6 / 19
06
しおりを挟む
朝から屯所内はゴタゴタしてる。八月十八日の政変だ。
「私の隊服はどこだ!」
「山南副長」
「何処だと聞いておる!!」
温厚なはずの山南副長でも声を荒らげてる。というか、私に聞かれても私は山南敬助の小姓ではないのだから知らない。私はただの女中だ。
「山南さぁん、これどうぞぉ」
「おお!凛君、ありがとう」
凛ちゃんが山南敬助の隊服を持ってきた。
「何故!私の防備がこれだけなのだ!?」
山南敬助は先陣を斬るというのに防備が足りないと怒りを顕にしてる。
大丈夫。戦にはならないから。
心の中でそう思いながら、成り行きを見守る。
「麗奈」
「一さん」
「行ってくる」
「はい。おかえりお待ちしております」
隊士たちを見送った。
「麗奈ちゃん、これって池田屋事件ですかぁ?」
「違うわ」
この子、歴史をあまり知らないのね。既に公方様より新撰組の名前はもらったが、本来はこの時の働きにより頂くのよね。
「そうですねぇ。芹沢さん、生きてますしぃ。ところで、芹沢さんって何で死ぬのですかぁ?」
「知らないわ」
「ええー。大学出てるのに知らないのぉ?ホントに大学出たのお?」
アメリカの大学で幕末の勉強なんてしないわよ。それに芹沢鴨の死について色々とあり、どれが正しいのかなんて分からない。
分かってるのは近藤派が暗殺したということだけ。
理由は芹沢鴨の所業により松平容保から命令が下ったともあるし、単に近藤派が芹沢派を消して新撰組の実権を握りたかったともある。どれが真実なのか分からない。多分、今いても分からないだろう。本当のことなんて近藤勇と土方歳三くらいしかしらないと思う。
隊士はいなくても仕事はある。私は女中の仕事に励んだ。凛ちゃんは何してるかは知らない。私の邪魔さえしなければそれでいい。
洗濯を終え、お手製のハンドクリームを塗る。
んー。いい匂い。結構、いい出来ね。
「頑張ってますね」
後ろから山崎烝に声を掛けられた。
「お仕事お疲れ様です」
「凛君は昼寝してますよ」
「そうですか?」
勿論、このことは土方副長には報告しますけどねと山崎烝は続けた。彼の監視もあと少しだろう。長州の動きや潜伏先を知るために働くことになる。
「怒らないのですか?あんさんと凛君の扱いの差に」
「私は一さんにさえ分かってもらえれれば、それだけで幸せなのです。他の人にどう思われても構いません」
「健気ですなぁ。あんさんみたいな嫁子をもらった斎藤君が羨ましいですわ」
私みたいな人殺しの女を貰ってくれるなんて一さんぐらいよ。だから、私は一さんのために尽くすの。それしか出来ないから。
それにしても一さんは何でこんな人殺しの私がいいんだろうか?私が男だったら凛ちゃんの方がいいと思う。男には良いところしか見せてないけど、笑顔が似合う明るい子だもの。
私が凛ちゃんより優れてるところは、見た目ぐらいかな?こればっかりは自惚れでなく自信がある。この見た目があったからこそ特殊部隊の一員になって、悪の組織に潜入ってことになったのだから。胸も86のEカップ、ウエスト56、ヒップ78。文句なしの体もしてる。因みにあそこは男が言うには名器らしい。
「仕事が終わったなら別の仕事がありますよ」
別の仕事?
私と凛ちゃんは遊郭に連れていかれた。そこでべっぴんさんにしてもらうようにと山崎烝は告げた。
諜報活動なわけではないし、何のためかな?
訳は分からないけど、着飾る。凛ちゃんは綺麗な着物に大はしゃぎ。
長時間掛けて支度が終わる。
「凛君は近藤局長と土方副長のところに。麗奈君は勿論、斎藤君のところに」
なるほど。帰ってきた隊士たちのために開く宴のためにこんな格好してるのね。
中に入ると凛ちゃんは一目散に土方歳三のところに行く。わざとなのか目の前で転んで土方歳三に抱き止められるというハプニングを起こしてるけど。私は優雅に一さんのもとに行く。
「麗奈、美しいのだが……」
気に入らなかったかしら?
「他の男に見せたくない」
一さんの独占欲に顔がにやけそうになる。私は一さんの横に座りお酌をする。
「天女さん、綺麗ですね~。僕にも注いでください~」
そう言う沖田総司に一さんが酒を注ぐ。
「一君、酷いです~。僕は天女さんのお酒が飲みたいです~」
「麗奈は俺の妻だ」
そう言って一さんは、私の腰に腕を回して抱き寄せた。
「麗奈も飲め」
日本酒は初めてだ。20歳までは飲んではだめ?それは未来の日本の話。特殊部隊にいた私は酒に溺れることがないようにと幼い頃から酒に慣らされてきた。
注いでもらった酒をクイッと飲み干す。
「飲める口なのか?」
一さんが心配そうに聞いてきた。
「それなりに?」
日本酒は飲んだことがないから、分からないが泥酔することはないだろう。一さんも酒に強いのか表情が変わることはない。
「あー!麗奈ちゃん、未成年はお酒飲んだらダメですよぉ」
凛ちゃんが注意してくるが、この時代は未成年は飲んではいけないという決まりはない。だから周りは首を傾げていた。
「凛。お前も飲め」
「20歳未満は飲んではだめなのです」
「何だ?それ」
凛ちゃんは何度も私に禁酒を求めてくるが、私はそれを無視して一さんとお酒を楽しんだ。日本酒は口当たりがよく飲みやすい。ついつい酒が進む。
気が付けば、そこらで屍が沢山出来ていた。
何人かは遊女を奥の部屋へと連れて行ってる。
「沖田さんはそれ以上、飲んだらダメですぅ。体によくないですぅ」
「うるさいですよ~。君に命令されたくありません~」
まだ沖田総司が労咳になると思ってる凛ちゃんは沖田総司の体の心配をする。土方歳三はそんな凛ちゃんを止めない。土方歳三なら知ってるはず、沖田総司が労咳で亡くならないということを。それを凛ちゃんに伝えないのはどうしてなんだろうか?
そこに何か理由でもあるのかな?
私には土方歳三の考えが分からなかった。
「私の隊服はどこだ!」
「山南副長」
「何処だと聞いておる!!」
温厚なはずの山南副長でも声を荒らげてる。というか、私に聞かれても私は山南敬助の小姓ではないのだから知らない。私はただの女中だ。
「山南さぁん、これどうぞぉ」
「おお!凛君、ありがとう」
凛ちゃんが山南敬助の隊服を持ってきた。
「何故!私の防備がこれだけなのだ!?」
山南敬助は先陣を斬るというのに防備が足りないと怒りを顕にしてる。
大丈夫。戦にはならないから。
心の中でそう思いながら、成り行きを見守る。
「麗奈」
「一さん」
「行ってくる」
「はい。おかえりお待ちしております」
隊士たちを見送った。
「麗奈ちゃん、これって池田屋事件ですかぁ?」
「違うわ」
この子、歴史をあまり知らないのね。既に公方様より新撰組の名前はもらったが、本来はこの時の働きにより頂くのよね。
「そうですねぇ。芹沢さん、生きてますしぃ。ところで、芹沢さんって何で死ぬのですかぁ?」
「知らないわ」
「ええー。大学出てるのに知らないのぉ?ホントに大学出たのお?」
アメリカの大学で幕末の勉強なんてしないわよ。それに芹沢鴨の死について色々とあり、どれが正しいのかなんて分からない。
分かってるのは近藤派が暗殺したということだけ。
理由は芹沢鴨の所業により松平容保から命令が下ったともあるし、単に近藤派が芹沢派を消して新撰組の実権を握りたかったともある。どれが真実なのか分からない。多分、今いても分からないだろう。本当のことなんて近藤勇と土方歳三くらいしかしらないと思う。
隊士はいなくても仕事はある。私は女中の仕事に励んだ。凛ちゃんは何してるかは知らない。私の邪魔さえしなければそれでいい。
洗濯を終え、お手製のハンドクリームを塗る。
んー。いい匂い。結構、いい出来ね。
「頑張ってますね」
後ろから山崎烝に声を掛けられた。
「お仕事お疲れ様です」
「凛君は昼寝してますよ」
「そうですか?」
勿論、このことは土方副長には報告しますけどねと山崎烝は続けた。彼の監視もあと少しだろう。長州の動きや潜伏先を知るために働くことになる。
「怒らないのですか?あんさんと凛君の扱いの差に」
「私は一さんにさえ分かってもらえれれば、それだけで幸せなのです。他の人にどう思われても構いません」
「健気ですなぁ。あんさんみたいな嫁子をもらった斎藤君が羨ましいですわ」
私みたいな人殺しの女を貰ってくれるなんて一さんぐらいよ。だから、私は一さんのために尽くすの。それしか出来ないから。
それにしても一さんは何でこんな人殺しの私がいいんだろうか?私が男だったら凛ちゃんの方がいいと思う。男には良いところしか見せてないけど、笑顔が似合う明るい子だもの。
私が凛ちゃんより優れてるところは、見た目ぐらいかな?こればっかりは自惚れでなく自信がある。この見た目があったからこそ特殊部隊の一員になって、悪の組織に潜入ってことになったのだから。胸も86のEカップ、ウエスト56、ヒップ78。文句なしの体もしてる。因みにあそこは男が言うには名器らしい。
「仕事が終わったなら別の仕事がありますよ」
別の仕事?
私と凛ちゃんは遊郭に連れていかれた。そこでべっぴんさんにしてもらうようにと山崎烝は告げた。
諜報活動なわけではないし、何のためかな?
訳は分からないけど、着飾る。凛ちゃんは綺麗な着物に大はしゃぎ。
長時間掛けて支度が終わる。
「凛君は近藤局長と土方副長のところに。麗奈君は勿論、斎藤君のところに」
なるほど。帰ってきた隊士たちのために開く宴のためにこんな格好してるのね。
中に入ると凛ちゃんは一目散に土方歳三のところに行く。わざとなのか目の前で転んで土方歳三に抱き止められるというハプニングを起こしてるけど。私は優雅に一さんのもとに行く。
「麗奈、美しいのだが……」
気に入らなかったかしら?
「他の男に見せたくない」
一さんの独占欲に顔がにやけそうになる。私は一さんの横に座りお酌をする。
「天女さん、綺麗ですね~。僕にも注いでください~」
そう言う沖田総司に一さんが酒を注ぐ。
「一君、酷いです~。僕は天女さんのお酒が飲みたいです~」
「麗奈は俺の妻だ」
そう言って一さんは、私の腰に腕を回して抱き寄せた。
「麗奈も飲め」
日本酒は初めてだ。20歳までは飲んではだめ?それは未来の日本の話。特殊部隊にいた私は酒に溺れることがないようにと幼い頃から酒に慣らされてきた。
注いでもらった酒をクイッと飲み干す。
「飲める口なのか?」
一さんが心配そうに聞いてきた。
「それなりに?」
日本酒は飲んだことがないから、分からないが泥酔することはないだろう。一さんも酒に強いのか表情が変わることはない。
「あー!麗奈ちゃん、未成年はお酒飲んだらダメですよぉ」
凛ちゃんが注意してくるが、この時代は未成年は飲んではいけないという決まりはない。だから周りは首を傾げていた。
「凛。お前も飲め」
「20歳未満は飲んではだめなのです」
「何だ?それ」
凛ちゃんは何度も私に禁酒を求めてくるが、私はそれを無視して一さんとお酒を楽しんだ。日本酒は口当たりがよく飲みやすい。ついつい酒が進む。
気が付けば、そこらで屍が沢山出来ていた。
何人かは遊女を奥の部屋へと連れて行ってる。
「沖田さんはそれ以上、飲んだらダメですぅ。体によくないですぅ」
「うるさいですよ~。君に命令されたくありません~」
まだ沖田総司が労咳になると思ってる凛ちゃんは沖田総司の体の心配をする。土方歳三はそんな凛ちゃんを止めない。土方歳三なら知ってるはず、沖田総司が労咳で亡くならないということを。それを凛ちゃんに伝えないのはどうしてなんだろうか?
そこに何か理由でもあるのかな?
私には土方歳三の考えが分からなかった。
0
あなたにおすすめの小説
皇帝陛下!私はただの専属給仕です!
mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。
戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。
ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。
胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
孤独なもふもふ姫、溺愛される。
遊虎りん
恋愛
☆☆7月26日完結しました!
ここは、人間と半獣が住んでいる星。いくつかある城の1つの半獣の王と王妃の間に生まれた姫は、半獣ではない。顔が『人』ではなく『獣』の顔をした獣人の姿である。半獣の王は姫を城から離れた塔に隠した。孤独な姫ははたして、幸せになれるのだろうか。。。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
この記憶、復讐に使います。
SHIN
恋愛
その日は、雲ひとつない晴天でした。
国と国との境目に、2種類の馬車と数人の人物。
これから起こる事に私の手に隠された煌めく銀色が汗に湿り、使用されるのを今か今かとまっています。
チャンスは一度だけ。
大切なあの人の為に私は命をかけます。
隠れ前世の記憶もちが大切な人のためにその知識を使って復讐をする話し。
リハビリ作品です気楽な気持ちでお読みください。
SHIN
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
不能と噂される皇帝の後宮に放り込まれた姫は恩返しをする
矢野りと
恋愛
不能と噂される隣国の皇帝の後宮に、牛100頭と交換で送り込まれた貧乏小国の姫。
『なんでですか!せめて牛150頭と交換してほしかったですー』と叫んでいる。
『フンガァッ』と鼻息荒く女達の戦いの場に勢い込んで来てみれば、そこはまったりパラダイスだった…。
『なんか悪いですわね~♪』と三食昼寝付き生活を満喫する姫は自分の特技を活かして皇帝に恩返しすることに。
不能?な皇帝と勘違い姫の恋の行方はどうなるのか。
※設定はゆるいです。
※たくさん笑ってください♪
※お気に入り登録、感想有り難うございます♪執筆の励みにしております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる