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第一章 俺様御曹司
②
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「俺は親父の会社は継がないと言っただろう」
親父は大きなため息をついた。
「お前は命の恩人にお礼もしないつもりか」
「退院したら、会って礼はする」
「ばかもん、バイトの身で親の脛かじって、遊び呆けて、バイクを乗り回して、事故起こしたなんてみっともなくて、彼女の前に今のままの状態で、姿を現すんじゃない」
俺は握り拳に力を入れて悔しさが強くなった。
「親父、自力で親父の会社に受かって見せる」
親父は俺を見て微笑んだ。
「そうか、やれるものならやってみろ」
この時、親父は俺に期待していたとは気づかなかった。
「おい、蓮、そんな大口叩いて大丈夫なのか」
「大丈夫だろ」
「お前の会社、難しいらしいぞ、命の恩人の女性、大卒でお前の会社合格して経理部で勤務だろ、親父さんも優秀な社員だって言ってたじゃないか、しかも大卒で十三年勤務って、三十五だぞ、独身なら絶対に嫌なタイプだな」
「そうかな」
俺はこの時藤城美希に会いたくなった。
事故現場で身も知らずの俺に付き添い、輸血を申し出てくれた優しい心の持ち主なんじゃないかとすごく興味が湧いた。
程なくして俺は退院し、猛勉強を始めた。
でもその前にどうしても藤城美希の顔を見たかった。
親父の会社の受付で藤城美希を呼び出した。
「経理部の藤城美希さんとお会いしたいんですが……」
「失礼ですが、お名前をお願いします」
「望月楓です」
この時本名名乗る訳に行かず、望月の名前を拝借した。
「少々お待ち下さい」
「受付ですが、経理の藤城美希さんにお客様です、望月楓様とおっしゃる男性の方ですが」
「ただいま降りて参りますので」
俺は顔を見せるわけに行かず、ビルの外で隠れていた。
受付で何やら話をして、ビルの自動ドアが開き一人の女性が現れた。
俺は思っていた印象とは真逆の彼女の姿に呆然と立ち尽くした。
優秀な社員、大卒のエリート、三十五の独身。
全然違う、望月は三十五まで独身なら、嫌なタイプだと言っていたが、とんでもない。
優しい表情、三十五とは思えない可愛らしさ、控えめな雰囲気。
俺は一目で心惹かれた。
絶対に話してみたいと、強い欲求が俺を本気にさせた。
俺は望月の名を借り、思い切って彼女の前に姿を現した。
「失礼ですが、藤城美希さんですよね」
彼女は振り向くと俺の顔を見て、軽く会釈をした。
「あのう、大変失礼ですが、どちらの望月さんでしょうか」
「あ、すみません、人違いでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
俺はじっと彼女を見つめた。
彼女は恥ずかしそうに俯いた。
「あのう、この会社に藤城美希は私一人ですが、似た名前の方ならいますので、お呼びしましょうか」
そう言ってビルへ俺を誘導しようとした。
俺は慌てて「大丈夫です、俺の勘違いでした、失礼します」と言ってその場を後にした。
彼女はいつまでも俺の後ろ姿を見送ってくれていた。
その彼女の姿がずっと脳裏から離れなかった。
俺は望月を呼び出した。
「彼女に会った」
「えっ、親父さんの言いつけ破ったのか」
「いや、お前の名前を借りた」
親父は大きなため息をついた。
「お前は命の恩人にお礼もしないつもりか」
「退院したら、会って礼はする」
「ばかもん、バイトの身で親の脛かじって、遊び呆けて、バイクを乗り回して、事故起こしたなんてみっともなくて、彼女の前に今のままの状態で、姿を現すんじゃない」
俺は握り拳に力を入れて悔しさが強くなった。
「親父、自力で親父の会社に受かって見せる」
親父は俺を見て微笑んだ。
「そうか、やれるものならやってみろ」
この時、親父は俺に期待していたとは気づかなかった。
「おい、蓮、そんな大口叩いて大丈夫なのか」
「大丈夫だろ」
「お前の会社、難しいらしいぞ、命の恩人の女性、大卒でお前の会社合格して経理部で勤務だろ、親父さんも優秀な社員だって言ってたじゃないか、しかも大卒で十三年勤務って、三十五だぞ、独身なら絶対に嫌なタイプだな」
「そうかな」
俺はこの時藤城美希に会いたくなった。
事故現場で身も知らずの俺に付き添い、輸血を申し出てくれた優しい心の持ち主なんじゃないかとすごく興味が湧いた。
程なくして俺は退院し、猛勉強を始めた。
でもその前にどうしても藤城美希の顔を見たかった。
親父の会社の受付で藤城美希を呼び出した。
「経理部の藤城美希さんとお会いしたいんですが……」
「失礼ですが、お名前をお願いします」
「望月楓です」
この時本名名乗る訳に行かず、望月の名前を拝借した。
「少々お待ち下さい」
「受付ですが、経理の藤城美希さんにお客様です、望月楓様とおっしゃる男性の方ですが」
「ただいま降りて参りますので」
俺は顔を見せるわけに行かず、ビルの外で隠れていた。
受付で何やら話をして、ビルの自動ドアが開き一人の女性が現れた。
俺は思っていた印象とは真逆の彼女の姿に呆然と立ち尽くした。
優秀な社員、大卒のエリート、三十五の独身。
全然違う、望月は三十五まで独身なら、嫌なタイプだと言っていたが、とんでもない。
優しい表情、三十五とは思えない可愛らしさ、控えめな雰囲気。
俺は一目で心惹かれた。
絶対に話してみたいと、強い欲求が俺を本気にさせた。
俺は望月の名を借り、思い切って彼女の前に姿を現した。
「失礼ですが、藤城美希さんですよね」
彼女は振り向くと俺の顔を見て、軽く会釈をした。
「あのう、大変失礼ですが、どちらの望月さんでしょうか」
「あ、すみません、人違いでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
俺はじっと彼女を見つめた。
彼女は恥ずかしそうに俯いた。
「あのう、この会社に藤城美希は私一人ですが、似た名前の方ならいますので、お呼びしましょうか」
そう言ってビルへ俺を誘導しようとした。
俺は慌てて「大丈夫です、俺の勘違いでした、失礼します」と言ってその場を後にした。
彼女はいつまでも俺の後ろ姿を見送ってくれていた。
その彼女の姿がずっと脳裏から離れなかった。
俺は望月を呼び出した。
「彼女に会った」
「えっ、親父さんの言いつけ破ったのか」
「いや、お前の名前を借りた」
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