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本編
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しおりを挟む「そこまでじゃ!!」
ランティス様がゆっくりとメリードット先生に近づく。
そうして、メリードット先生に向かって手をかざした瞬間に、トリードット先生の声があたりに響いた。
「トリードット先生っ!!」
よかった。
トリードット先生が間に合った。
トリードット先生の後ろにはジェリードット先生とアクアさんの姿も見える。
「ああ。トリードット先生でしたか。そんなに急いでどうしたんですか?」
ランティス様は慌てるわけでもなくにっこり笑ってトリードット先生を迎えた。
ゾクッと背筋に鳥肌がたつ。
今、ランティス様はシルヴィアさんを殺したばっかりだ。そして、今にもメリードット先生を手にかけようとしていた。
それなのにも関わらず、笑っていられるなんてどういうことなのだろうか。
「ランティスよ。どうしてこのようなことを・・・。」
トリードット先生は嘆かわしいとばかりにランティス様に訪ねる。
しかし、ランティス様は動じる様子もなくただ微笑んでいる。
その微笑みが異常すぎてとても怖いと感じる。
「ふふふっ。私は世界で特別な人間なのです。選ばれた人間なのです。その私に逆らう者などいらないのですよ。」
ランティス様はなにを言っているのだろうか。
ランティス様が選ばれた人間というのはどういうことだろうか。
確かにランティス様は家柄もよく、人からの評判もいい。
それが選ばれた人間ということなのだろうか。
「不要な人なんていないと思います。ランティス様が選ばれた人間というのはどういうことでしょうか?」
思わず恐怖も忘れてランティス様に問いかけていた。
ランティス様の視線が私に向けられる。
その視線はとても冷たく熱を全く持っていなかった。
「君は私の婚約者として素晴らしいっ人材だったのだよ。なによりも誰よりも多いその魔力。それが私のほしかったものだ。」
ランティス様は私の問いかけには答えてくれなかった。
ただ、私がほしいとだけ言ってきた。それも過去形で。
きっと、今のランティス様にはいろいろと知ってしまった私は不要になったのだろう。
「勘がいいねぇ。エメロード嬢は。そういうところも気に入っていたんだがね。残念だよ。私の邪魔をするのであればいかしてはいけないんだよ。」
「・・・ランティス様。どうして。」
冷たく笑うランティス様を止められる人は誰もいないのだろうか。
それに、シルヴィアさんを瞬殺したあの能力はいったいなんだったのだろうか。
・・・精霊、なのだろうか。
「私は選ばれたのだ。精霊の王たる存在に。ゆえに私はすべてを手にいれるのだ。」
ランティス様はそう言って不敵に笑った。その視線はすでにこちらを見ておらず、はるか遠くを見ているように思えた。
でも、精霊の王って・・・アクアさんの卵から産まれてきた精霊王のこと?それとも、精霊王は二人いるのだろうか。
私は視線をアクアさんに移した。
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