14 / 28
14
しおりを挟む「お母さまっ!もうこれ以上エレノアお姉さまを追い詰めないでくださいませっ!」
食事の席にお母様がいらっしゃったのを見て、オフィーリアが声を上げた。
お母様は私にチラッと視線を向けて苦々しい表情をする。
「オフィーリアあなたはとても優しい子に育ったわね。私の自慢の娘よ。でもね、エレノアはまだまだ足りないの。皇太子妃になろうというのに、エレノアにはその自覚がないみたいなのよ。もっとエレノアには頑張ってもらわなければならないわ。」
「そうだ。母さんを責めるのは間違っているよ、オフィーリア。優しいオフィーリアはエレノアのことが心配なのかもしれないが、これはエレノアにとって必要なことなんだ。心配いらないんだよ、オフィーリア。」
お母様とお父様からの過剰なまでの期待が私に重くのしかかる。どうして、私ばかりという気持ちが膨らんでいく。
オフィーリアはお父様とお母様からの深い愛情をもらって自由に過ごしているのに。
どうして、私のことはお父様もお母様も心配してくださらないんだろう。
どうして、私は自由に生きることができないのだろう。
「どうして!どうしてエレノアお姉さまが皇太子妃にならなければならないのですかっ!エレノアお姉さまの顔を見てくださいませっ!頬は痩せこけ、目の下にはクマが出来ております。目に生気だってありませんっ!このままでは、エレノアお姉さまは……エレノアお姉さまはっ!!」
オフィーリアは淑女にあるまじく声を荒げてお父様とお母様に感情をぶつけています。
それは、私には許されていないこと。
私が声を荒げて抗議したところで、教育がなっていないとお叱りを受けて罰を受けるだけ。
けれど、オフィーリアが声を荒げて感情を全面に出しても、お父様とお母様は困ったように微笑むだけ。
どうして、オフィーリアと私はこんなにも違うのだろうか。
同じお父様とお母様から産まれた子だというのに。
「エレノアは大丈夫だと私たちは信じている。オフィーリアが言うようなことにはならないから安心しなさい。エレノアはオフィーリアが思うより強い。」
お父様はオフィーリアを優しく宥める。
「どうして、大丈夫だと言えるのっ!?ちゃんとにお父さまとお母さまはエレノアお姉さまのことを見ているの?エレノアお姉さまはお父さまとお母さまの人形じゃないのよっ!!」
「オフィーリア、聞き分けのないことを言うのはやめてちょうだい。お母さまとても困ってしまうわ。」
お母様は困ったようにオフィーリアのことを見つめている。
この人たちに何を言っても、皇太子妃になるエレノアと、可愛い可愛い娘のオフィーリアでしかないのかもしれない。お父様もお母さまもオフィーリアと私のことを見ていないのかもしれない。
そう気づかされた。
もしかしたら、お父様とお母様はオフィーリアのことを可愛がって表面上愛しているように見えるが、実際は娘を可愛がっている親を演じているのではないかと勘ぐってしまう。
「お父さまもお母さまも、ちゃんとにエレノアお姉さまを見てちょうだいっ!」
「エレノアのことは、ちゃんとに見ている。エレノアは皇太子妃として問題ない。ジュドー殿下もエレノアの仕上がりにきっと満足なされるであろう。」
「私もエレノアのことは見ているわ。エレノアだったら皇太子妃として教育を受けれていれば問題ないわ。」
「エレノアお姉さまは今にも倒れそうだわっ!ほんとに見ているというのっ!!ちゃんとにエレノアお姉さまのことを見ていらしたら、これ以上エレノアお姉さまに勉強しろだなんて言えないはずだわっ!」
「……オフィーリア。ありがとう。大丈夫よ、私が頑張ってお父様とお母様の期待に応えれば良いだけだから。」
オフィーリアが私のことでお父様とお母様にくってかかってくれているのはとても嬉しい。
お父様もお母様も私のことを表面上しか見てくれていなかったけど、オフィーリアだけが私のことをちゃんと見ていてくれたような気がしたから。
でも、これ以上オフィーリアがお父様とお母様に反論をしても無駄だと感じた。
お父様とお母様は可愛くて天真爛漫なオフィーリアの偶像を愛でているだけのようだから。
きっと、オフィーリアがお父様とお母様の意にそわないことを何度訴えても、二人は困ったように笑うだけで取り合ってはくれないだろう。それは、きっと私も同じ。
お父様とお母様は理想の家族を演じているだけなのかもしれない。
「でもっ!エレノアお姉さまっ!!」
「オフィーリア、まずは食事にしましょう。それからゆっくりあなたと話したいわ。」
大きな目に薄っすらと涙を浮かべながらオフィーリア淑女らしくなく訴える。けれど、そんなオフィーリアの姿が私にはとても魅力的に見えた。
お父様とお母様に聞かれたらきっとオフィーリアと話している時間があるなら勉強しなさいと言われることだろう。だから、オフィーリアにだけ聞こえるようにオフィーリアの耳元で囁いた。
オフィーリアはこくりと小さく頷いて答えた。
1,210
あなたにおすすめの小説
妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。
雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」
妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。
今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。
私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった
神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。
全3話完結
余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。
特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。
ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。
毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。
診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。
もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。
一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは…
※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いいたします。
他サイトでも同時投稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる