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第七話 好きな人
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夜は自分専用ベッドでぐっすり眠れるし、正直とっても快適だった。二段ベッドじゃなくて良かった、もし上の段だったら落ちることが怖くて眠れなかった可能性もある。
ところで、朝起きたらルーカスが変なことをしているんだけど。
「サム。君のご主人様について聞きたい」
ルーカスが魔法人形サムに話しかけている。もちろんサムは答えない。だって、僕が魔力を入れて操らないと、サムは会話なんて出来ないからだ。今まで僕は眠っていたのだから、サムが勝手に動くはずもない。
よく分からないが、ルーカスはサムと話したいのだろうか。サムをしゃべらせてみるか。
「ルーカスはどんなことを知りたいんだ」
サムがぎこちなく話し出す。さすが僕の作った人形だけあって、声が愛らしいな。うん。自画自賛楽しい。
「そうだな。じゃあ、アルロの好きな人について聞きたい」
おい。ルーカス、からかってるんだろ。肩が震えてるぞ。笑いがこらえきれてない。
「いるわけないだろっ」
思わず自分の声でつっこみを入れてしまった。しまった。僕は寝たふりをする予定だったのに。
ルーカスはサムを抱えて振り向いた。おい。サムは僕の物だぞ、勝手に触れないでくれ。
「アルロには聞いていない。サムに聞いているんだ」
ルーカスが無表情で言う。いや、よく見るとすごく楽しそうな目をしているな。
「その魔法人形サムは腹話術みたいな仕組みだって、ルーカスも分かっているんだろう。つまり、僕だろうとサムだろうと同じ会話にしかならない」
そう言って、僕はサムを取り返しに行く。けれど、ルーカスに避けられてしまった。
「分かっている。しかし、前にアルロは『ルーカスもやってみたらどうだ』と言っていた。アルロの言う通り、僕はサムと会話を試みているに過ぎない」
ルーカスが意地の悪い笑みを浮かべながら答えてくる。どうしてこんな奴と同室者になってしまったんだ。
「アルロに好きな人なんていない。これで話は終わりだ」
サムがそう言ってルーカスの手から逃げ出し、僕の手元へと戻ってくる。
「そうか。俺はサムともう少し話したいのだが」
ルーカスがしつこい。
「ルーカスが変なことにこだわるなんて、寝ぼけているに違いない。朝ご飯を早く食べて支度をしよう」
実に合理的な判断を促す。さすが僕だ。こんな状況にも冷静に対処出来ている。うん。自画自賛しまくらないとやってられない。
「アルロやサムとの関わりに利益があると思って、俺は会話を楽しんでいる。邪魔しないでくれるか」
ルーカスの返事が実に面倒くさい。
「僕は余裕を持って教室へ着きたい。ルーカスも遅刻はしたくないだろう。ほら、急ぐぞ」
とにかく会話を終わらせたくて、頑張って理由を並べてみた。
「僕は遅れたりしない」
ルーカスは自信ありげに言った。実際に僕より、ルーカスの行動の方がずっと早かった。やっぱりルーカスは変な奴だ。
ところで、朝起きたらルーカスが変なことをしているんだけど。
「サム。君のご主人様について聞きたい」
ルーカスが魔法人形サムに話しかけている。もちろんサムは答えない。だって、僕が魔力を入れて操らないと、サムは会話なんて出来ないからだ。今まで僕は眠っていたのだから、サムが勝手に動くはずもない。
よく分からないが、ルーカスはサムと話したいのだろうか。サムをしゃべらせてみるか。
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「そうだな。じゃあ、アルロの好きな人について聞きたい」
おい。ルーカス、からかってるんだろ。肩が震えてるぞ。笑いがこらえきれてない。
「いるわけないだろっ」
思わず自分の声でつっこみを入れてしまった。しまった。僕は寝たふりをする予定だったのに。
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「アルロには聞いていない。サムに聞いているんだ」
ルーカスが無表情で言う。いや、よく見るとすごく楽しそうな目をしているな。
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そう言って、僕はサムを取り返しに行く。けれど、ルーカスに避けられてしまった。
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ルーカスが意地の悪い笑みを浮かべながら答えてくる。どうしてこんな奴と同室者になってしまったんだ。
「アルロに好きな人なんていない。これで話は終わりだ」
サムがそう言ってルーカスの手から逃げ出し、僕の手元へと戻ってくる。
「そうか。俺はサムともう少し話したいのだが」
ルーカスがしつこい。
「ルーカスが変なことにこだわるなんて、寝ぼけているに違いない。朝ご飯を早く食べて支度をしよう」
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