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しおりを挟む「……ふぅ。」
アンナライラ嬢が意識を失ったのを見て、私はホッと息を吐きだした。それと同時にアンナライラ嬢を囲っていた金色の結界が雲散していく。まるで役目を終えたとでも言いたいようだ。
「よくやったわね。マリアちゃん。おかげで猫たちは無事のようよ。」
ユリアさんがそう言って微笑んだ。
「……私は何もしていませんよ。アンナライラ嬢が勝手に自爆したようなものです。それにしても、あの金色の結界はいったい誰が……。」
私は無意識に緊張していた身体の力を抜く。
「……無自覚なのかしら?」
ユリアさんは頬に手を当てて首を傾げた。
「なにが、です?」
「いいえ。なんでもないわ。きっとそのうち気づくわよ。」
ユリアさんは首を横に振った。
「シルキー様、お怪我はありませんか?」
私はアンナライラ嬢の近くで蹲っているシルキー様に近づいて膝まづく。シルキー様はとても怖かったようで身動きが出来なかったようだ。
アンナライラ嬢が無力化されたと気が付くと、シルキー様は私の膝に飛び乗って震えだす。
よっぽど怖かったようだ。
私はシルキー様をあやすように頭をそっと撫でる。
そうやっていると少しずつシルキー様の身体の震えがおさまり、次第に「ゴロゴロゴロ……。」と喉を鳴らす音が聞こえてきた。
「お怪我はないようですね。よかった……。」
落ち着いてきたシルキー様の身体を怪我がないか確かめるためにそっと撫でさするが、どうやら怪我はしていないようだった。
大人しく撫でさせられているシルキー様にうっとりと目を細める。
シルキー様が無事でよかった。
「私はこのお嬢さんを衛兵に引き渡してくるわ。マリアちゃんは、施設内にいてちょうだい。できれば他の子たちのケアもお願いするわね。」
シルキー様の無事を確かめている横で、ユリアさんがテキパキとアンナライラ嬢をロープで縛りあげる。そして、魔法でアンナライラ嬢の身体を浮かせて外に運び出す。
衛兵ってお城の衛兵のことかしら……?
ここにいた警備の人たちはこんなに大騒ぎになっているのに誰一人駆けつけてはこなかった。そんな警備の人たちにユリアさんがアンナライラ嬢を引き渡すとは思えない。
それにしても、警備の人たちはいったい何をしているのだろうか。
夜中でもこの保護猫施設は厳重に警備されている。数名の警備員が交代で施設を巡回・警備しているのだ。
それなのに、今日に限っては誰も来ない。
今頃になってそのことに気が付く。
なにか、あったのだろうか。
もしかして、警備の人たちはみんなアンナライラ嬢の味方だったのだろうか。
一抹の不安が頭をよぎる。
私はシルキー様をそっと抱き上げると、シルキー様に割り当てられている部屋に運ぶ。
他の猫様たちの様子も気になるし、警備の人たちのことも気になる。
「……うん。大丈夫そうね。」
シルキー様の部屋は特に荒らされた痕跡はなかった。これなら問題なくシルキー様もここで休むことができる。
私はシルキー様のベッドに優しくシルキー様を降ろすと、シルキー様の部屋から出た。本当は一緒にいてあげたいが、他の子たちのことも気になる。もしかしたら怪我をしてしまった猫様がいるかもしれないからだ。
「他の子たちに怪我がないか確認してくるわね。シルキー様はここでゆっくりと休んでいてくださいませ。」
私はシルキー様の部屋を出て一部屋ずつ確認していく。
どの猫様たちも気が立ってはいたが、目立つような怪我はなかった。
「……って、あれ?ブチ様は……?」
全部の部屋を確認してからやっと気が付く。ブチ様の姿だけがどこにもないことに……。
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