お前は俺の指示に従え〜意地悪な外科医との契約結婚

ラヴ KAZU

文字の大きさ
8 / 29

へえ、そんなに俺にキスして欲しいのか①

しおりを挟む

無理な体制だったから、私は倒れそうになり、最上さんの袖を引っ張った。

最上さんは私を抱き抱えてくれた。

足首に体重がかかり「痛い」と大きな叫び声を発した。

「大丈夫か」

最上さんは私を抱き抱えてベッドに逆戻り。

すぐに足首を確認してくれた。

「ちょっと必要以上に力が加わったんだな、大丈夫だ」

私は目にいっぱいの涙が溢れて頬を伝わった。

最上さんは頬の涙にキスをしてくれた。

そして最上さんの唇は私の唇にキスをしてくれた。

お互いに強く求め合った。

最上さんはいつも言葉と行動が伴わない。

もしかして、最上さんも私をちょっとは好きって思ってくれているの?

そんな私の浮ついた気持ちは一瞬にして打ち砕かれた。

次の日から、最上さんは毎日帰りが遅くなった。

それは外科のお医者様なんだから仕方無いかもしれない。

でも、帰りは私が眠ってしまってから帰ってくるし、休みは全くない。

朝も私が起きてくる時間には既に病院へ行っている。



私はやっぱり契約上だけの婚約者なの?

契約結婚って言っていたけど、入籍はまだしていない。

私の相手をするのが面倒になったのかな?

そんなある夜、私が起きている時間に最上さんは帰って来た。

「ただいま」

「お帰りなさい、今日は早かったんですね」

最上さんは何も言わずに寝室へ着替えに入った。

「シャワーを浴びるぞ」

「はい」

「これ、サインしておけ」

最上さんはそう言って、テーブルの上に婚姻届の用紙を置いた。

既に最上さんはサイン済みだった。

契約続けるんだ、良かった。

私は久しぶりに早く帰って来た最上さんと話がしたかった。

だから、分かっていたが、婚姻届の書き方を最上さんに質問しながら書こうとしていた。

シャワールームから出てきた最上さんを早速捕まえて、質問し始めた。

「最上さん、病院でサインしたんですか」

「ああ、そうだ」

「よく、注意書き読みましたか」

「別に読まねえけど、名前書いて印鑑押せばいいんだろ」

「はじめてだから緊張しますね」



「俺は二度目だから、別に緊張しねえけど」

えっ、二度目?

嘘!離婚歴があるの?

「なんだよ、そんなに驚いた顔して」

「だって……」

「言っとくけど、離婚歴あるわけじゃねえから」

「でも、結婚しようと思って、婚姻届書いたんですよね、結婚したいと思った女性がいたって事ですよね、なんで結婚しなかったんですか」

「関係ねえだろ、俺達契約なんだから、お互いの過去は知らなくてもいいだろ」

「私は知りたいです、最上さんが何を考えて、何を望んでいるのか、過去に何があったのか知りたいです」

「何?まさか俺に惚れたのか」

私は黙っていた。

「いつもみたいに違いますって反論しろ」

「反論しません」

「お前、自分で何を言ってるのか分かってるのか」

「分かってますよ」

「俺に惚れたのなら、抱かれてもいいって事だと判断するぞ」

私は固まって何も言えなかった。

最上さんの事は好き、何を考えて、過去の彼女とどうして婚姻届を書くまでの関係になったのに、何があったのか知りたい。




一緒の時間を過ごすことが楽しい、ずっとこのまま一緒にいたい。

でも、すぐに抱かれていいかって、それとこれとは話が違う。

最上さんは私に近づき腕を引き寄せた抱きしめた。

「俺にはじめてを捧げる覚悟は出来たか」

最上さんは私の顎をくいっと上げて数センチと唇が迫ってきた。

私は咄嗟に目を閉じて身体を強張らせた。

最上さんは私を抱き上げて寝室へ運んだ。

ベッドに身体が沈んで首筋にキスを一つ落とした。

「あっ、ん」

最上さんは上着のボタンを外し始めた。

胸の膨らみが露わになり、そこにも唇を押し当てた。
最上さんの手がスカートの中に入り太腿に触れた。

最上さんはバスタオルを外し、鍛えられた大胸筋がシャワーの水を弾いてきらきら光っていた。

「覚悟はいいか、お前を抱く」

心臓の鼓動がドクンドクンと打って身体が小刻みに震えた。

最上さんを好きだけどこれからどうなっちゃうのか、怖くて涙が溢れて来た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件

ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。 スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。 しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。 一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。 「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。 これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

氷の公爵は、捨てられた私を離さない

空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。 すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。 彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。 アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。 「君の力が、私には必要だ」 冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。 彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。 レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。 一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。 「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。 これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました

ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!  フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!  ※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』  ……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。  彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。  しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!? ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています

番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。 そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。 お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。 愛の花シリーズ第3弾です。

処理中です...