断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚

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「はふぅ~。今日は昨日と違って幸せな一日だったわぁ~。」

 昨日と違って今日はアンナライラ様が来なかったので幸せな一日を過ごすことができた。やはり、国王陛下も王妃様もアンナライラ様にシルキー様を譲渡することには許可を出さなかったのだろう。

 王妃様が管轄している保護猫施設だもの。

 ちゃんとシルキー様のことを考えて、シルキー様を大事にしてくれる方にしかお渡ししないはずと思っていたがそれが正解だったようだ。

 保護猫を迎え入れてくれるのは誰でもいいわけではない。

 ちゃんとに幸せにしてくれる人じゃないとダメなのだ。

「うふふ。シルキー様にも、シルキー様のことを家族の一員として大切にお迎えしてくださる人がきっと現れますからね。」

「にゃあう?」

 できれば私がお迎えしたいけど。

 というか、ここの保護猫施設にいる猫様たち全員を私がお迎えすることができたらいいのに。どの子にも愛着があるのだ。

 どの子も可愛くてそれぞれに異なった魅力がある。

「にゃ。」

「にゃ~ん。」

「にゃあお。」

「あおーんっ。」

 鳴き声もみんなちょっとずつ違う。でも、それが愛おしい。

 私は近くにくる猫様たちを親しみを込めて撫でる。なで回す。これでもかというほどに。

 どの子も喉をゴロゴロ鳴らして答えてくれるから可愛い。愛しい。大好き。

「みんな大好きよっ!」

 思わず皆を抱きしめたくなってしまう。

「今日は、ここに泊まっちゃおうかなぁ。うふふ。」

 この保護猫施設には仮眠室が用意されている。主な用途としては具合の悪い猫様がいたり、産まれたばかりの子猫がいたりするときに使用するものだ。

 ただ、普通の時に使っても誰も文句は言わない。とくにユリアさんはほぼ毎日と言って良いほど、ここの仮眠室で寝ていることを知っている。

 ユリアさんも私に負けず劣らず猫様たちのことを愛しているのだ。

「ユリアさん。今日も泊まるんですか?」

「ええ。そうしようと思っているわ。」

「私も、泊まってもいいですか?」

「……私は構わないけど、お家の方の許可はとったのかしら?」

 ユリアさんはやっぱり今日も泊まるらしい。

 というか、ユリアさんの家なんじゃないかって思うほどユリアさんは毎日泊まっている。

「あー。はい。えっと、ちょっと勘当されたというか……そんなに猫が好きなら好きにするといい。って言われてしまいまして……。」

「……帰りづらいってことかしら?」

 今朝、お父様と喧嘩したのだ。

 保護猫施設に毎日のように朝から晩まで入り浸っているから、それがお父様は気に入らなかったらしい。それに、泊まるって言っちゃったから。

 だって、心配だったんだもの。

 アンナライラ様がなんかしてくるんじゃないかって。

「……それもありますが、アンナライラ様のことがちょっと気になって。いくら王妃様が許可を出すはずはないと思ってたんですけど、なんとなく。」

「そうねぇ。あの子ちょっとばっかり思い込みが激しそうだしねぇ。心配になるわよねぇ。」

「はい。そうなんです。」

「うふふ。みんな喜ぶわよ。猫たちはね、夜中が一番活動的なのよ。」

 ユリアさんはそう言って意味あり気に笑った。

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