エミリアは、笑っていた。
  私も一緒に笑ってから、さらに質問をする。

「王家の方も審査をするのですか?」

「もちろんよ!」

  精霊エミリア様は、笑顔を見せてくれた。

「あともう一ついいですか?」

「なにかしら」

「どうして、三百年前に金髪青目の男の子が王家に生まれなかったのですか」

「知らないわよ」

「はい?」

  私は驚いて目を見開いた。

「アルバートが亡くなった時に悲しくて、自分でもどんな力を使ったのか覚えていないのよ。しかも、あの時は私の力以上の力を出してしまったから、今の私にはどうする事も出来ないわ」

「では地震は……」

「私も驚いたわよ。まるで私が怒ってやったみたいじゃない」

  精霊エミリア様は怒った顔をして言っていたが、怒りたいのは当時のライングドール王国の国民だと思った。

「リリアーナ、また遊びにいらっしゃい」

「ありがとうございます。今度は池のハンカチを持って来ますね。あれ、下手くそなので刺繍し直しますか?」

「そのままでいいわ。あれが欲しいのよ」

「分かりました。今度来た時にお渡ししますね」

「では、気を付けて帰りなさい」

「ありがとうございました。さようなら」

  クラウスも隣で挨拶をしていた。
  帰り道は、話をしながらのんびり歩く。

「クラウスは、怖かったの?」

「怖くはないが、受け入れるのに少し時間が掛かりそうだ」

「そう……。リーベル公爵は、精霊エミリア様に会った事があるの?」

「父上からそんな話は、一度も聞いた事がないよ」

「そうなの。精霊エミリア様は気分屋さんなのね」

「そうかもしれないな」

  森を出て、クラウスに挨拶をして馬車に乗り込んだ。

  私を乗せた馬車は、プラメル伯爵領に戻って行った。
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