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本編
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しおりを挟む真っ黒な卵を聖なるピックでつっつくと、パァンッと勢いよく卵がはじけ飛んだ。
「きゃっ・・・。」
卵の殻が目に入りそうになって思わず目を手でガードする。
「ほぅ。久しぶりじゃのぉ。」
「へ?蛇っ!?」
精霊王ののほほんとした声とアクアさんの驚いた声が重なった。
メリードット先生は声を失っているようである。パカッと口を大きくあけていた。
精霊王とアクアさんの視線の先には手のひらサイズの小さい蛇がとぐろを巻いていた。
まさか、精霊の卵から蛇が出てくるとは思わなかった。
蛇が出てきてどうするというのだろうか。
唯一の希望だったのに。
「お前が我の母親か?さあ、我に名前をつけるのだ。」
そして、その蛇は私を見るなり開口一番にそう告げるのだった。
っていうかどうして私がこの蛇の母親なのっ!?
もっと、もっとこうふわっふわで可愛い毛並みの子が子供ならいいのに。
どうして爬虫類!?しかも、私、蛇って苦手なんだけどなぁ。
「ど、どうして、私が母親なのかな?」
「どうして?そう教わったのだ。卵から孵って初めてみた相手が母親だとな。」
蛇はそう言って顔を持ち上げた。
ぎょろりとした目が私を捉える。
うぅ。あんまり可愛くないよぉ。
「だ、誰に教わったのかな?」
「以前、供に過ごしていた人間に教わったのだ。」
「そ、そうなんだ。」
以前一緒に過ごしていたってことは、その人死んじゃったのかな?
そう思うと少しだけ目の前にいる蛇が可哀相になってくる。
「さあ、早く我に名前をつけるのだ。」
そう言って目の前の蛇はキラッキラとした目を向けてくる。
どうやら名前をつけてもらうのが待ち遠しいらしい。
「なんで名前・・・?」
「というか、なぜこの蛇はこの状況で落ち着いてられるのか・・・。」
アクアさんとメリードット先生が同時に突っ込む。
確かに、邪竜のことなど全く無視をしているこの蛇。なんで平気なんだろうか。
精霊王だって邪竜にはビビッていたのに。
「ぷぷっ。名前とはのぉ。どんな名前なのか楽しみじゃ。」
あ、あれ?
そう言えばさっきまで邪竜に怯えていた精霊王が笑っている。
なぜだろう。
状況は好転していないはずなのに。
「さあ!早く!早く我に名前を付けるのだっ!名づけるのは母親の役目であろう?」
目の前の蛇が飛び掛かってくるのではないかと思うほど、こちらを睨みつけてくる。
い、いきなり名前って言われても・・・。
でも、この調子じゃあ名前をつけないと名前をつけるまで迫ってきそうだし・・・。
名前・・・名前・・・。
卵から孵った精霊の名前・・・。
あっ!
「プーちゃん!!」
唐突に思い出したのは某アニメのマスコットキャラクターの名前だった。
見た目は全く一致しないが、卵から孵ったというのは同じだろう。
うん。プーちゃんだ。プーちゃん。
良い名前だろう。
と、思ってプーちゃんを見ると驚愕に目を見開いていた。
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