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第2-2章 後宮下女→皇后(新版)
「さらば帝都、また戻ってきます」
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――と、いった具合で現在に至る。
目下次の皇帝の座に近いとされるのが武官の支持を得る第二皇子、文官に支持される第三皇子、丞相達有力者に支援される第二皇女および第四皇子。そこに諸侯王になった兄様に嫁いだ第一皇女が割り込む形になった。
「そんな、何かの間違いです! 兄様が義姉様を担ぎ上げて帝位の簒奪を目論むだなんて!」
「手紙には報告みたいに淡々と文章が書かれてるだけで、どうしてお義兄さんがそうしたかが分からないね。どうする? 帝都脱出は事の真意を問い質してからにする?」
「……それだと間に合いません。おそらく北伯侯が挙兵するとの情報が帝都に伝わってくるのはこの数日の間。実の娘であるわたしはおろか、暁明様まで謀反を疑われて牢屋行きになりかねませんね」
「じゃあ北に逃げる、で決まりだね。荷造りをとっくの昔に終わってるし、今晩にでも出発しよう」
手紙を受け取ってからはとても慌ただしかった。主の不在を少しでも長い間悟られよう紅玉宮に影武者を置いたり、必要最低限の荷物を一旦後宮まで運び入れたり。準備を進める間も暁明様は普段通りに公務をこなしたり。
「紅玉宮殿下。この宮の留守は我々にお任せください」
「でも、もし青玉兄がまた近衛兵を引き連れてきたら、今度は言い逃れ出来ないよ」
「紅玉宮殿下のためでしたら本望でございます。どうかご無事で」
「……分かった。そう言うと思って僕の妃から伝言を頼まれてる。取り調べを受けたら全部自分の命令だったって言え、だってさ」
「……勿体ないお言葉です」
紅玉宮で働く者達には申し訳なかったけれど犠牲になってもらう他無かった。とにかく全部わたしが紅玉宮の皆も暁明様もそそのかしたせいだ、とみなされて寛大な処置になることを願うしかなかった。
一方、後宮では普段どおりの時間が過ぎていった。徳妃様は兄様から勧められた避難を固辞し、後宮に留まる決断を下した。代わりに文月を同行させるから幼い第四皇女を連れて行け、と言われた。
「差し出せる首は残しておかんと駄目じゃろう。この年寄り一人で済むなら安いものだろうて」
「でも、もし僕達の逃亡を補助したからって罪に問われたら……!」
「ま、当然大人しく従うだけではないぞ。妾には大いなる野望があるからな」
「野望?」
暁明様の必死の説得も虚しく、徳妃様の決意は揺るがなかった。更に兄として第四皇女を守るよう命じて退路を塞ぐ徹底ぶり。もしかしたら暁明様は強かな母に一生勝てないかもしれない、とふと思った。
徳妃様は半ば涙目な暁明様にかがむよう促した。膝をついてようやく彼と同じ目線になった徳妃様は、優しく微笑んでから息子を抱き寄せた。もはや体格差は一目瞭然、けれどとても包容力があるように感じた。
「妾は、紅玉宮が皇帝になった姿が見たいぞ」
「……!? 僕が、皇帝に……?」
「皇太子殿下が健在だった頃は諦めておったのだがな。天は妾……いや、暁明に微笑んだのやもしれぬな」
「母上……」
「妾はずっと帰りを待っておるからな」
「……うん」
と、言ったわけで最終的に旅立つ者は暁明様、わたし、第四皇女、文月、それから魅音になった。少数の方が小回りが効くしわたしや文月が戦えるので護衛も不要だし。あとわたしと文月は男装、暁明様は引き続き女装して追っ手の目をごまかすことになった。
「それじゃあ紅玉宮殿下や妃様をお世話する者がいないじゃないですか! あたしも同行します!」
なお、夜鈴に事情を説明したら同行すると言って聞かなくて、結局わたしの方が折れるしかなかった。だって男装を条件として突き付けたらあっさり飲んだんだもの。仕方がないじゃないの。
さあ、出発しよう。
暁明様とわたしが送る幸せな平穏を今一度掴むために。
■■■
じゃあどうやって帝都を脱出するか、については色々と相談した結果、乗合馬車を使うことにした。闇夜に紛れて抜け出る手もあったけれど、帝都から次の宿泊地までの道のりを真っ暗な中進むのは厳しい、との判断があったためだ。
「えへへー」
「ん? どうしたのよ夜鈴?」
「いえ。帝都にやってきた時と丁度逆だなぁ、って思いまして」
「あー。言われてみれば確かにそうね」
一行は帝都を出発する遠距離馬車の駅に来ていた。皇帝を失っても帝都は活気に満ち溢れていて、人の往来も激しかった。ひっきりなしに地方へ向けて出発、地方から到着する馬車で入り乱れていた。
わたし達は予定通り女は男装、男は女装している。わたしと文月は雇われ傭兵、夜鈴は召使い、暁明様と第四皇女は田舎の村長の子、という設定だ。容赦無く小汚くしたのはご容赦願いたい。
……で、魅音の変装が一番大変だった。顔は焼け爛れた風の厚化粧でごまかし、身体の線は野暮ったい服で覆い隠した。なのに仕草一つ一つが魔性の魅力を放っていたから、徳妃様と侍女頭の指導で芋っぽい演技を身体に叩き込んだのだった。
「……ここまで注目されないのは何だか新鮮ですね」
そのかいもあって魅音には誰も近寄らない。むしろ半分以上を覆う火傷痕で歪む顔を一目見ると嫌そうな顔をしてすぐさま遠ざかっていく。残り数割がなお美しかろうと、だ。あまりにも差が大きすぎるが故に気持ち悪さを覚えるのかしらね?
「もう妙なこだわりは捨てて人を惹き付けないような努力をしてはどうですか?」
「残念ですがそれは出来ません。しないのではなくて、ね」
こんな楽な解決方法があるのに魅音はなおも自分の外見を捨てようとしない。それは単なる我儘や意固地を通り越して信念すら感じられた。
「それは、皇帝陛下に向けて言い放った『あの方』のためですか?」
「はい。『あの方』はわたしをただの人として愛してくださりました。呪いのように忌々しいですが、褒めていただいた容姿も含めてわたしなんです」
思い当たる節があったので切り出すと、魅音は嬉しそうに微笑んだ。何か親近感を覚えると思ったら、鏡の向こうのわたしが暁明様を想っている時に浮かべる、恋する乙女の表情だった。
「そろそろ『あの方』について教えてほしいんですけど、駄目ですか?」
「……。そうですね。ここまで来てしまったら突き進むしかありませんし、雪慧様は『あの人』じゃない、と信じます。帝都から離れたら話しましょう」
「『あの人』……? もしや、女狐と呼ばれる方々を仰っているので?」
「しっ。どこに聞き耳立てられているか分かりません。今はここまでにしましょう」
切符は文月が購入してきた。彼女が戻ってくる途中に視線を向けた先にいたのは、それなりに裕福そうな格好をした兄妹とお供の者達。兄の腕には中々の美人な女が惚気けるようにしなだれていた。お熱いことで。
「彼らは新婚さんですかね?」
「あの方々は紅玉宮殿下ご夫妻だ」
「……はい?」
「お忍びで危険な帝都を離れて西に向かう手筈になっている。頭数も我々に揃えた」
成程、所謂偽第五皇子御一行様、といったところか。暁明様の不在が発覚してもまずは彼らが疑われるように、と徳妃様が手配したそうだ。どれだけ人脈が有るんだ、と今更ながらあの方には恐れ入った。
そうして不安が入り混じりながらわたし達は出発した。帝都を囲む城壁の門での手続きは特に支障なく通過出来、暁明様と出会ってからずっと過ごしてきた帝都を後にした。視界から帝都が見えなくなった辺りでようやく少し緊張が解けた。
「じゃあ魅音様、そろそろ恋話してくださいよ。ずっと聞きたかったんですから」
「……覚えていたんですか。まあ、別に面白くもないですが、退屈しのぎにでも」
馬車はとても揺れるので、遠くの景色を眺め続けるか、旅の仲間と喋り合って気分を紛らわすのが乗り物酔いに効果的だ……との表向きの理由もあるけれど、単に魅音ほど絶世の美少女が惚れた相手が知りたかったのもあった。
「まず前提として、わたしが春華国を度々騒がせた傾国の悪女であることは念頭に入れておいてください」
話の出だしから明後日の方向に飛んだけれど、それがわたしや夜鈴以外の興味を引いたらしく、暁明様と第四皇女が雑談を中断して魅音に注目した。文月すら周囲を警戒しつつ聞き耳立てていた。
「度々、と表現したのはわたしが天から押し付けられた能力のせいです」
「まさか……」
「ええ。わたしは転生の能力によって傾国の悪女として生まれ、破滅し、また生まれ変わる、を繰り返しているんです」
そして、彼女の口から衝撃の事実が語られた。
目下次の皇帝の座に近いとされるのが武官の支持を得る第二皇子、文官に支持される第三皇子、丞相達有力者に支援される第二皇女および第四皇子。そこに諸侯王になった兄様に嫁いだ第一皇女が割り込む形になった。
「そんな、何かの間違いです! 兄様が義姉様を担ぎ上げて帝位の簒奪を目論むだなんて!」
「手紙には報告みたいに淡々と文章が書かれてるだけで、どうしてお義兄さんがそうしたかが分からないね。どうする? 帝都脱出は事の真意を問い質してからにする?」
「……それだと間に合いません。おそらく北伯侯が挙兵するとの情報が帝都に伝わってくるのはこの数日の間。実の娘であるわたしはおろか、暁明様まで謀反を疑われて牢屋行きになりかねませんね」
「じゃあ北に逃げる、で決まりだね。荷造りをとっくの昔に終わってるし、今晩にでも出発しよう」
手紙を受け取ってからはとても慌ただしかった。主の不在を少しでも長い間悟られよう紅玉宮に影武者を置いたり、必要最低限の荷物を一旦後宮まで運び入れたり。準備を進める間も暁明様は普段通りに公務をこなしたり。
「紅玉宮殿下。この宮の留守は我々にお任せください」
「でも、もし青玉兄がまた近衛兵を引き連れてきたら、今度は言い逃れ出来ないよ」
「紅玉宮殿下のためでしたら本望でございます。どうかご無事で」
「……分かった。そう言うと思って僕の妃から伝言を頼まれてる。取り調べを受けたら全部自分の命令だったって言え、だってさ」
「……勿体ないお言葉です」
紅玉宮で働く者達には申し訳なかったけれど犠牲になってもらう他無かった。とにかく全部わたしが紅玉宮の皆も暁明様もそそのかしたせいだ、とみなされて寛大な処置になることを願うしかなかった。
一方、後宮では普段どおりの時間が過ぎていった。徳妃様は兄様から勧められた避難を固辞し、後宮に留まる決断を下した。代わりに文月を同行させるから幼い第四皇女を連れて行け、と言われた。
「差し出せる首は残しておかんと駄目じゃろう。この年寄り一人で済むなら安いものだろうて」
「でも、もし僕達の逃亡を補助したからって罪に問われたら……!」
「ま、当然大人しく従うだけではないぞ。妾には大いなる野望があるからな」
「野望?」
暁明様の必死の説得も虚しく、徳妃様の決意は揺るがなかった。更に兄として第四皇女を守るよう命じて退路を塞ぐ徹底ぶり。もしかしたら暁明様は強かな母に一生勝てないかもしれない、とふと思った。
徳妃様は半ば涙目な暁明様にかがむよう促した。膝をついてようやく彼と同じ目線になった徳妃様は、優しく微笑んでから息子を抱き寄せた。もはや体格差は一目瞭然、けれどとても包容力があるように感じた。
「妾は、紅玉宮が皇帝になった姿が見たいぞ」
「……!? 僕が、皇帝に……?」
「皇太子殿下が健在だった頃は諦めておったのだがな。天は妾……いや、暁明に微笑んだのやもしれぬな」
「母上……」
「妾はずっと帰りを待っておるからな」
「……うん」
と、言ったわけで最終的に旅立つ者は暁明様、わたし、第四皇女、文月、それから魅音になった。少数の方が小回りが効くしわたしや文月が戦えるので護衛も不要だし。あとわたしと文月は男装、暁明様は引き続き女装して追っ手の目をごまかすことになった。
「それじゃあ紅玉宮殿下や妃様をお世話する者がいないじゃないですか! あたしも同行します!」
なお、夜鈴に事情を説明したら同行すると言って聞かなくて、結局わたしの方が折れるしかなかった。だって男装を条件として突き付けたらあっさり飲んだんだもの。仕方がないじゃないの。
さあ、出発しよう。
暁明様とわたしが送る幸せな平穏を今一度掴むために。
■■■
じゃあどうやって帝都を脱出するか、については色々と相談した結果、乗合馬車を使うことにした。闇夜に紛れて抜け出る手もあったけれど、帝都から次の宿泊地までの道のりを真っ暗な中進むのは厳しい、との判断があったためだ。
「えへへー」
「ん? どうしたのよ夜鈴?」
「いえ。帝都にやってきた時と丁度逆だなぁ、って思いまして」
「あー。言われてみれば確かにそうね」
一行は帝都を出発する遠距離馬車の駅に来ていた。皇帝を失っても帝都は活気に満ち溢れていて、人の往来も激しかった。ひっきりなしに地方へ向けて出発、地方から到着する馬車で入り乱れていた。
わたし達は予定通り女は男装、男は女装している。わたしと文月は雇われ傭兵、夜鈴は召使い、暁明様と第四皇女は田舎の村長の子、という設定だ。容赦無く小汚くしたのはご容赦願いたい。
……で、魅音の変装が一番大変だった。顔は焼け爛れた風の厚化粧でごまかし、身体の線は野暮ったい服で覆い隠した。なのに仕草一つ一つが魔性の魅力を放っていたから、徳妃様と侍女頭の指導で芋っぽい演技を身体に叩き込んだのだった。
「……ここまで注目されないのは何だか新鮮ですね」
そのかいもあって魅音には誰も近寄らない。むしろ半分以上を覆う火傷痕で歪む顔を一目見ると嫌そうな顔をしてすぐさま遠ざかっていく。残り数割がなお美しかろうと、だ。あまりにも差が大きすぎるが故に気持ち悪さを覚えるのかしらね?
「もう妙なこだわりは捨てて人を惹き付けないような努力をしてはどうですか?」
「残念ですがそれは出来ません。しないのではなくて、ね」
こんな楽な解決方法があるのに魅音はなおも自分の外見を捨てようとしない。それは単なる我儘や意固地を通り越して信念すら感じられた。
「それは、皇帝陛下に向けて言い放った『あの方』のためですか?」
「はい。『あの方』はわたしをただの人として愛してくださりました。呪いのように忌々しいですが、褒めていただいた容姿も含めてわたしなんです」
思い当たる節があったので切り出すと、魅音は嬉しそうに微笑んだ。何か親近感を覚えると思ったら、鏡の向こうのわたしが暁明様を想っている時に浮かべる、恋する乙女の表情だった。
「そろそろ『あの方』について教えてほしいんですけど、駄目ですか?」
「……。そうですね。ここまで来てしまったら突き進むしかありませんし、雪慧様は『あの人』じゃない、と信じます。帝都から離れたら話しましょう」
「『あの人』……? もしや、女狐と呼ばれる方々を仰っているので?」
「しっ。どこに聞き耳立てられているか分かりません。今はここまでにしましょう」
切符は文月が購入してきた。彼女が戻ってくる途中に視線を向けた先にいたのは、それなりに裕福そうな格好をした兄妹とお供の者達。兄の腕には中々の美人な女が惚気けるようにしなだれていた。お熱いことで。
「彼らは新婚さんですかね?」
「あの方々は紅玉宮殿下ご夫妻だ」
「……はい?」
「お忍びで危険な帝都を離れて西に向かう手筈になっている。頭数も我々に揃えた」
成程、所謂偽第五皇子御一行様、といったところか。暁明様の不在が発覚してもまずは彼らが疑われるように、と徳妃様が手配したそうだ。どれだけ人脈が有るんだ、と今更ながらあの方には恐れ入った。
そうして不安が入り混じりながらわたし達は出発した。帝都を囲む城壁の門での手続きは特に支障なく通過出来、暁明様と出会ってからずっと過ごしてきた帝都を後にした。視界から帝都が見えなくなった辺りでようやく少し緊張が解けた。
「じゃあ魅音様、そろそろ恋話してくださいよ。ずっと聞きたかったんですから」
「……覚えていたんですか。まあ、別に面白くもないですが、退屈しのぎにでも」
馬車はとても揺れるので、遠くの景色を眺め続けるか、旅の仲間と喋り合って気分を紛らわすのが乗り物酔いに効果的だ……との表向きの理由もあるけれど、単に魅音ほど絶世の美少女が惚れた相手が知りたかったのもあった。
「まず前提として、わたしが春華国を度々騒がせた傾国の悪女であることは念頭に入れておいてください」
話の出だしから明後日の方向に飛んだけれど、それがわたしや夜鈴以外の興味を引いたらしく、暁明様と第四皇女が雑談を中断して魅音に注目した。文月すら周囲を警戒しつつ聞き耳立てていた。
「度々、と表現したのはわたしが天から押し付けられた能力のせいです」
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