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しおりを挟む「アマリア様っ。酷いわっ。私が皆から無視されるような呪いをかけるだなんてっ。」
アンナライラ様はそう言って涙をいっぱい溜めた目で私を睨んできた。
もちろんアンナライラ様の隣には私の婚約者であるはずのユースフェリア王子が寄り添って立っている。
ユースフェリア王子はアンナライラ様にお熱なのだ。ユースフェリア王子はアンナライラ様の言うことだったらなんでも信じてしまうほどに。
「私はそのような呪いなどアンナライラ様にかけておりません。そもそも私は呪いなどかけることができませんわ。」
ユースフェリア王子がいなければアンナライラ様の発言なんて無視して過ぎ去るのだけれども、隣にユースフェリア王子がいるので無視することができない。
無視すれば、ユースフェリア王子が騒ぎだすのだ。「アンナライラ様のことを無視した。」だの、「本当に呪いをかけたから言い逃れをせずに黙っているのだ。」など。
まあ、言い返せば言い返したでまたうるさいのだが。
酷い言いがかりである。
「やっていないという証拠はあるのか。」
「逆に私がアンナライラ様を呪ったという証拠はあるのですか?」
ユースフェリア王子が私を睨みつけてくるので、私はつとめて冷静に返す。
「アンナライラが嘘などつくはずがないだろう。」
「証拠はないのですね。」
「おまえは、アンナライラが嘘を言っているというのか?」
「私はアンナライラ様を呪ってなどおりません。」
「ひどいわっ!私はたしかにアマリア様から呪いをかけられたのに……。しらばっくれるだなんて卑怯ですっ!」
「そうだ!」
「……やっていないものはやっておりません。」
話は平行線だ。
私たちが言い争っていると騒ぎを聞きつけた学園の生徒たちがわらわらと集まってくる。
「またか……。」
「アマリア様も気の毒だな……。」
「呪いなんてありえないだろ……。」
周囲の反応は概ね私に対して好意的に見えた。
そう。アンナライラ様が学園の生徒たちから無視されているのは、私がアンナライラ様を呪ったわけでもなく、アンナライラ様の普段の言動の所為なのだ。
アンナライラ様に近づくとあることないこと言われるので、皆がアンナライラ様に近づかないようになった結果にすぎない。
呪いでは決してない。
「まったく父上も女を見る目がない。こんな女が私の婚約者だなんて。アンナライラの方が100倍も1000倍も私の婚約者に相応しいのに。父上に抗議して、おまえを私の婚約者から外してもらうからなっ!」
「ええ。どうぞ望むところですわ。」
私がユースフェリア王子の婚約者でなくなれば、アンナライラ様の執拗なまでの私への嫌がらせのような言いがかりはなくなるのかしら。
「言ったな!今から私は父上におまえとの婚約破棄を申し出るからな!覚悟しておけ!」
「はい。楽しみに待っておりますわ。」
私は大声で叫びながら王宮に向かって去っていくユースフェリア王子を笑みを浮かべて見送った。
ああ、あんなばか王子の婚約者なんてまっぴらなのです。
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