悪役令嬢は二度婚約を破棄される

くきの助

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お城に到着

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ジュンブリザート辺境伯領の中心地はバラルヒルガムの街だ。
そこから小高い見晴らしの良い丘にある城がジュンブリザート辺境伯のお城ジェンティルダ城となる。

遠くからでも目立つ要塞城だ。
古めかしい佇まいに威厳を感じる立派な城で敷地も大きい。

街中を馬車で走ったのだが街も大きく賑やかだった。
辺境というとど田舎と勘違いしている人も多いが、実際はかなり栄えている。
気候も、王都からは山越えしなければならないので山に雪が降り始めると道が閉ざされてしまうが、山さえ越えれば雪は降るが雪が積もる日はそんなにない。
夏は山からの風で涼しく過ごしやすい土地で、こちらに別荘をもち避暑で訪れる貴族もいる。

馬車の窓から賑やかな街並みを覗き見たエリザベスは街の人々もこちらを注目していることに気づく。
辺境伯の騎士と公爵家の騎士が連なっているのだから目立つのだろう。
皆ヒソヒソしていたり、指差して何か言っていたりと様々だ。
ただ歓迎ムードではないのは伝わってくる。
(もちろん噂は届いてるわよね)
一体どのように迎えられるのだろうか。
行ってみなければわからないわよね。とエリザベスは気持ちを引き締めた。

街をぬけ、城の正門をぬけ、またしばらく馬車で行くとようやくお城に到着する。
エリザベスが馬車を降りると頭を下げる使用人一同と燃えるような赤髪のガタイのいい男が立っていた。

「遠路はるばるようこそ我が城ジェンティルダ城にお越しくださいました。
当主のルシアーノ=ロイスヒュルテです。」
とジュンブリザート辺境伯ルシアーノが貴族らしく丁寧にお辞儀をした。

「ビバリースカイ公爵家長女エリザベス=ルトフェルトです。お出迎え感謝いたします。」エリザベスもカーテシーをした。
ルシアーノの横には彼の母親、前辺境伯夫人のアメリア=ロイスヒュロテ。
ブラウンゴールドの髪を上品に結い上げた、美しいご夫人だ。

簡単にお互いの自己紹介を済ませると、エリザベスは応接室に通される。
エリザベスの護衛達はジェンティルダ城の使用人達と荷物の運び込みの準備をしている。
アメリアが「荷物の運び込みの部屋の案内と指示を出してきますので少し失礼いたします。」と上品に笑い席を外した。
そしてそのすぐ後ルシアーノの側近だろうか、スッとルシアーノに何やら耳打ちをすると
「私もすぐ指示しなければならない事があるようです。すぐ戻ります。すぐお茶を用意させますのでゆっくりなさってください。」とニコリと笑うとルシアーノは部屋を出ていった。

エリザベスが1人になると執事がお茶を入れてくれる。
とりあえずは追い返されるような事はなさそうだとエリザベスは安堵する。
(辺境伯閣下はあまりお変わりないわね。ああ、でも笑い方はよそ行きかしら)ふふと笑みが溢れる。
と言うのもエリザベスは一度王城で彼を見かけたことがあるのだ。

4年前だろうか。
北の辺境伯が急逝された。
当時二十歳だったルチアーノは王城には爵位を継ぐ報告と承認でやってきていた。
その時に城の兵士たちと城の中庭で手合わせをしていたのを見かけたのだ。

大きく鍛えられた体に赤いアッシュの髪が日に焼けた肌にとても映えていて、
顔のパーツは全て大ぶりだが整っておりアンバーの瞳が強い光を放っていた。
そして少しくぐもっているが低くよく通る声。
笑うとニイィと横に伸びる大きな口。
そのせいか大笑いをしているわけでもないのに太陽のように眩しい笑顔だった。
王都ではあまり見かけないタイプの美丈夫に、城の侍女たちがきゃあきゃあ騒いでたのをエリザベスは覚えている。

エリザベスが昔の思い出に想いを馳せているとアメリアが部屋に戻ってきた。
そして一瞬おや?と言う顔をした。
ルチアーノがいないからだろうか。
だがすぐに顔を戻し
「お待たせいたしました。全てエリザベス様の部屋に荷物が運び込まれましたよ。護衛の方々も帰り支度も済んだようです。お見送りなさいますか。」とエリザベスに伝えた。

帰り支度が済んだ?

エリザベスはハッとしたように顔を上げると
「では少し失礼して護衛達を見送って参ります。」
と少し早足に部屋を出ていった。
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