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契約は順調
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一ヶ月後、驚いた事に名代と共にセドリックもやってきた。
北の辺境伯の御令息と仲がいいらしく滞在していたらしい。
北の辺境伯領はここから1日で行ける距離だ。
「初めまして、ブリジット嬢。僕のお姫様になってくれてありがとう。」
そう言ってにっこり笑うセドリックは絵本に出てくる王子様のようにキラキラしていた。
「僕のことは王都のお兄様とでも思っておくれ。」
「私兄様が欲しかったのよ、嬉しいわ!」
2人はどうやら気質が似ていたらしい。
気のいい2人はあっという間に仲良くなり親睦を深めた。
「君はイニシャルがBBなんだね。ピッタリじゃないか、僕のべべ(赤ちゃん)ちゃん」
そんな冗談で2人は笑い合った。
「北の辺境への休暇から帰る途中トラブルが起きて立ち寄ったヒステマラ伯爵領、そこで世話になっているうちに恋に落ちて結婚を約束したってストーリーにするからね。ちゃんと話を合わせてくれよ、べべちゃん。」
ブリジットはワクワクした。
ごっこ遊びの延長のような、お芝居の演者になったような、そんな気分だった。
王都に向かうブリジットの乗った馬車を見送る両親の顔に浮かぶのは心配の二文字。
契約の内容は分かりやすく噛み砕いてブリジットに伝え続けたが理解しているだろうかと。
しかしそんなことには気付かない程浮かれているブリジットは元気に馬車の窓から手を振った。
ブリジットは王都で始まる新しい生活に期待で胸がいっぱいだった。
王都に着くと、12歳という幼い婚約者をいきなり連れて帰って来たセドリックに公爵家はちょっとした騒動だった。
ゴスルジカ公爵は「まさか攫ってきたのではあるまいな?!」と詰め寄り、公爵夫人は絶句していた。
しかしブリジットの物怖じしない明るい性格は大人には評判が良かった。
そこは領主の娘。大人たちにまじりうまく立ち回ることもうまかった。
何より公爵家の使用人により身なりを整えたブリジットは12歳とは思えぬ美少女だった。
明るい美少女。
それだけで大人たちの印象はぐんとよく、あっという間に公爵夫妻とも打ち解け、何よりマナーなどは夫人自ら教えてくれるほど気に入られた。
そうして素直なブリジットは教えられたことをぐんぐん吸収していく。
夫人も教える喜びを感じ、優秀な生徒であるブリジットをとても可愛がった。
やればやるほど目に見えて立ち振る舞いが変わってゆくマナーの時間はブリジットは好きだった。
優雅に見える指先の動かし方、足の動かし方。教えられた通りにやれば見事なレディーに見えた。
座学も難しいと思っていたがマナーと同じで積み重ねていけば面白いくらい知識が増えていく。
マナーの合格点が出ると夫人はお茶会にもブリジットを連れて出席するようになった。
身だしなみの整え方も夫人は手取り足取り教えてくれる。
「身だしなみは淑女の鎧よ。一分の隙もないようになさいな。完璧に整えれば悪意の入る隙なんてないんだから。」
そう言いながらドレスにあったアクセサリーを選び、選び方のコツも伝授してくれる。
綺麗に着飾ったブリジットを公爵はわざわざ見に来れば
「うちには女神が2人もいたのか!さあお義父様にキスをしておくれ!」とブリジットを抱き上げ何故か公爵がブリジットにキスをする。
それを見て公爵夫人は「本当にデレデレねえ。」と呆れたように笑う。
そして周りの使用人達も笑顔になるのが公爵家の定番の流れになっていた。
ブリジットは公爵家の皆が好きだったし、勉強も楽しかった。
何もかもうまくいっていた。
北の辺境伯の御令息と仲がいいらしく滞在していたらしい。
北の辺境伯領はここから1日で行ける距離だ。
「初めまして、ブリジット嬢。僕のお姫様になってくれてありがとう。」
そう言ってにっこり笑うセドリックは絵本に出てくる王子様のようにキラキラしていた。
「僕のことは王都のお兄様とでも思っておくれ。」
「私兄様が欲しかったのよ、嬉しいわ!」
2人はどうやら気質が似ていたらしい。
気のいい2人はあっという間に仲良くなり親睦を深めた。
「君はイニシャルがBBなんだね。ピッタリじゃないか、僕のべべ(赤ちゃん)ちゃん」
そんな冗談で2人は笑い合った。
「北の辺境への休暇から帰る途中トラブルが起きて立ち寄ったヒステマラ伯爵領、そこで世話になっているうちに恋に落ちて結婚を約束したってストーリーにするからね。ちゃんと話を合わせてくれよ、べべちゃん。」
ブリジットはワクワクした。
ごっこ遊びの延長のような、お芝居の演者になったような、そんな気分だった。
王都に向かうブリジットの乗った馬車を見送る両親の顔に浮かぶのは心配の二文字。
契約の内容は分かりやすく噛み砕いてブリジットに伝え続けたが理解しているだろうかと。
しかしそんなことには気付かない程浮かれているブリジットは元気に馬車の窓から手を振った。
ブリジットは王都で始まる新しい生活に期待で胸がいっぱいだった。
王都に着くと、12歳という幼い婚約者をいきなり連れて帰って来たセドリックに公爵家はちょっとした騒動だった。
ゴスルジカ公爵は「まさか攫ってきたのではあるまいな?!」と詰め寄り、公爵夫人は絶句していた。
しかしブリジットの物怖じしない明るい性格は大人には評判が良かった。
そこは領主の娘。大人たちにまじりうまく立ち回ることもうまかった。
何より公爵家の使用人により身なりを整えたブリジットは12歳とは思えぬ美少女だった。
明るい美少女。
それだけで大人たちの印象はぐんとよく、あっという間に公爵夫妻とも打ち解け、何よりマナーなどは夫人自ら教えてくれるほど気に入られた。
そうして素直なブリジットは教えられたことをぐんぐん吸収していく。
夫人も教える喜びを感じ、優秀な生徒であるブリジットをとても可愛がった。
やればやるほど目に見えて立ち振る舞いが変わってゆくマナーの時間はブリジットは好きだった。
優雅に見える指先の動かし方、足の動かし方。教えられた通りにやれば見事なレディーに見えた。
座学も難しいと思っていたがマナーと同じで積み重ねていけば面白いくらい知識が増えていく。
マナーの合格点が出ると夫人はお茶会にもブリジットを連れて出席するようになった。
身だしなみの整え方も夫人は手取り足取り教えてくれる。
「身だしなみは淑女の鎧よ。一分の隙もないようになさいな。完璧に整えれば悪意の入る隙なんてないんだから。」
そう言いながらドレスにあったアクセサリーを選び、選び方のコツも伝授してくれる。
綺麗に着飾ったブリジットを公爵はわざわざ見に来れば
「うちには女神が2人もいたのか!さあお義父様にキスをしておくれ!」とブリジットを抱き上げ何故か公爵がブリジットにキスをする。
それを見て公爵夫人は「本当にデレデレねえ。」と呆れたように笑う。
そして周りの使用人達も笑顔になるのが公爵家の定番の流れになっていた。
ブリジットは公爵家の皆が好きだったし、勉強も楽しかった。
何もかもうまくいっていた。
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