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第1-3章 徳妃付侍女→紅玉宮妃(新版)
「父の許しを得なければ」
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「暁明様。わたしと添い遂げたいって気持ちに変わりはありませんか?」
「天地がひっくり返っても変わらないね」
「……では、わたしについてまず知っていただきたい事実があります」
「……分かった。聞くよ」
日を改めて再び後宮にやってきた暁明様は少し浮かれ気味だった。曰く、ほぼ毎日わたしに会いに来るためだけに時間を捻出していたそうだ。
光栄と言うか恐れ多いと言おうか、それでも嬉しいと感じてしまうのだからもうわたしはどうしようもない。
けれど、そんな夢心地だけでやっていけるほど現実は甘くない。きちんと置かれた環境、立場を把握して上手く立ち回らなければすぐさま足元をすくわれてしまう。それが権力争いが渦巻く宮廷という場所なんだから。
「わたしは以前、暁明様には出身地は伝えてましたよね。それからどんな感じに育ったか」
「うん、それは聞かせてくれたね」
そう長く留まらず暇を頂くつもりだったから、いらない諍いを招きかねない実家については意図的にぼかしていた。けれどずっとこの方と一緒にいたいと思ってしまった以上、覚悟を決めて打ち明けよう。
「わたしは辰雪慧。北伯候の娘です」
告げられた暁明様は少しの間考え込んでから再びわたしを見上げた。
先程の浮ついた感情は鳴りを潜め、そして普段からわたしに見せてくださった優しさもこの時ばかりは自重し、真剣な表情をしていた。
諸侯王。それは郡国制を採用する春華国において地方を守る有力者を指す。
皇帝を頂点とする中央への集権が進む中でも四名の諸侯王が残っており、それぞれ東西南北の端で国外からの侵略を阻止する役目を担っている。
現在この諸侯王の一族と皇族は強い血の繋がりがある。春華国の歴史を紐解いてもこの四家いずれからも妃を輩出しなかった代は無く、皇后には例外無く諸侯王一族の出身者が名を連ねている。
「それでも暁明様はわたしを選んでくださいますか?」
よって、問おう。それでも貴方様はわたしを欲するのか、と。
諸侯王の娘を妃とすれば皇位継承争いに名乗り出たとみなされてもおかしくない。余計な政局争いに巻き込まれたくないと言っていましたよね。個人的感情に流されて危険を冒してほしくない、とも願いたかった。
「勿論だよ」
それでも、暁明様は迷いなく答えてくれた。
ああ、暁明様。お恨み申し上げます。
御身のためにも突き放すべきなのにわたしは貴方様から離れたくない。
わたし以上の素敵な女性がいる筈なのにわたし以外を見てほしくない。
どうして貴方様の全てを欲したいと思うほどの恋心を植え付けたんですか。
「ありがたき……幸せです」
わたしは……もう暁明様の虜だ。
■■■
「すみません。お見苦しいところをお見せしました」
「どこが? どんな雪慧だって可愛いのに」
「……っ。とにかく、北伯候の一族の者は成人になったら春華国中を旅して見識を広げなければならない、って掟があるんです」
「それで路銀が必要になるからって理由で後宮務めを始めたんだよね」
感動が収まったあたりで話を再開した。
さすがに中身がここまで重大になると皆の視線がある広場では出来ず、暁明様にはわたしの部屋に来ていただいた。私物を紅玉宮まで運ばなきゃね、と彼が述べた件は未来の自分に棚上げすることにした。
「あいにくわたしは北から帝都までの旅しか果たしていません。つまり、一族の女として認められない可能性が高いです」
「そうなると僕との婚姻も北伯候一族に認められない可能性が出てくるわけか」
「さすがに父達を敵に回したくはありません。給金も十分頂きましたし、一旦旅の再開を許していただければなぁ、と」
「駄目に決まってるじゃん。もう雪慧の一人旅なんて許さないし、何より僕が雪慧と離れたくない」
暁明様はわたしの両手を取ってわたしへと身を寄せた。
彼の手の温もりがとても心地よく、どうも落ち着かない。部屋の中がとても静かだから自分の心臓の鼓動と彼だけに意識が集中してしまう。
「旅に同行しようにも僕も金剛兄が後を継ぐまで帝都から離れたくないし……」
「父にはお伺いをたてるつもりですが、どんな回答が返ってくるかは分かりません」
「僕や母上からも文を書いてみる、とかは?」
「徳妃様からは昨晩推薦の文をいただき、今朝わたしの手紙と一緒に送り出しました」
妃が成り上がりたいのは何も自分が成功したいからばかりでなく、実家のさらなる反映にも繋がるからだ。皇子たる息子に嫁がせる女を選ぶにあたっては実家に利益をもたらすかも重要だから。徳妃様のご実家と北伯候一族だと……微妙って気がする。
だから実家を理由にわたしは認められないかもしれないと不安を抱いていたら、徳妃様はしばらく考えた後、頭から複雑な事情を払うかのように頭を振った。そしてわたしに向けて自信を込めて笑いを浮かべた。
「雪慧の親は妾が何とか説得しよう」
「いいんですか? 恐れながら申し上げますが――」
「良い。この際妾と貴様双方の実家については考えないものとしよう。他ならぬ紅玉宮のためじゃからな」
「……ありがとうございます。徳妃様から言っていただければ百人力です」
「たわけ。百人力どころか千人力だぞ。そもそも北伯侯が断るわけが無いからな」
「それは一体どういうことですか?」
「なんじゃ、知らんかったのか? 北伯侯にはな――」
そんな感じの会話をしてわたしと徳妃様は北伯候宛に手紙を書いたんだった。
「なにそれずるい。僕だって義理の父になる人に手紙書きたかったんだけれど」
頬を膨らませてふてくされる仕草はまだ子供っぽさが抜けていない。今は可愛いと思う顔立ちもあと数年……いや、もしかしたら一年も経たずに凛々しくなると想像するとつい顔がほころんでしまった。
「それより前に暁明様は紅玉宮殿下として許しを頂かなきゃいけない相手がいらっしゃるでしょう」
「別に皇位継承権順位低いし、あっさり認められると思うんだけれどなぁ」
「楽観視しておいて駄目だったら身も蓋もありませんって。で、いつお目通りに伺うつもりで?」
「昨日帰った後すぐに申請しておいたけれど、会えるのはだいぶ先かなあ」
行動が早い。いや、親に手紙を出したわたしは人のことは言えないか。
■■■
皇帝へのお目通りがかなったのはそれから少し経ってからだった。
謁見にあたっての正装は暁明様が揃えてくださった。お抱えの仕立て屋による採寸から始まって髪飾りや化粧、お肌の手入れを含めて全身に渡り磨き上げられたと記憶している。鏡の前の自分を目の当たりにしてこれがわたしかと驚いたものだ。
で、肝心の謁見は拍子抜けするほどの順調に終わった。既に暁明様の意向は皇帝に伝わっていたらしいので皇子妃選定のための儀礼的なものだろうと結論付けた。
わたしは自己紹介したっきりで、全て暁明様が発言をしていた。格好良かった。
「それにしても、だ。紅玉宮が恋に落ちるとはな。最も無縁だと思っておったぞ」
「自分でも意外に思っています。それほど素敵な女性だったのでしょう」
「これからは二人して春華国の為に尽くすように」
「ははっ。天に誓い、雪慧と共に全身全霊を尽くす所存です」
こうして皇帝からも婚姻の許可をいただけたわたしだったけれど、その時点ではまだ不安が拭いきれなかった。
だってわたしの親からの返事が届いていなかったから。無慈悲にも却下を食らう悪夢だって何度見たことか。
そうして待ちに待った返信が届いたのはもう成人の儀まで両手で数えられるまでに日が迫った頃だった。
「じゃあ、開けます」
「……うん」
唾を飲み込みながら封を破って文を広げたわたしは、そこに書かれていた実の父から許可するとの答えが綴られていた。
感動するあまりわたしは歓喜の声を上げて暁明様に抱きついてはしゃいでしまった。
「やりましたよ暁明様!」
「やったね雪慧!」
「よかった……! これでわたし達、夫婦になれます!」
「ああ。これからも末永くよろしく、ってやつだね」
これでわたし達を阻むものは何も無くなった。
ただ、一つ気がかりな追伸が書かれていたのは心に留めておいた。
『女狐に注意せよ』
この言葉の重要さが分かるのはこの時よりだいぶ後の話だった。
「天地がひっくり返っても変わらないね」
「……では、わたしについてまず知っていただきたい事実があります」
「……分かった。聞くよ」
日を改めて再び後宮にやってきた暁明様は少し浮かれ気味だった。曰く、ほぼ毎日わたしに会いに来るためだけに時間を捻出していたそうだ。
光栄と言うか恐れ多いと言おうか、それでも嬉しいと感じてしまうのだからもうわたしはどうしようもない。
けれど、そんな夢心地だけでやっていけるほど現実は甘くない。きちんと置かれた環境、立場を把握して上手く立ち回らなければすぐさま足元をすくわれてしまう。それが権力争いが渦巻く宮廷という場所なんだから。
「わたしは以前、暁明様には出身地は伝えてましたよね。それからどんな感じに育ったか」
「うん、それは聞かせてくれたね」
そう長く留まらず暇を頂くつもりだったから、いらない諍いを招きかねない実家については意図的にぼかしていた。けれどずっとこの方と一緒にいたいと思ってしまった以上、覚悟を決めて打ち明けよう。
「わたしは辰雪慧。北伯候の娘です」
告げられた暁明様は少しの間考え込んでから再びわたしを見上げた。
先程の浮ついた感情は鳴りを潜め、そして普段からわたしに見せてくださった優しさもこの時ばかりは自重し、真剣な表情をしていた。
諸侯王。それは郡国制を採用する春華国において地方を守る有力者を指す。
皇帝を頂点とする中央への集権が進む中でも四名の諸侯王が残っており、それぞれ東西南北の端で国外からの侵略を阻止する役目を担っている。
現在この諸侯王の一族と皇族は強い血の繋がりがある。春華国の歴史を紐解いてもこの四家いずれからも妃を輩出しなかった代は無く、皇后には例外無く諸侯王一族の出身者が名を連ねている。
「それでも暁明様はわたしを選んでくださいますか?」
よって、問おう。それでも貴方様はわたしを欲するのか、と。
諸侯王の娘を妃とすれば皇位継承争いに名乗り出たとみなされてもおかしくない。余計な政局争いに巻き込まれたくないと言っていましたよね。個人的感情に流されて危険を冒してほしくない、とも願いたかった。
「勿論だよ」
それでも、暁明様は迷いなく答えてくれた。
ああ、暁明様。お恨み申し上げます。
御身のためにも突き放すべきなのにわたしは貴方様から離れたくない。
わたし以上の素敵な女性がいる筈なのにわたし以外を見てほしくない。
どうして貴方様の全てを欲したいと思うほどの恋心を植え付けたんですか。
「ありがたき……幸せです」
わたしは……もう暁明様の虜だ。
■■■
「すみません。お見苦しいところをお見せしました」
「どこが? どんな雪慧だって可愛いのに」
「……っ。とにかく、北伯候の一族の者は成人になったら春華国中を旅して見識を広げなければならない、って掟があるんです」
「それで路銀が必要になるからって理由で後宮務めを始めたんだよね」
感動が収まったあたりで話を再開した。
さすがに中身がここまで重大になると皆の視線がある広場では出来ず、暁明様にはわたしの部屋に来ていただいた。私物を紅玉宮まで運ばなきゃね、と彼が述べた件は未来の自分に棚上げすることにした。
「あいにくわたしは北から帝都までの旅しか果たしていません。つまり、一族の女として認められない可能性が高いです」
「そうなると僕との婚姻も北伯候一族に認められない可能性が出てくるわけか」
「さすがに父達を敵に回したくはありません。給金も十分頂きましたし、一旦旅の再開を許していただければなぁ、と」
「駄目に決まってるじゃん。もう雪慧の一人旅なんて許さないし、何より僕が雪慧と離れたくない」
暁明様はわたしの両手を取ってわたしへと身を寄せた。
彼の手の温もりがとても心地よく、どうも落ち着かない。部屋の中がとても静かだから自分の心臓の鼓動と彼だけに意識が集中してしまう。
「旅に同行しようにも僕も金剛兄が後を継ぐまで帝都から離れたくないし……」
「父にはお伺いをたてるつもりですが、どんな回答が返ってくるかは分かりません」
「僕や母上からも文を書いてみる、とかは?」
「徳妃様からは昨晩推薦の文をいただき、今朝わたしの手紙と一緒に送り出しました」
妃が成り上がりたいのは何も自分が成功したいからばかりでなく、実家のさらなる反映にも繋がるからだ。皇子たる息子に嫁がせる女を選ぶにあたっては実家に利益をもたらすかも重要だから。徳妃様のご実家と北伯候一族だと……微妙って気がする。
だから実家を理由にわたしは認められないかもしれないと不安を抱いていたら、徳妃様はしばらく考えた後、頭から複雑な事情を払うかのように頭を振った。そしてわたしに向けて自信を込めて笑いを浮かべた。
「雪慧の親は妾が何とか説得しよう」
「いいんですか? 恐れながら申し上げますが――」
「良い。この際妾と貴様双方の実家については考えないものとしよう。他ならぬ紅玉宮のためじゃからな」
「……ありがとうございます。徳妃様から言っていただければ百人力です」
「たわけ。百人力どころか千人力だぞ。そもそも北伯侯が断るわけが無いからな」
「それは一体どういうことですか?」
「なんじゃ、知らんかったのか? 北伯侯にはな――」
そんな感じの会話をしてわたしと徳妃様は北伯候宛に手紙を書いたんだった。
「なにそれずるい。僕だって義理の父になる人に手紙書きたかったんだけれど」
頬を膨らませてふてくされる仕草はまだ子供っぽさが抜けていない。今は可愛いと思う顔立ちもあと数年……いや、もしかしたら一年も経たずに凛々しくなると想像するとつい顔がほころんでしまった。
「それより前に暁明様は紅玉宮殿下として許しを頂かなきゃいけない相手がいらっしゃるでしょう」
「別に皇位継承権順位低いし、あっさり認められると思うんだけれどなぁ」
「楽観視しておいて駄目だったら身も蓋もありませんって。で、いつお目通りに伺うつもりで?」
「昨日帰った後すぐに申請しておいたけれど、会えるのはだいぶ先かなあ」
行動が早い。いや、親に手紙を出したわたしは人のことは言えないか。
■■■
皇帝へのお目通りがかなったのはそれから少し経ってからだった。
謁見にあたっての正装は暁明様が揃えてくださった。お抱えの仕立て屋による採寸から始まって髪飾りや化粧、お肌の手入れを含めて全身に渡り磨き上げられたと記憶している。鏡の前の自分を目の当たりにしてこれがわたしかと驚いたものだ。
で、肝心の謁見は拍子抜けするほどの順調に終わった。既に暁明様の意向は皇帝に伝わっていたらしいので皇子妃選定のための儀礼的なものだろうと結論付けた。
わたしは自己紹介したっきりで、全て暁明様が発言をしていた。格好良かった。
「それにしても、だ。紅玉宮が恋に落ちるとはな。最も無縁だと思っておったぞ」
「自分でも意外に思っています。それほど素敵な女性だったのでしょう」
「これからは二人して春華国の為に尽くすように」
「ははっ。天に誓い、雪慧と共に全身全霊を尽くす所存です」
こうして皇帝からも婚姻の許可をいただけたわたしだったけれど、その時点ではまだ不安が拭いきれなかった。
だってわたしの親からの返事が届いていなかったから。無慈悲にも却下を食らう悪夢だって何度見たことか。
そうして待ちに待った返信が届いたのはもう成人の儀まで両手で数えられるまでに日が迫った頃だった。
「じゃあ、開けます」
「……うん」
唾を飲み込みながら封を破って文を広げたわたしは、そこに書かれていた実の父から許可するとの答えが綴られていた。
感動するあまりわたしは歓喜の声を上げて暁明様に抱きついてはしゃいでしまった。
「やりましたよ暁明様!」
「やったね雪慧!」
「よかった……! これでわたし達、夫婦になれます!」
「ああ。これからも末永くよろしく、ってやつだね」
これでわたし達を阻むものは何も無くなった。
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