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本編
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しおりを挟むしかしながら自らの身体が不老不死になってしまったというのに、トリードット先生もジェリードット先生も大して悲観した様子はなかった。
まあ、若干驚いてはいたけれども。
でもさ、悲観したくなるよね、不老不死って。
だった自分の親や兄弟、親しい友人などが皆年を取っていく中で自分だけ年を取らないし死なない。
つまりいつだって相手を見送る側で置いて行かれるのだ。
永遠ともしれない人生をずっと送ることになる。
もしかすると人とは違うということで差別をされるかもしれない。
そう思うと私としては不老不死は到底喜べるものではない。
しかし、先生方は落ち着いている。
どうしてなんだろうか。
「トリードット先生、ジェリードット先生。不老不死になってしまったのに、どうしてそんなに落ち着いていられるんですか?」
そう尋ねるとトリードット先生とジェリードット先生はニヤリと笑った。
「これで精霊の研究に没頭できるというものじゃ。年々感じる老いのせいで研究する体力も奪われておったがそれがなくなる。なんと素晴らしいことだろうか。それに、死というタイムリミットがないのじゃ。これで一気に精霊に対する研究が進むという訳じゃ。」
「うふふ。この私の美貌を永遠に維持できるだなんて素晴らしいじゃないの。もっと私の魅力を世界各地に広めるのよ。」
どうやら二人とも不老不死になったことに悲嘆はしておらず、逆に希望を持っているようだ。
まあ、二人がいいのなら別にいいかもしれないが・・・。
・・・いいのか?ほんとうに・・・。
「・・・ま、まあ本人が納得しているのなら。良かったのかしら・・・。」
「人ではなくなってしまったけれどね。」
アクアさんと私は顔を見合わせてため息をついた。
もっと精霊王の話をちゃんとに聞いておけばよかったと後悔したのだった。
「それにしても、邪竜が孵化したというのに一人の犠牲者もでなくてよかったよ。」
どこからともなくやってきたメリードット先生が私たちに向けてホッと胸を撫で下ろしながら告げた。
「そうですね。邪竜が孵化してしまったら人口が今の1/3になってしまうかと思いました。」
「そうね。プーちゃんがいたから犠牲者が0人でおさまったのね。プーちゃんを孵化させたエメロードちゃんのお手柄ね。」
「えへへ。プーちゃんのおかげです。」
今回、邪竜による犠牲者は一人もでていなかったようだ。
本当によかった。
乙女ゲームのように人口が激減しなくて本当によかった。
・・・と、そこでふと我に返る。
あれ・・・?
犠牲者が一人もでなかった・・・?
邪竜に喰われたと思ったシルヴィアさんはどうしたのだろうか。
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