婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!

婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?

 春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。

「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」

 ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。
「理由を、うかがっても?」

「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」

 隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。
「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」

 その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。
「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」

 彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。

◇ ◇ ◇

 目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。

『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』

「……は?」「……え?」

 凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。

『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。
 アーノルド「モルデ、お前を愛している」
 モルデ「ボクもお慕いしています」』

「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」

 空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。
『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』

 ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。
「……モルデ、お前を……愛している」
「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」

 顔を寄せた瞬間――ピコンッ!

『ミッション達成♡ おめでとうございます!』

 テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。
「……なんか負けた気がする」「……同感です」

 モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。

『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』

 王子は頭を抱えて叫ぶ。
「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」

 天井スピーカーから甘い声が響いた。
『次のミッション、準備中です♡』

 こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。
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