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本編
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しおりを挟むまたまたアクアさんってば冗談がキツイんだから。
私の精霊の卵から孵ったのが始祖竜だなんて、そんな子供でも分かる嘘をつかなくてもいいのに。
「・・・信じてないわね。」
アクアさんが大きくため息をついた。
「ちょっとこっちに来て・・・。」
「えっ?わっ・・・。」
それから私の腕を取ると、さっさと歩きだす。
私はアクアさんに引きずられるような形でアクアさんの後ろについて行くしかなかった。
ずるずるとアクアさんに引きずられていった先は職員棟でした。
ここに一体なにがあるというのだろうか。
「あの・・・一体?」
「ちゃんとしっかりと現実を受け止めなさい。」
そう言ってアクアさんはズンズンと職員棟の中を進んでいく。
そうして、たどり着いたのは邪竜と相対した場所だった。
そこには、小さな白い蛇がとぐろを巻いて眠っていた。
その目にはうっすらと涙が見える。
泣いていたのだろうか。
いいや、蛇が泣くなんて聞いたことがない。
「この白い蛇がどうかしたの・・・?」
アクアさんが連れてきてくれた場所には蛇が一匹いるだけだ。
それ以外は誰もいない。
「この白い蛇・・・もとい始祖竜はエメロードちゃんの精霊の卵から孵ったんだからね。可哀相だから覚えておいてあげて。始祖竜・・・プーちゃんはエメロードちゃんのことを母親だと思っているんだからね。」
「えっ・・・。始祖竜・・・。」
アクアさんが説明してくれるが、いまいち頭に入ってこない。
いや、だって始祖竜だよ。始祖竜。
おかしいでしょ。始祖竜が卵から孵るだなんて・・・。
「・・・エメロードちゃん。それ一回やってるから。とにかく現実を受け止めなさい。」
アクアさんがそう言った瞬間、私の頭の中に卵から孵るプーちゃんの姿と邪竜に向かっていく雄姿が浮かび上がってきた。
ああ。
そっか。
夢じゃなかったんだ。
本当に私、始祖竜の母親になってしまったんだね。
と、実感ができた。
実感は出来たけど、納得はできないけれど。
「プーちゃん。ごめんね。泣かないで。こっちにおいで。」
私はしゃがみ込んでプーちゃんに手を差し出した。
すると、とぐろを巻いていたプーちゃんの顔がむくりと起き上がり、私を視界に入れる。
その瞬間、シュルシュルという音を立てて、プーちゃんが私の手のひらに乗ってきた。
ほんのりと冷たく滑らかな感触が手のひらに伝わってくるが、不思議と気持ち悪いとは思わなかった。
「そなたは我の母なのだ・・・。我の存在をなかったことにしないでほしいのだ。」
プーちゃんは泣きはらした目でそう告げた。
なに、これ。
こんなに可愛い存在が、始祖竜なの?
嘘でしょ。
これじゃあ可愛いペットなんだけど。
「ふぅ。仲直りできたようね。ちょっとうざかったのよね、プーちゃん。ずっと泣いてて。もう、傍から離しちゃだめよ。エメロードちゃん。」
「え・・・。あ、うん。」
始祖竜に向かってうざいと言うなんてアクアちゃん、すごすぎ。
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