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しおりを挟む「この忌々しい結界を解いてちょうだい。私のシルキー様に触れられないじゃない。」
アンナライラ嬢は顔をしかめて私を睨みつける。
私も負けじとアンナライラ嬢を睨みつける。
アンナライラ嬢みたいに不純な動機でシルキー様に触れて欲しくない。シルキー様を欲しがってほしくない。
「私が結界を張ったわけじゃないわ。誰だかわからないけど、シルキー様を守るのにはちょうどいいわね。」
誰が結界を張ったのかわからないけれど、アンナライラ嬢からシルキー様を守るのにはこの結界が必要だ。
アンナライラ嬢にはシルキー様を渡したくはない。
きっとアンナライラ嬢はシルキー様のことを物のように扱うことだろう。それだけは絶対に許すことができない。
「どこまでも忌々しい女ねっ!」
アンナライラ様の真っ黒な魔力が結界の中で膨れ上がる。
そして、私に向かって練り上げた魔力を放とうとする。
この結界はどれくらい頑丈なものなのだろうか。あのままアンナライラ様が攻撃魔法を私に向かって放ったとしたら、ユリアさんやシルキー様、それにこの保護猫施設で暮らしている猫様たちに被害が出るのではないかと不安になる。
「やめてっ!!」
「うるさいっ!わたしの邪魔をしないでちょうだいっ!!」
私の叫び声に呼応するように金色の光が辺りを包みこむ。それと同時にアンナライラ嬢から真っ黒な魔力の塊が放たれた。
「きゃああああああああああっ!!!」
響き渡った女性の悲鳴は誰のものなのか。
ギュッと目を閉じてしまっていたためすぐには判別がつかない。
猫様たちは無事なのだろうか。
シルキー様のことが、猫様たちのことが心配になって恐る恐る目を開ける。
「いやぁあああああああああっ!!!やめてぇぇええええええっ!!」
女性の悲鳴はまだ続いている。
目を凝らして良く見ると、金色の光に閉じ込められたアンナライラ嬢を真っ黒な魔力が襲っている。
いや、アンナライラ嬢が私に向かって放った魔力が金色の結界に阻まれて、結界内で行き場を失って暴走していると言った方が正しいだろうか。
アンナライラ嬢の絶叫が響き渡る。
「マリアちゃん。結界を解いてはダメよ。あの魔力はとても危険だわ。結界を解いてしまったら、ここにいる猫たちが危ないわ。それに、下手をするとこの近くの人々も危ない。」
「……はい。わかっています。」
ユリアさんが私に念押ししてくる。
アンナライラ嬢の苦しむ姿を見ているのは辛い。でも、結界を解く方法はわからない。むしろ誰が結界を構築したのかもわからない。
それにもし私が結界を解けたとしても、このまま結界を解いてしまったら大変危険だということがわかる。私だけならいい。猫様たちに被害が行ってしまうことが一番怖い。
なにもできずに時間だけが過ぎていく。
しばらくすると、アンナライラ嬢の悲鳴が消えた。そして、結界内でぐったりと倒れこむアンナライラ嬢の姿が目に入った。
黒い魔力は金色の結界が浄化したのか、跡形もなく消えていた。
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