王太子妃クラリスと王子たちの絆【完】

mako

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側近の誓い

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クラリスは執務室に入り、テオドールが扉を閉めたのを確認すると、思わず小さく息を吐いた。

さすがに、昨日の今日であの演技はきつい。

テオドールは心配そうにクラリスを覗き込む。クラリスは今にも泣きそうな表情で、しかし目だけは真っ直ぐテオドールを捉えていた。

「テオ、心から謝るわ。本当にごめんなさい」

テオドールは首を横に振る。

「今回は私の失態です。妃殿下が頭を下げる必要は何もありません。私の方こそ、妃殿下の側近としての振る舞いを考えているところです」

普段の軽妙さを封印し、神妙な面持ちでクラリスを見つめるテオドールに、クラリスは大きな瞳をさらに大きく見開いた。

「テオ!そんなこと言わないで!私の側近は貴方しかいないわ。お願いだから!これからは気をつけるって約束する。貴方にこんなことを言わせない王太子妃になるから!ね?テオドール!」

焦りから、クラリスの表情は次第に幼い子どものように、まるで怯えているかのような形へと変わっていった。

「まるで別れを嘆くようだね」

ノックもせず入室してきたのはフリードリヒだった。苦笑を浮かべながらクラリスの執務室に入り、クラリスを見つめる。

「殿下…」

クラリスは半べそでフリードリヒに泣きつくと、彼は軽く微笑んだ。

「テオ、そうイジメるな。クラリスもこうして反省しているんだ」

…ったく、はえーよ。来るのが…もう少しイジメたかったしな。どれだけこのじゃじゃ馬に振り回されていると思ってるんだ?

テオドールはフリードリヒを軽く睨みつけ、仕方なく頷いた。

安堵するクラリスと不満げなテオドールを並べ、フリードリヒは表情を引き締め、深く頭を垂れた。

「ありがとう。ヨハネスのために」

「殿下!」

「フリード…お前、立場分かってるか?1日に二度も頭を下げるなよ」

テオドールは友としてフリードリヒの肩に手を回す。フリードリヒは嬉しそうに笑った。

「だな」

「クラリス、これからは何でも夫である私に話すようにね?」

クラリスは叱られる子どものように、うなずいた。

「妃殿下、これからは何でも側近である私に話してください。でなければ守ることもできませんから」

クラリスは小さくため息をつき、頬を膨らませながら答える。

「ふたりして、これ以上イジメないで。分かってるから、私が一番」

二人は穏やかに微笑み、クラリスを優しく見つめた。
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