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第八話 菓子折り
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数日経って、ルーカスとの同室も慣れた頃だった。お昼休みの教室にて、ロドニーが突然押しかけてきた。しかもロドニーは菓子折りまで持ってきた。何これ。
「この前はご迷惑をおかけし誠に申し訳ありませんでした。アルロ君元気にしていたかなあ。今日はご相談があってやって来たんだ。トラブルじゃないから安心してねー」
ロドニーがひどく楽しそうに言う。赤色の瞳が怪しく輝いていた。
「却下だ。アルロ、行くぞ」
ルーカスは速攻断って、僕の手を引っ張っていこうとする。判断が早すぎる。
「ルーカスちょっと待て。席をすぐ立つのはさすがに気が引ける。せめて話の内容を聞いてからにしよう」
冷静に返事をしつつ、ルーカスの手を引き剥がす努力をしてみた。でも、ルーカスの力になかなか勝てない。悔しい。
「別に悪い話じゃない。むしろおいしい提案なんだけどなー。他人を信用しないのは結構だけれど、だからと言って問題自体を避けまくるのは人生つまんないよー。アハハッ。そう警戒しなくても、ボクはアルロ君のことがそこまで嫌いでもない。ねー信じてー。お菓子も持ってきたでしょ。ほら、王都有名店の焼き菓子だよー」
ロドニーが笑いながら言う。
「毒が入っているかもしれないものを食べられると思っているのか」
ルーカスが冷たくあしらう。ルーカスとロドニーの空気がすごく悪い。困ったな。
「よし。じゃあ僕がお菓子を食べる」
そう言ってみたら、ルーカスにすごい目で睨まれた。
「アルロはロドニーにされたことを忘れたのか。ずいぶんと都合のいい幸せな脳みそだな。よっぽど綺麗なお花畑が詰め込まれていると見える」
ルーカスの嫌味がすさまじい。つらい。
「でもほら、ロドニーも立場があるだろうから、みんなのいる前で毒を盛ったりしないだろう。そんなことをしたら大問題だし」
そう言ってみたけれど、ルーカスに冷たい目で見られた。
「ついこの前、何者かがアルロの家を放火したばかりだ。アルロは運が悪ければ殺されていたという事実を、もっと重く受け止めるべきだろう。この国においてハーフエルフを憎む人間は多く、アルロに対して殺意を向ける人間も珍しくない」
確かにルーカスの言う通りだ。でも、侯爵家出身のロドニーの申し出を話も聞かずに断るのも良くないと思う。それはロドニーに恥をかかせることになり、ロドニーが仕返ししてくる可能性も生まれる。そうなると将来的に厄介だ。
「そう。問題はそこなんだよっ。今ボクが困っているのは放火のウワサの件っ」
ロドニーが大きな声で言い出す。
「アルロの家が燃えたのは、ロドニーが仕向けたせいだ。なんてウワサでも立っているのか。それは仕方がないな。今までのロドニーの立ち振る舞いがそういう誤解を生んだんだろう。ロドニーの自業自得だ。これに懲りたら、ロドニーはアルロへ余計な攻撃を行わないように」
ルーカスが冷ややかに言い返す。
「でも、ボクはやっていないっ。アルロ君の家を燃やすだなんて、そんなことにボクは関係していないんだよ。何でもボクのせいにしないでほしいなっ。まあ、ボクがアルロ君に水魔法をぶつけたのはやり過ぎだったのかもしれないけどさあ。頼むよ。ボクの名誉を回復して。助けてー」
ロドニーが悲しそうに言って泣き真似を始める。もちろん涙は流していない。
「それでロドニーは具体的に何を望んでいるんだ」
とりあえず聞いてみる。すると、ロドニーが弾けるような笑顔を浮かべた。
「アハハッ。アルロ君にはボクと魔法決闘をして欲しいんだー」
ロドニーが訳の分からないことを言い出した。
「この前はご迷惑をおかけし誠に申し訳ありませんでした。アルロ君元気にしていたかなあ。今日はご相談があってやって来たんだ。トラブルじゃないから安心してねー」
ロドニーがひどく楽しそうに言う。赤色の瞳が怪しく輝いていた。
「却下だ。アルロ、行くぞ」
ルーカスは速攻断って、僕の手を引っ張っていこうとする。判断が早すぎる。
「ルーカスちょっと待て。席をすぐ立つのはさすがに気が引ける。せめて話の内容を聞いてからにしよう」
冷静に返事をしつつ、ルーカスの手を引き剥がす努力をしてみた。でも、ルーカスの力になかなか勝てない。悔しい。
「別に悪い話じゃない。むしろおいしい提案なんだけどなー。他人を信用しないのは結構だけれど、だからと言って問題自体を避けまくるのは人生つまんないよー。アハハッ。そう警戒しなくても、ボクはアルロ君のことがそこまで嫌いでもない。ねー信じてー。お菓子も持ってきたでしょ。ほら、王都有名店の焼き菓子だよー」
ロドニーが笑いながら言う。
「毒が入っているかもしれないものを食べられると思っているのか」
ルーカスが冷たくあしらう。ルーカスとロドニーの空気がすごく悪い。困ったな。
「よし。じゃあ僕がお菓子を食べる」
そう言ってみたら、ルーカスにすごい目で睨まれた。
「アルロはロドニーにされたことを忘れたのか。ずいぶんと都合のいい幸せな脳みそだな。よっぽど綺麗なお花畑が詰め込まれていると見える」
ルーカスの嫌味がすさまじい。つらい。
「でもほら、ロドニーも立場があるだろうから、みんなのいる前で毒を盛ったりしないだろう。そんなことをしたら大問題だし」
そう言ってみたけれど、ルーカスに冷たい目で見られた。
「ついこの前、何者かがアルロの家を放火したばかりだ。アルロは運が悪ければ殺されていたという事実を、もっと重く受け止めるべきだろう。この国においてハーフエルフを憎む人間は多く、アルロに対して殺意を向ける人間も珍しくない」
確かにルーカスの言う通りだ。でも、侯爵家出身のロドニーの申し出を話も聞かずに断るのも良くないと思う。それはロドニーに恥をかかせることになり、ロドニーが仕返ししてくる可能性も生まれる。そうなると将来的に厄介だ。
「そう。問題はそこなんだよっ。今ボクが困っているのは放火のウワサの件っ」
ロドニーが大きな声で言い出す。
「アルロの家が燃えたのは、ロドニーが仕向けたせいだ。なんてウワサでも立っているのか。それは仕方がないな。今までのロドニーの立ち振る舞いがそういう誤解を生んだんだろう。ロドニーの自業自得だ。これに懲りたら、ロドニーはアルロへ余計な攻撃を行わないように」
ルーカスが冷ややかに言い返す。
「でも、ボクはやっていないっ。アルロ君の家を燃やすだなんて、そんなことにボクは関係していないんだよ。何でもボクのせいにしないでほしいなっ。まあ、ボクがアルロ君に水魔法をぶつけたのはやり過ぎだったのかもしれないけどさあ。頼むよ。ボクの名誉を回復して。助けてー」
ロドニーが悲しそうに言って泣き真似を始める。もちろん涙は流していない。
「それでロドニーは具体的に何を望んでいるんだ」
とりあえず聞いてみる。すると、ロドニーが弾けるような笑顔を浮かべた。
「アハハッ。アルロ君にはボクと魔法決闘をして欲しいんだー」
ロドニーが訳の分からないことを言い出した。
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