悪役令嬢は始祖竜の母となる

葉柚

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本編

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「あーあ。もう、泣いちゃだめだよ。エメロードちゃん。君はとっても可愛いんだから、泣いているより笑っている時の方が僕は好きだな。ほら、笑って笑って。」

「へ?」

アクアさんらしからぬ発言に思わず間の抜けた声がでてしまう。

そうして、思わず出かかっていた涙が驚きで引っ込んでしまった。

「ぷっ。かわいいね。エメロードちゃん。」

クスクスと可憐にアクアちゃんが笑うものだから、思わず私もつられて笑ってしまった。

「えへ。えへへへへ。」

「ふふふふふ。」

「はあ・・・っ。」

アクアさんと二人してニヘラニヘラ笑っていると、ジュリードット先生の盛大なため息が聞こえてきた。

「あんたたちね。イチャイチャするのはよそでやりなさい。目の毒だわ。」

「ほっほっほっ。美少女二人が楽しそうに戯れているのは目の保養だと思うがな。」

「いっ!!イチャイチャしてた覚えはありませんっ!!」

「ふふふっ。ほんとうにエメロードちゃんは可愛いわねぇ。」

からかってくるジェリードット先生とトリードット先生に思わず声を荒げてしまう。

イチャイチャだなんてそんな、そんなはしたないこと・・・。

っていうかアクアさん女性だし!

って!!アクアさん抱きしめないで!!

ジェリードット先生とトリードット先生の生暖かい視線がいたたまれないから。

慌てている私をからかうように、アクアさんは私を正面からぎゅーっと抱きしめて頬ずりしてくる。

ふぁっ。アクアさんから漂ってくる匂いがとってもいい匂い。

少し甘いけれども爽やかな香りは私の好むものだった。

「はいはい。アクアさん、エメロードさんを放してあげて頂戴。彼女、混乱して今にも倒れてしまいそうよ。」

「しょうがないですねぇ。」

ジェリードット先生の助け舟により、やっとアクアさんが私から離れてくれた。

「うぅ・・・。」

「エメロードさんも落ち着いてちょうだいな。」

ポンポンっとジェリードット先生の手が私の頭を軽く叩く。

「そうじゃな。遊んでいる場合ではないな。ハッキリとさせたいことがあるしの。」

さっきまでほのぼのと私たちのやり取りを見守っていたトリードット先生が急にまじめな顔つきになった。

そうだよね。

アクアさんが目覚めたんだもの。

邪竜のことを一刻も早く聞かなければならないよね。

「目が覚めたところさっそくで悪いがの、アクア嬢の精霊の卵にヒビがはいっておった。心当たりはあるかの?」

トリードット先生が至極真面目にアクアさんに問いかける。

アクアさんはその綺麗な顔を歪めながら答えた。

 

 

 

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