最強は最高にわがままな証

早乙女 鰹

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第9章 覇王の追憶

第69話 滞在

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 焚火がバチバチと音を立てる中、真剣な表情をしてエミールが話をはじめる。

「貴方達に神を殺す覚悟はある?」

 問われたマナが小首を傾げる。

「神ねぇ...見たことも無いから何とも言えないわね、それで何て答えたの?」

 そして俺はあの時と同じ言葉を言う。


「殺す必要がないなら殺しはしない」
「そう...私は迷っている...私の信仰している神は【豊穣の女神フレイヤ】妹やお母さんも同じ、元々私は貴族の出身じゃないから...
 毎年豊穣を願っていた、でも、今回、神様は助けてはくれなかった....」
「確かに神って試練を与えるだけ与えて滅多に助けてはくれないのよね」
「一応いい神も居るんだがな」

 俺はエミールに向き直り昔と同じ言葉を告げる。

「神か....そういえば俺も会いたい神が1人だけ居るな」

 俺が神の名を告げようとすると意識を失っていたエルフの女戦士がゆっくりと瞼を開き目を覚ます。

「うぅここは...」
「ようやく目が覚めたのね、自分の名前はわかる?」
「え、えぇ...私はチェルディス・ウッティン...あなた達は?」

 上手く状況を把握できていないのかあまり慌ててはいない様子。

「私はエミール、ノエル王国から―――」

 ようやく状況が掴めたのか慌てて剣を握り剣先をこちらに向け鋭い目つきで睨む。
 向けられた剣先を指で摘まむ、剣を壊さないようにある程度の加減を加えて。

「まぁ、落ち着け」
「う、嘘どうして!?びくともしないなんて」

 動く訳ないだろ?誰が掴んでいると思う?そもそもここでまた戦闘を始められても非常にめんどくさい。

 そもそも助けてあげた側なのだからこれ以上敵対する必要がないならば相手の戦意を喪失させるのが一番手っ取り早い。
 つまり―――この剣を指先一つで木っ端微塵にすること。

「ありえない!!エルフの里に伝わる伝説の神話級武器なのに」
「チェルディス!お前では勝てないことを理解したか?理解できたならまずは俺たちの話をゆっくり聞くことだ」

 渋々といった表情をし大人しく座る、だが警戒はしているようで目線だけはじっとこちらを見続ける。

「まず、俺たちは魔王軍ではない、俺たちは人間の生き残りだ」

 目を見開き非常に困惑している。

「ありえない...もう、2年くらい前に滅んでいるのよ!?調査報告では既に滅んで決して消えない炎が国を包んでいるって」
「たまたま龍の都に行っていたからな、帰ってきたら国が灰になってたって訳だ」
「そう...ほんとに私の早とちりだったようね...ごめんなさい」

 深々と頭を下げる。

「ねぇグレース、この後はどうするの?」
「神に会いに行く、まぁその前にこのエルフの里の探索及び武器防具の調達だな」
「しばらくはここに滞在するってこと?」
「あぁ、お詫びに滞在を許されるんだ」

 そしてチェルディスは俺たちに里に住む事を進言する。

「拠点がないならしばらく里に住んでいかない?あなた達の旅の助けになれるかはまだ分からないけど、私達で力に出来る事ならなんでも力になるわ」
「なら一つ頼み事がある、この世界に神が顕現してないか調べてくれるか?」
「神族?顕現なんて聞いたことも無いわね...まぁ聞いてみるわ」

 ―――そしてあれから、3か月ほど滞在することになる、その間特に何かをする訳でも無くチェルディスの報告を待った。

 まぁ昔はエルフのお姉ちゃんが開いている酒場っていうかお店に入り浸っていたんだが、もちろんエミールには内緒で。
 久々の接待に俺の心が躍る様だった、強さがすべての世界で俺の強さはありとあらゆる者を魅了する程なのだ。

 モテ期到来!!万歳!!

 だが今回はそうするわけにはいかない...悲しい事だが俺には妻が居るのだ...これも甲斐性だといってごり押しすることもできるだろうが。
 出来るだけ不安な思いはさせたくないのでなるべく行かない様にしていた。

 行かないようにしていた....そう!実は昨日行ってきたのだ!!ほぼ毎日の様に客引きに会うのだ...そりゃあ心優しい俺は行ってしまうだろう?

 まぁだからこそ今正座させられているんだが...。

 流石に朝帰りはまずかった...いや酔っていたからこそ早めに帰ろうなんて思えなかったのだ...。
 アルコールには耐性がある、あれは一種の毒なので、毒無効があれば簡単に酒豪になれる。

 でも、それではせっかく注いでくれるエルフの姉ちゃんに申し訳がない...と言う事で毒無効スキルを切ったのだ。
 その結果、酔い潰れ朝帰りするという失態を犯したのだ。

 かれこれ2時間は正座をさせられている、日頃の不満が爆発したのかすごい色々と心にダメージが入りそうな事を言ってくるのだ...。
 戦闘を楽しみ過ぎだの、もっと加減をしろだの女の子に目移りしすぎだの。

 そろそろ許して欲しい、自分の悪行、(悪行とは思ってないが...)戦闘を楽しんで何が悪い...マナも俺と同じ力を手にしたら手加減の大変さに気が付いてくれるだろう。
 目移りしすぎって...エルフの姉ちゃんはかわいいんだから仕方ないだろ!!それに終いには歳を考えろだと?
 エルフの姉ちゃんは若く見えても何千年も生きている、いわばロリババァばかりだ、だけど俺にはたいして関係ない尺してくれるなら年齢なんて関係ない可愛いければなんでもありだ。

 それに一番問題なのはそんな年齢に文句を言ってる割に当の本人は何万年も生きている規格外のババァだ、若い子と遊んで何が悪い!?それにここはゲームの様な世界、現実と近しいつくりをしているが...相手は多少の感情を持ったNPCなのだから...。

 試しに反論してみよう。

「若い子と遊んで何が悪いんだ!?それに年齢なんて対して俺は気にしてないんだ」
「若すぎるって言ってるのよ!!たかが数千年の小娘に手を出して心が痛まないの!?」

 そっち?!てっきり年上すぎるのかと思っていたが...。

「はぁ...マナ...俺を何歳だと思っているんだ...」
「それは...私と同じかそれ以上だと思ってるけど...」

 成る程、これではっきり分かった、それは確かに爺さんが年端もいかない少女と遊んでいたら怒るのはわかる。
 実際は逆だ、おばあちゃんが年端も行かない小僧の俺と遊んでいるに過ぎない。
 まったく、俺の年齢を知らないなんてな。

「俺は20歳だぞ?まだまだ遊びたい盛りなんだ....」
「は?」

 凄い剣幕で俺にキレ散らかす、だって俺は体の時を止めてるから永遠に20歳なのだ、マナとは違って俺は不老の存在じゃない、単純に時を止めているから俺は若いのだ。
 それに...俺は人間なのだから。

「俺は時を止めているからな、永遠に20歳だぞ?」
「う、嘘...それじゃあ私....そんな小童こわっぱに惚れて子作りして...」

 誰が小童じゃ!!

 コンコン

 突然のノックに入るように告げる、この際マナが動揺しているのはあえて無視だ。
 開かれた扉から顔を出したのはチェルディスだった。

「まずは報告...残念だけど神族の情報は得られなかったわ...ごめんなさい、だけど龍の都の祭祀ならきっとわかると思うわ!」

【龍の都】そこは眠った赤龍を祭る地だと言うつまり俺たちは眠った狸爺を叩き起こしに行くわけだな。

 もじもじしながら何かを訴え掛ける様に俺をじっと見つめるチェルディス。

「あの...私もついて行ってもいいかしら...だめ...かな?」
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