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休憩 ーポールー
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仕事をひと段落させて吸うタバコはうまいな。
そう思いながらバルコニーに出てタバコをふかしていた。
ふと、遠くに子爵家の馬車が見える。
(アベルとビジイだな。ちゃんと日が暮れる前に帰って来たのか。さーてどうなったかな?)
自分でも顔がニヤついたのがわかった。
「なんだ、そんなことになってたの?どうして私はいなかったんだ。」
そう言って大笑いしたのは弟のルイだ。
そりゃいないだろ、お前は侯爵家の婿入りでずっとそっちに住んでるんだから。
ルイにアベルが婚約者と子爵家タウンハウスに来た時の話を聞かせるとルイは大喜びだった。
嫉妬に燃えていたくせに、全く無自覚というのがルイのお気に召したのだ。
わかるよ、私も即座に揶揄ったもんな。
私達兄弟は仲がいい。
それは妙な連帯感から生まれたものだ。
アベルのご令嬢への塩対応。
この尻拭いを昔からルイと2人でしていた。
いや、本人は塩対応のつもりはないんだよな。
ただ秋波を送る様なご令嬢との相性がすこぶる悪いのだ。
そして小さな頃からどこにいても観察ばかりしているアベルに話しかける令嬢は大抵秋波を送っている。
尚且つアベルにご令嬢の繊細な心の機微などわかるはずないのだ。
モジモジするご令嬢にはもれなく「単刀直入に言ってくれ。」「話がないなら向こう行ってくれ。」ってデリカシー無いんだよな。
まあ泣くよな。
体裁も悪いし私かルイが慰める事になることが多かった。
「そうしてたらなぜか私達もモテるんだから、女性って本当わからないよね。」
とはルイの弁。
傷ついたご令嬢を慰めるからなのか、なぜかそれが令嬢に受けた。
まあ、悪い気はしないからいいけどな。
元々私達四兄弟は皆見目は悪くない。
かつて社交界の華と言われた母上に全員似たせいだろう。
中でもその血を色濃く引き継ぎ、ダントツで美男子なのがアベルなのだが、一番御令嬢に興味ないのは皮肉な話だ。
ルイが卒業した後は丁度入学したデイビットにお世話係が回った。
入学するまでデイビットはアベルの事を『ずっと研究ばかりしているから変人と言われている』と思ってたらしいから、入学後ちゃあんと訂正しておいた。
「どんな美しい高位の令嬢に対しても詰める様な喋り方の塩対応だから、変人っていわれてんだよ、あいつ。」ってな。
「ああ……納得……」
諦めたように漏らしたデイビットに思わず笑った。
そんなアベルが結婚相手を探さねばならないとなった時、実は子爵家にもいくつも結婚の打診があったのだ。
母上はその中から選べばいいと言っていたが、あのアベルが自分で探そうとしているのだからまずは放っておくべきだと子爵家の男たち全員一致の意見だった。
母上は自分に一番似てるせいか、手が掛かるからか、ちょっとアベルに過保護なんだよな。
まあ、子爵家全員アベルを放って置けないのはそうなんだけど。
とはいえさすがにビジイが来て早々離れに住まわせる事になったとセバスが報告に来た時は呆れたが。
しかしセバス曰くアベルはビジイを一目見て恋に落ちたのは間違いないと言った。
ただ感じた事ない気持ちに不安になったようだと。
要するにテンパったのだ。
ビジイは高貴なオーラを放つ美少女だった。
聞けばゴスルジカ公爵夫人に直接マナーを教えてもらったという。
ビジイは少し話せばわかるくらい頭がよく、繊細だ。
それゆえ、公爵夫人の立ち振る舞いを完璧にコピー出来てるんだろうな。
しかしあれだけの美少女だというのに自己評価は低い様に思う。
ゴスルジカ公爵夫妻に結婚相手として気に入られるということは公爵夫人としての素養があるということなんだがな。
先日デイビットと学園に見学に行った話を聞いたが、今まで話したこともない高位貴族が親しげに次々話しかけてきてビジイとの話のきっかけを探っていたそうだ。
中には今学園に通っている第三王子までいたらしい。
「兄の婚約者です。」といえば皆すぐ退散したらしいが、ビジイの訪問はちょっとした騒ぎになったらしかった。
その事をビジイに聞けば、「デイビット様はとても顔が広くお友達が多くて驚きました。」だってさ。
おいおいと思ったが、本気で自分目当てで皆が話しかけているだなんてこれっぽっちも思ってない。
「私は田舎娘ですから王都の洗練された皆様に気後れいたしました。」
と恥ずかしそうにしていた。
謙遜には見えず本心から自分を田舎娘と思っているんだろう。
これはこれは、アベルに劣らぬくらいの朴念仁だぞ?とすこし愉快になったくらいだった。
変人朴念仁と頑固朴念仁。
お似合いだと思うが、着々と婚姻解消へ向かっていろんな物事は進んでいた。
そんな折、ブリジットをデートに誘いたいとタウンハウスにやって来ていたと後からきいて、なんでその場に私を呼んでくれないのって思ったよ。
だって、あの澄ました顔で貴族の振る舞いしかしなかったビジイが部屋から出てこなくなったんだぞ。
「アベル兄さんはやっぱり変人だよ!サラッとキスして帰って行ったんだ!しれっと!僕たちいたんだよ?!バカかよ!」
デリカシーのない変人っぷりはブリジットの完璧を崩したらしい。
挙句、婚姻解消を了承した覚えはないとか言ったんだって。
ああ、その場面を想像しただけで笑えてくるな。
本当面白い男だよ、アベル。
「くっくっく」
笑っていると馬車が丁度我が家に到着したところだった。
見るともなしに見ていると、アベルが降りてくる。
そしてなぜかビジイが馬車から飛び出してきた。
「んん?」
ビジイはクルッとアベルに向き直ると……
バチーーーーン!
両手でアベルの顔を挟むようにビンタした。
「ぶは!!」
思わず吹き出した。
いやでもそりゃ笑うだろ。
さすがアベル。
何をどうすりゃデート終わりにビンタされんだよ。
立っていられず座り込んでしまった。
「あはは!はあ……だめだ……死ぬ……死んじゃう……」
笑い死ぬ!!!
そう思いながらバルコニーに出てタバコをふかしていた。
ふと、遠くに子爵家の馬車が見える。
(アベルとビジイだな。ちゃんと日が暮れる前に帰って来たのか。さーてどうなったかな?)
自分でも顔がニヤついたのがわかった。
「なんだ、そんなことになってたの?どうして私はいなかったんだ。」
そう言って大笑いしたのは弟のルイだ。
そりゃいないだろ、お前は侯爵家の婿入りでずっとそっちに住んでるんだから。
ルイにアベルが婚約者と子爵家タウンハウスに来た時の話を聞かせるとルイは大喜びだった。
嫉妬に燃えていたくせに、全く無自覚というのがルイのお気に召したのだ。
わかるよ、私も即座に揶揄ったもんな。
私達兄弟は仲がいい。
それは妙な連帯感から生まれたものだ。
アベルのご令嬢への塩対応。
この尻拭いを昔からルイと2人でしていた。
いや、本人は塩対応のつもりはないんだよな。
ただ秋波を送る様なご令嬢との相性がすこぶる悪いのだ。
そして小さな頃からどこにいても観察ばかりしているアベルに話しかける令嬢は大抵秋波を送っている。
尚且つアベルにご令嬢の繊細な心の機微などわかるはずないのだ。
モジモジするご令嬢にはもれなく「単刀直入に言ってくれ。」「話がないなら向こう行ってくれ。」ってデリカシー無いんだよな。
まあ泣くよな。
体裁も悪いし私かルイが慰める事になることが多かった。
「そうしてたらなぜか私達もモテるんだから、女性って本当わからないよね。」
とはルイの弁。
傷ついたご令嬢を慰めるからなのか、なぜかそれが令嬢に受けた。
まあ、悪い気はしないからいいけどな。
元々私達四兄弟は皆見目は悪くない。
かつて社交界の華と言われた母上に全員似たせいだろう。
中でもその血を色濃く引き継ぎ、ダントツで美男子なのがアベルなのだが、一番御令嬢に興味ないのは皮肉な話だ。
ルイが卒業した後は丁度入学したデイビットにお世話係が回った。
入学するまでデイビットはアベルの事を『ずっと研究ばかりしているから変人と言われている』と思ってたらしいから、入学後ちゃあんと訂正しておいた。
「どんな美しい高位の令嬢に対しても詰める様な喋り方の塩対応だから、変人っていわれてんだよ、あいつ。」ってな。
「ああ……納得……」
諦めたように漏らしたデイビットに思わず笑った。
そんなアベルが結婚相手を探さねばならないとなった時、実は子爵家にもいくつも結婚の打診があったのだ。
母上はその中から選べばいいと言っていたが、あのアベルが自分で探そうとしているのだからまずは放っておくべきだと子爵家の男たち全員一致の意見だった。
母上は自分に一番似てるせいか、手が掛かるからか、ちょっとアベルに過保護なんだよな。
まあ、子爵家全員アベルを放って置けないのはそうなんだけど。
とはいえさすがにビジイが来て早々離れに住まわせる事になったとセバスが報告に来た時は呆れたが。
しかしセバス曰くアベルはビジイを一目見て恋に落ちたのは間違いないと言った。
ただ感じた事ない気持ちに不安になったようだと。
要するにテンパったのだ。
ビジイは高貴なオーラを放つ美少女だった。
聞けばゴスルジカ公爵夫人に直接マナーを教えてもらったという。
ビジイは少し話せばわかるくらい頭がよく、繊細だ。
それゆえ、公爵夫人の立ち振る舞いを完璧にコピー出来てるんだろうな。
しかしあれだけの美少女だというのに自己評価は低い様に思う。
ゴスルジカ公爵夫妻に結婚相手として気に入られるということは公爵夫人としての素養があるということなんだがな。
先日デイビットと学園に見学に行った話を聞いたが、今まで話したこともない高位貴族が親しげに次々話しかけてきてビジイとの話のきっかけを探っていたそうだ。
中には今学園に通っている第三王子までいたらしい。
「兄の婚約者です。」といえば皆すぐ退散したらしいが、ビジイの訪問はちょっとした騒ぎになったらしかった。
その事をビジイに聞けば、「デイビット様はとても顔が広くお友達が多くて驚きました。」だってさ。
おいおいと思ったが、本気で自分目当てで皆が話しかけているだなんてこれっぽっちも思ってない。
「私は田舎娘ですから王都の洗練された皆様に気後れいたしました。」
と恥ずかしそうにしていた。
謙遜には見えず本心から自分を田舎娘と思っているんだろう。
これはこれは、アベルに劣らぬくらいの朴念仁だぞ?とすこし愉快になったくらいだった。
変人朴念仁と頑固朴念仁。
お似合いだと思うが、着々と婚姻解消へ向かっていろんな物事は進んでいた。
そんな折、ブリジットをデートに誘いたいとタウンハウスにやって来ていたと後からきいて、なんでその場に私を呼んでくれないのって思ったよ。
だって、あの澄ました顔で貴族の振る舞いしかしなかったビジイが部屋から出てこなくなったんだぞ。
「アベル兄さんはやっぱり変人だよ!サラッとキスして帰って行ったんだ!しれっと!僕たちいたんだよ?!バカかよ!」
デリカシーのない変人っぷりはブリジットの完璧を崩したらしい。
挙句、婚姻解消を了承した覚えはないとか言ったんだって。
ああ、その場面を想像しただけで笑えてくるな。
本当面白い男だよ、アベル。
「くっくっく」
笑っていると馬車が丁度我が家に到着したところだった。
見るともなしに見ていると、アベルが降りてくる。
そしてなぜかビジイが馬車から飛び出してきた。
「んん?」
ビジイはクルッとアベルに向き直ると……
バチーーーーン!
両手でアベルの顔を挟むようにビンタした。
「ぶは!!」
思わず吹き出した。
いやでもそりゃ笑うだろ。
さすがアベル。
何をどうすりゃデート終わりにビンタされんだよ。
立っていられず座り込んでしまった。
「あはは!はあ……だめだ……死ぬ……死んじゃう……」
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