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王太子執務室の深夜の会話
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夜も深まったころ、テオドールはクラリスを見送った後、決まって王太子執務室へ向かう。毎晩のように、フリードリヒが待っている。テオドールは無言でフリードリヒを見つめるが、彼はお構いなしに話し続ける。
「お疲れ、テオ。ご苦労だったね。で? 今日は姫の様子はどうだった?」
フリードリヒのいつもの調子に、テオドールは冷たい視線を向ける。
「何? どうしたの? テオが黙ってるなんて怖いんだけど?」
フリードリヒは楽しげに笑いながら、立ち上がってテオドールをソファへと促す。席に着いたテオドールの態度が、ますます無言のままだと、フリードリヒは言葉を続ける。
「お前、また後継ぎのことでやんややんや言われてたんだって?」
テオドールの目が一瞬、鋭くなる。しかしフリードリヒは全く気にせず、楽しげに話す。
「早いね、そうそう。相変わらず貴族ってのは暇なのかね? そんな事では“コウノドリ”のご機嫌も悪くなるだけだろう?」
テオドールは軽く眉をひそめ、フリードリヒを睨みつける。
「いつまでも“コウノドリのご機嫌”だけじゃ、逃げられないぜ?」
フリードリヒはキョトンとし、何も言えずにいるが、テオドールは続ける。
「そもそも、お前、後継者なんて作ってないだろ?」
フリードリヒはニヤリと笑い、不敵な調子で返す。
「何? 最近犬猿の仲から急展開で仲良くなったと思ってたけど、もうそんな話まで出る仲になったのか?」
テオドールは一瞬顔を赤らめ、すぐに叫ぶように言った。
「なわけあるか!」
テオドールが細マッチョの話を持ち出すと、フリードリヒはまたケラケラと笑いながら言う。
「細マッチョね~。ネーミングセンスは認めるよ。ってそんな事よりね、兄上に婚儀の話があるんだ。来月にも顔合わせだって」
テオドールは真顔になり、目を細めて聞く。
「えらく急じゃね? で? 相手は?」
フリードリヒは不敵な笑みを浮かべ、答える。
「誰だと思う? 驚くよ」
…。
テオドールの脳内で、いくつかの名前が瞬時に浮かんでは消える。だが、すぐにその答えに辿り着く。
「パナン王国第1王女、エリザベスだ」
…。
テオドールは完全に固まった。額にしわが寄り、目を見開く。
「パナン王国って…」
「そう、あのパナン王国だ」
フリードリヒの一言に、テオドールの表情がさらに暗くなる。
パナン王国はかつて広大な王国を誇り、数世代前の栄光を今も誇り高く抱えている。しかし、戦争や内乱を経て王国の領土は縮小し、現在は一国の王族に過ぎない。それでもその影響力とプライドは、いまだに大陸で無視できない存在だ。
「パナン王国が何故? しかも第1王女って」
フリードリヒはテオドールの驚きに冷静に答える。
「パナン王国第1王女エリザベス。その美貌を知らぬ者は大陸にいない。完璧な淑女で、まるで王族の鏡のような存在さ。貴族ですら近寄りがたい雰囲気を持っているらしい」
テオドールは、その名を聞いて、さらに深い混乱に陥る。自分が知っている限りでは、エリザベス王女は特別な存在であり、政治的な意味合いも強く感じられる相手だ。
「…どうして?」
フリードリヒは、そんなテオドールを見て楽しそうに笑いながら続ける。
「面白いだろ? 誰の入れ知恵かね?」
「お前! そんな悠長なこと言ってる場合か?」
テオドールは、フリードリヒの態度がどうにも腹立たしくて、つい声を荒げる。しかしフリードリヒは、まったく動じることなく、王太子スマイルを崩さずに言った。
「何が悠長だって? あの王女が王太子妃になったら、王国の立場が大きく変わる可能性だってあるんだよ。俺たちだって、それなりに動かなきゃならないだろう?」
テオドールは、ただ黙ってフリードリヒを見つめる。次の言葉をどこかで予感していたのだ。
「お前、どうするつもりだ?」
フリードリヒはテオドールを見つめながら言った。
「何がどうするだって? 俺はただ、今の状況を楽しんでいるだけだ」
フリードリヒは椅子に背を預け、優雅にひと息つく。その姿を見て、テオドールは深いため息をつくしかなかった。
「お疲れ、テオ。ご苦労だったね。で? 今日は姫の様子はどうだった?」
フリードリヒのいつもの調子に、テオドールは冷たい視線を向ける。
「何? どうしたの? テオが黙ってるなんて怖いんだけど?」
フリードリヒは楽しげに笑いながら、立ち上がってテオドールをソファへと促す。席に着いたテオドールの態度が、ますます無言のままだと、フリードリヒは言葉を続ける。
「お前、また後継ぎのことでやんややんや言われてたんだって?」
テオドールの目が一瞬、鋭くなる。しかしフリードリヒは全く気にせず、楽しげに話す。
「早いね、そうそう。相変わらず貴族ってのは暇なのかね? そんな事では“コウノドリ”のご機嫌も悪くなるだけだろう?」
テオドールは軽く眉をひそめ、フリードリヒを睨みつける。
「いつまでも“コウノドリのご機嫌”だけじゃ、逃げられないぜ?」
フリードリヒはキョトンとし、何も言えずにいるが、テオドールは続ける。
「そもそも、お前、後継者なんて作ってないだろ?」
フリードリヒはニヤリと笑い、不敵な調子で返す。
「何? 最近犬猿の仲から急展開で仲良くなったと思ってたけど、もうそんな話まで出る仲になったのか?」
テオドールは一瞬顔を赤らめ、すぐに叫ぶように言った。
「なわけあるか!」
テオドールが細マッチョの話を持ち出すと、フリードリヒはまたケラケラと笑いながら言う。
「細マッチョね~。ネーミングセンスは認めるよ。ってそんな事よりね、兄上に婚儀の話があるんだ。来月にも顔合わせだって」
テオドールは真顔になり、目を細めて聞く。
「えらく急じゃね? で? 相手は?」
フリードリヒは不敵な笑みを浮かべ、答える。
「誰だと思う? 驚くよ」
…。
テオドールの脳内で、いくつかの名前が瞬時に浮かんでは消える。だが、すぐにその答えに辿り着く。
「パナン王国第1王女、エリザベスだ」
…。
テオドールは完全に固まった。額にしわが寄り、目を見開く。
「パナン王国って…」
「そう、あのパナン王国だ」
フリードリヒの一言に、テオドールの表情がさらに暗くなる。
パナン王国はかつて広大な王国を誇り、数世代前の栄光を今も誇り高く抱えている。しかし、戦争や内乱を経て王国の領土は縮小し、現在は一国の王族に過ぎない。それでもその影響力とプライドは、いまだに大陸で無視できない存在だ。
「パナン王国が何故? しかも第1王女って」
フリードリヒはテオドールの驚きに冷静に答える。
「パナン王国第1王女エリザベス。その美貌を知らぬ者は大陸にいない。完璧な淑女で、まるで王族の鏡のような存在さ。貴族ですら近寄りがたい雰囲気を持っているらしい」
テオドールは、その名を聞いて、さらに深い混乱に陥る。自分が知っている限りでは、エリザベス王女は特別な存在であり、政治的な意味合いも強く感じられる相手だ。
「…どうして?」
フリードリヒは、そんなテオドールを見て楽しそうに笑いながら続ける。
「面白いだろ? 誰の入れ知恵かね?」
「お前! そんな悠長なこと言ってる場合か?」
テオドールは、フリードリヒの態度がどうにも腹立たしくて、つい声を荒げる。しかしフリードリヒは、まったく動じることなく、王太子スマイルを崩さずに言った。
「何が悠長だって? あの王女が王太子妃になったら、王国の立場が大きく変わる可能性だってあるんだよ。俺たちだって、それなりに動かなきゃならないだろう?」
テオドールは、ただ黙ってフリードリヒを見つめる。次の言葉をどこかで予感していたのだ。
「お前、どうするつもりだ?」
フリードリヒはテオドールを見つめながら言った。
「何がどうするだって? 俺はただ、今の状況を楽しんでいるだけだ」
フリードリヒは椅子に背を預け、優雅にひと息つく。その姿を見て、テオドールは深いため息をつくしかなかった。
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