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第二部
ディアナside③
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「あら、珍しいわね」
シャロン様もわたしと同じように窓の外を見てポツリと呟いた。
何度見ても外は明るいわ。
「こちらにお呼びしてもよろしいでしょうか?」
バートの言葉にシャロン様はこちらをチラッと見て頷いて返事を返すと、しばらくしてフローラが姿を現した。
「ただいま帰りました」
少し息を切らし、わたしたちのテーブルのそばまで来たフローラが挨拶をする。わたしが来ていると知って急いで駆けつけたのかもしれないわね。
「お帰りなさい」
シャロン様がにっこりと笑い挨拶を返す。
「あの……ディアナ。いらっしゃい。ごめんなさい。約束をしているのを忘れてしまったみたいで、出かけてしまって」
わたしに向き直ったフローラが申し訳ないとばかりに頭を下げた。
「謝る必要なんてないわよ。約束していないもの。外出したついでにちょっと寄ってみようかと思って、お邪魔しただけなのよ。ごめんなさいね。余計な気を使わせてしまったわね」
「そうだったのね。よかったわ。親友との約束も忘れるようになったのかと落ち込むところだったわ。よかった」
心底安心したのかフローラは大きく胸を撫で下ろす様子に、心の中でそっと微笑むわたし。
いつもなら我が家の別邸で会うのだけれど、たまには場所を変えましょうとシャロン様のお誘いでこちらにしたのだけれど、まさか、こんなイレギュラーなことがあるとは……やっぱり、いつものところがいいわね。
「フローラ、良かったら座りなさいな。お茶を淹れるわ」
早速、シャロン様が立ち上がってお茶の準備をしている。バートがいつの間にか椅子を用意してくれていたようで、フローラもやっと腰を落ち着けた。
「お母様、ハーブティーをお願いします」
「ええ、わかったわ」
いくつかのハーブをブレンドしてお湯を注ぐシャロン様。
手指の添え方や目線に至るまで、神経の行き届いた流麗な動作に手際の良さ。ホント、美しいわ。
うちのメイドたちにレクチャーしてもらおうかしら。どこに出しても恥ずかしくない一流のメイドたちだけれど、高位貴族の洗練された優雅な所作って、なかなか出せるものではないのよね。
ハーブティーを運んできたシャロン様が、ふとフローラのドレスに目を止める。
「あら、このドレスは?」
「あっ!」
何気にまずいと思ったのかフローラが小さく声を上げて、両手で口を覆う。フローラのドレスはシャロン様のドレス工房で作られているから、違いはすぐにわかるわよね。
「あの……実は……」
しばらく、もじもじしていたフローラが、おずおずと話し出した。
「西の宮の侍女たちからお召替えをと言われるので、それに甘えてしまって着替えたの。いつもなら、着替えてくるのだけれど、急いでいたからそのままになってしまって。ごめんなさい」
なぜか、謝るフローラ。
「いえ。咎めているわけではないのよ。ちょっと、珍しいものを着ていたから」
苦笑気味なシャロン様。
藤がデザインされた夜明けを思わせる東雲色のドレス。それにドレープもたっぷり使っているから、シンプルなものを好むフローラの趣味とは正反対。
「それ、わたしのドレスなんです。王宮にまだ袖を通していないドレスがあったものだから、着替えにと思ってフローラにプレゼントしたんですの」
「ディアナちゃんの? よかったの?」
「ええ。ローズ様が王宮で不自由しないようにと作って下さったもので、どうやって着こなそうかと悩んでいたので、フローラに着てもらえると嬉しいわ」
「まあ。そうだったの?」
「……」
事の経緯を聞いて驚きつつも納得しているシャロン様とサーと青褪めて沈黙しているフローラ。
シャロン様もわたしと同じように窓の外を見てポツリと呟いた。
何度見ても外は明るいわ。
「こちらにお呼びしてもよろしいでしょうか?」
バートの言葉にシャロン様はこちらをチラッと見て頷いて返事を返すと、しばらくしてフローラが姿を現した。
「ただいま帰りました」
少し息を切らし、わたしたちのテーブルのそばまで来たフローラが挨拶をする。わたしが来ていると知って急いで駆けつけたのかもしれないわね。
「お帰りなさい」
シャロン様がにっこりと笑い挨拶を返す。
「あの……ディアナ。いらっしゃい。ごめんなさい。約束をしているのを忘れてしまったみたいで、出かけてしまって」
わたしに向き直ったフローラが申し訳ないとばかりに頭を下げた。
「謝る必要なんてないわよ。約束していないもの。外出したついでにちょっと寄ってみようかと思って、お邪魔しただけなのよ。ごめんなさいね。余計な気を使わせてしまったわね」
「そうだったのね。よかったわ。親友との約束も忘れるようになったのかと落ち込むところだったわ。よかった」
心底安心したのかフローラは大きく胸を撫で下ろす様子に、心の中でそっと微笑むわたし。
いつもなら我が家の別邸で会うのだけれど、たまには場所を変えましょうとシャロン様のお誘いでこちらにしたのだけれど、まさか、こんなイレギュラーなことがあるとは……やっぱり、いつものところがいいわね。
「フローラ、良かったら座りなさいな。お茶を淹れるわ」
早速、シャロン様が立ち上がってお茶の準備をしている。バートがいつの間にか椅子を用意してくれていたようで、フローラもやっと腰を落ち着けた。
「お母様、ハーブティーをお願いします」
「ええ、わかったわ」
いくつかのハーブをブレンドしてお湯を注ぐシャロン様。
手指の添え方や目線に至るまで、神経の行き届いた流麗な動作に手際の良さ。ホント、美しいわ。
うちのメイドたちにレクチャーしてもらおうかしら。どこに出しても恥ずかしくない一流のメイドたちだけれど、高位貴族の洗練された優雅な所作って、なかなか出せるものではないのよね。
ハーブティーを運んできたシャロン様が、ふとフローラのドレスに目を止める。
「あら、このドレスは?」
「あっ!」
何気にまずいと思ったのかフローラが小さく声を上げて、両手で口を覆う。フローラのドレスはシャロン様のドレス工房で作られているから、違いはすぐにわかるわよね。
「あの……実は……」
しばらく、もじもじしていたフローラが、おずおずと話し出した。
「西の宮の侍女たちからお召替えをと言われるので、それに甘えてしまって着替えたの。いつもなら、着替えてくるのだけれど、急いでいたからそのままになってしまって。ごめんなさい」
なぜか、謝るフローラ。
「いえ。咎めているわけではないのよ。ちょっと、珍しいものを着ていたから」
苦笑気味なシャロン様。
藤がデザインされた夜明けを思わせる東雲色のドレス。それにドレープもたっぷり使っているから、シンプルなものを好むフローラの趣味とは正反対。
「それ、わたしのドレスなんです。王宮にまだ袖を通していないドレスがあったものだから、着替えにと思ってフローラにプレゼントしたんですの」
「ディアナちゃんの? よかったの?」
「ええ。ローズ様が王宮で不自由しないようにと作って下さったもので、どうやって着こなそうかと悩んでいたので、フローラに着てもらえると嬉しいわ」
「まあ。そうだったの?」
「……」
事の経緯を聞いて驚きつつも納得しているシャロン様とサーと青褪めて沈黙しているフローラ。
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