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本編
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しおりを挟む「まあ!まあ!怖いわ!皆様!見てくださいな。これが彼女の本性ですわよ。真っ黒な邪竜の卵を持つに相応しい令嬢ですわよ。心まできっと真っ黒なのでしょう。だから邪竜もあなたを選んだのでしょうね。類は友を呼ぶんですわ。この分ですと、エメロードさんと仲良くしているアクアさんの卵も聖竜なのではなくて邪竜の一種ではないかしら。私はそう思うのです。だって、聖竜と邪竜が一緒にいるだなんてそんなおかしなことあり得ませんでしょう。ねえ、皆様。ほんとう、野蛮な方が同じクラスにいると空気が悪くなりますわよねぇ。ですが、安心してくださいな。私はそんな空気を一掃してみせますわ。」
周りの聴衆を味方につけたシルヴィアさんはそう高らかに宣言した。
「そんなことより、アクアさんはどこなのっ!!?」
でも、そんなシルヴィアさんの言い分なんて今はどうでもいい。
今はアクアさんの安否だけが心配なのだ。
「ふんっ。さあね、どこかしらね。アクアさんに相応しい場所にいるのではなくって?」
シルヴィアさんは私にアクアさんの居場所を教えるつもりはないらしい。
ツンッとそっぽを向いてしまった。
私ではどこにアクアさんがいるのかわからない。
でも、これ以上シルヴィアさんに聞いても教えてくれそうにない。
どうしよう。
私が魔術を使うことができれば、アクアさんを探すことができるのに・・・。
あっ!そうだわ!
トリードット先生に相談してみよう。
トリードット先生ならば、私たちのことにも詳しいし、私の持っている真っ黒な精霊の卵に忌避を感じていないように見受けられる。
それならば、きっとトリードット先生を頼れば魔術でアクアさんの居場所を探してくれるかもしれない。
そう思って、トリードット先生がいつもいる魔術棟の実験室に急いで向かう。
「ぜぇ・・・はぁ・・・。先生っ!トリードット先生っ!!」
ガラッと実験室のドアを開ければ、目の前には白髪頭のトリードット先生がいた。
トリードット先生は息を切らせて飛び込んできた私に驚いているように見えた。
「どうしたのじゃ。そんなに慌てて。卵になにかあったのかな?」
トリードット先生は卵にしか興味がないようである。開口一番に卵のことを確認してきた。
「違うんですっ!アクアさんが・・・アクアさんがシルヴィアさんにぃ・・・。」
慌ててしまって要領よく話すことができない。
気ばかりが焦ってしまう。
「アクア嬢がどうしたんだい。落ち着いてゆっくり話してみなさい。」
トリードット先生のごつごつとした手が私を落ち着かせようと私の背中を優しくなでる。
その体温がとても暖かくて涙が出そうになった。
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