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本編
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しおりを挟む高等魔術学院の日々は何事もなく過ぎていった。
まあ、黒い卵が縁起が悪いということで、友達もアクアさん以外できなかったんだけどね。
シルヴィアさんとは通常通りである。
塩辛いシルヴィアさんの嫌味を聞かないふりをしてやり過ごしている。
でも、だんだんと腹に据えかねてきてはいるけれども。
でも、私にはアクアさんがいるから大丈夫。
うん。大丈夫。
トリードット先生曰く、卵は無事に育っているとのこと。
まあ、トリードット先生は卵を見ているだけではどんな精霊が孵るのかわからないから今のところはいつも通り心穏やかに過ごしなさいと言われている。
心の安定が卵の安定にも繋がるとか。
卵はだいたい2~3ヶ月で孵ると言われている。
それまでの間に学院性たちは、心の安定を守るために道徳の授業と基礎的な魔術の心得を学ぶ。
魔術を本格的に学ぶのはパートナーとなる精霊が卵から孵ってからになるのだ。
「あら、黒い卵をお持ちの方はまだ頑張っているんですのね。そろそろ卵を放り出してご実家に帰った方がいいのではなくて?その黒い卵があるから、このクラスのみんなの顔色が悪いのだとわかっているのかしら?」
シルヴィアさんの嫌味もいつものことだ。
アクアさんが私の側にいない時を見計らって嫌がらせという名の忠告にやってくる。
実力行使に出ないからまだいいけれども、これが物理的に嫌がらせを受けたりするとお父様とお母様のところにも通達が行ってしまう。お父様とお母様には私は魔術学院で毎日楽しく頑張っていると伝えているのに。
いつものことと、シルヴィアさんの言葉を聞かなかったふりをしてやり過ごす。
でも、今日はいつもと違った。
「ふんっ。いつもすました顔でつまらないわ。あのアクアって子も何をしても澄ましているんだもの。つまらないったらないわ。」
「!?アクアさんに何をしたのですかっ!!?」
いつもはアクアさんについて何も言わないシルヴィアさんがアクアさんについて語ったのだ。
それも、シルヴィアさんがアクアさんに何かをしているような言い方だ。
嫌な予感がする。
アクアさんに何が起こっているのだろうか。
私、ずっと知らなかった。
アクアさんがシルヴィアさんになにかをされているだなんて。
気づかなかった。
「あら。いつも一緒にいるのに気づいてなかったの。鈍感なのね。真っ黒な卵を持っているあなたと仲がいいのがいけないのよ。それに、ランティス様のお心も独り占めしているようだし。見の程知らずなのよ。」
「アクアさんに何をしたのですかっ!?」
もったいぶった言い方のシルヴィアさんに思わず平常心を忘れて声を荒げてしまう。
「ふふっ。やっと本性を出したわね。とっても怖いお顔ですこと。とても貴族の令嬢とは思えない歪んだお顔ですわね。貴族の令嬢たるもの、常に優雅に美しくを心掛けるものでしてよ。そんなこともできない貴女はランティス様に相応しくはありませんわ。」
「そんなこと関係ないわ!早くアクアさんのことを教えてっ!!」
シルヴィアさんの言葉に平常心を失った私は、淑女らしからぬ大声で叫んでいた。
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